ビザ(ティッカー:$V)の2025年度第2四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $2.76 | $2.68 | 〇 |
売上高 | $9.6B (YoY +9.1%) | $9.55B | 〇 |
業績ハイライト
売上および利益
項目 | 数値 | 前年同期比 |
---|---|---|
純収益 | $9.6B | +9%(恒常為替ベースで+11%) |
EPS(1株当たり利益) | $2.76 | +10%(恒常為替ベースで+11%) |
国際取引収益 | +10% | クロスボーダー成長と為替の影響反映 |
データ処理収益 | +10% | 取引件数成長とVAS、価格改定が寄与 |
サービス収益 | +9% | 支払取扱量と連動 |
その他収益 | +24% | 主にVAS(付加価値サービス)と価格改定による |
成長指標
指標 | 数値 | 前年同期比 |
総支払取扱量(恒常為替) | +8% | |
米国支払取扱量 | +6% | eコマースが対面を上回る成長 |
国際支払取扱量(恒常為替) | +9% | 安定した成長 |
クロスボーダー取扱量(intra-Europe除外) | +13% | eコマース+14%、旅行+12% |
処理済取引数 | +9% | |
Visa Direct取引数 | 30億件 | +28% |
商業支払取扱量(CMS) | +6% | CMS収益:+13%(恒常為替) |
VAS収益 | $2.6B | +22%(恒常為替) |
業績見通し(FY2025)
- Q3予測:
- 調整後純収益成長:低2桁台(+10%前後)
- 調整後営業費用成長:低2桁台
- 調整後EPS成長:高10%台(+17-19%)
- 非営業収益:約$150M(税務項目の解決による利益含む)
- 税率:17% – 17.5%
- インセンティブ成長率:Q3 > Q2(+15%) < Q4 の順で上昇見込み
- 通期ガイダンス:
- 調整後売上、営業費用、EPS成長見通しに変更なし
- 買収の影響:売上への影響は最小、営業費用+1pt、EPS-0.5ptの影響見込み
経営陣コメント
- Ryan McInerney(CEO):
- 消費支出は堅調で、支払量・取引数・VASともに強い実績。
- トークン数は13.7Bに増加、eコマースの50%がトークン化済。
- Tap to Payの世界浸透率76%、米国は初めて60%を突破。
- SamsungとのTap to P2P製品を米国でまもなく展開。
- BBVAと提携し、Ethereumブロックチェーン上でのステーブルコイン発行を支援。
- Chris Suh(CFO):
- 為替の影響・イースターとラマダンの時期ずれ・カナダから米国への旅行減速がクロスボーダーの伸びに影響。
- 取引ベースでの収益は概ね安定しており、VAS成長が支え。
- Q2のインセンティブは予想より低く、Q3・Q4では順次上昇見込み。
- 費用面では柔軟に調整可能、状況次第で支出抑制も可能。
質疑応答ハイライト
消費環境とクライアントの動向
Q(JPMorgan):消費の底堅さは見られるが、クライアントの意思決定やパイプラインに変化はあるか?
A(CEO):現在はクライアントとのパートナーシップ強化とデータ・ソリューション提供に集中。契約更新などの話は一部だが、主眼は支援。
国際旅行とクロスボーダーの見通し
Q(Morgan Stanley):旅行関連のトレンドや為替の影響は?
A(CFO):旅行関連は安定も、カナダ発米国旅行は減速。クロスボーダー全体としては地域・用途の多様性が強みであり、影響は限定的。
付加価値サービス(VAS)の内訳と強さ
Q(Citi):VASの成長持続性について、売上モデルごとの違いは?
A(CEO & CFO):
- 発行処理(Pismo)、リスク管理(Featurespace)、決済受入(Authorize.netやUnified Checkout)、オープンバンキング(Tink)など各領域で堅調。
- VASの65%はVisa決済に連動、それ以外は非Visa取引やプロジェクトベースも多く、景気変動に対する分散性あり。
インセンティブの見通し
Q(Goldman Sachs):インセンティブの成長率が後半に上昇する背景は?
A(CFO):
- Q2は予想より低水準。
- Q3・Q4で早期契約更新やクライアント業績補正により成長率が高まる見込み。
- 年初見込み通り、支払取扱量の20%が契約更改対象。
為替変動と収益の相関
Q(UBS/Wolfe):為替と収益の関係、顧客ミックスやヘッジの影響は?
A(CFO):
- 為替ボラティリティが高まったが、クライアント構成とヘッジの効果で一部相殺。
- 国・取引の構成により収益の実質的な伸びに差異あり。
安定性とマクロ下振れへの対応力
Q(Evercore):もし景気後退が急に来た場合、どのように対応する?
A(CFO):
- 売上は日常支出・デビット・eコマースなど多様性が高く、下方耐性あり。
- インセンティブは変動費用で調整可能。
- 費用面では人件費・マーケティングなど柔軟にコントロール。
ステーブルコイン戦略
Q(Barclays):ステーブルコインの将来性と顧客の需要は?
A(CEO):
- $200Mの決済量を突破、まだ初期段階。
- BBVAとEthereum上で発行へ。
- 実現には規制整備が鍵。今後の製品発表でも詳細予定。
地政学リスクへの対応
Q(Bernstein):米国企業としてのナショナリズム・規制リスクへの対応は?
A(CEO):
- 政府との関係強化、地域ごとの戦略カスタマイズ。
- Visaは規制市場での経験が豊富で対応力がある。
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