テキサスインスツルメンツ(ティッカー:$TXN)の2025年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $1.28 | $1.06 | 〇 |
売上高 | $4.07B (YoY +11.2%) | $3.91B | 〇 |
ガイダンス 2025Q2EPS | 1.34 ($1.21~$1.47) | $1.24 | 〇 |
ガイダンス 2025Q1売上高 | $4.30B ($4.17B~$4.53B) | $4.12B | 〇 |
業績ハイライト
売上・利益実績
項目 | 数値 | 前期比 | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | $4.1B | +2% 📈 | +11% 📈 |
アナログ売上 | – | – | +13% 📈 |
組み込みプロセッシング売上 | – | – | ほぼ横ばい |
その他売上 | – | – | +23% 📈 |
営業利益 | $1.3B | – | +3% 📈 |
純利益 | $1.2B | – | – |
EPS(1株利益) | $1.28 | ガイダンス比+0.05ドル 📈 | – |
粗利率 | 57% | 前期比-90bps 🔻 | – |
営業費用 | $989M | 前年同期比+6% 🔺 | – |
経営陣コメント
「産業市場の広範な回復が確認でき、在庫水準はすべてのエンド市場で低水準。産業、オートモーティブ、個人用電子機器、企業システム、通信機器いずれもそれぞれ回復傾向。」
セグメント別・市場別状況
エンド市場 | 前期比変動 | コメント |
---|---|---|
産業市場 | 上位一桁%増 📈 | 7四半期連続減少後、回復 |
オートモーティブ市場 | 低い一桁%増 📈 | 浅いサイクルの回復続く |
個人用電子機器 | 中10%減 🔻 | 季節性要因通り |
企業システム | 中一桁%増 📈 | 回復基調 |
通信機器 | 約10%増 📈 | 好調維持 |
経営陣コメント
「特に産業市場の回復は顕著で、地域・セクターを問わず幅広い。回復はリアルなものと見ている。」
業績見通し(ガイダンス)
項目 | ガイダンス |
---|---|
売上高(Q2) | $4.17B~$4.53B |
EPS(Q2) | $1.21~$1.47 |
経営陣コメント
「目下のところ、Q2には明確な影響は見ていないが、年後半以降は不透明。柔軟に対応する準備ができている。」
キャッシュ・バランス・資本政策
項目 | 数値 | コメント |
---|---|---|
営業キャッシュフロー(直近12カ月) | $6.2B | – |
設備投資(直近12カ月) | $4.7B | – |
フリーキャッシュフロー(直近12カ月) | $1.7B | – |
配当支払(Q1) | $1.2B | – |
自社株買い(Q1) | $653M | – |
返済した負債(Q1) | $750M | – |
現金・短期投資残高 | $5B | 健全な水準 |
総負債 | $12.95B(平均金利3.93%) | – |
質疑応答ハイライト
ガイダンス
Q(UBS・Timothy Arcuri)
ガイダンスの上振れは、関税前倒し需要の影響か?
A(Haviv Ilan)
- Q1はあくまで「産業市場の本格回復」によるもの。関税前倒しではない。
- Q2については多少の「不安心理による在庫積み増し」があるかもしれないが、通常の季節性範囲内。
- 「サイクルの底」を抜けたとの認識も強まっている。
中国向けビジネスのリスク
Q(UBS・Timothy Arcuri)
中国リスクと対策は?
A(Haviv Ilan)
- 中国本社顧客向け売上は19~20%で安定。
- 地政学リスクに対応するため、「ジオポリティカルに依存しない供給体制」 を強化中。
- 在庫配置や生産拠点を柔軟に変更できる体制あり。
ファクトリー稼働率とマージン見通し
Q(BoA・Vivek Arya)
工場稼働率・粗利益率の方向性は?
A(Rafael Lizardi)
- Q1の粗利益率改善要因は「売上増+産業向け構成比増」。
- Q2は工場稼働率が若干上昇し、粗利益率も改善見込み 📈。
タリフの影響と地域差
Q(Stifel・Tore Svanberg)
タリフ影響に地域差はあるか?
A(Haviv Ilan)
- 地域間で目立った差は今のところない。
- 顧客個別の要求に応じて、製品供給先の最適化を進めている。
- 複数の組み立て・テスト(AT)拠点間で柔軟に対応可能。
中国国内製造施設の役割
Q(Barclays・Thomas O’Malley)
中国工場だけで中国需要を満たせるか?
A(Haviv Ilan)
- 中国内の工場(Chengdu等)は重要だが、フットプリント全体で最適供給していく戦略。
- 工場間・後工程(組立・テスト)のフレキシビリティが高い。
価格要因 vs 数量要因
Q(Truist・William Stein)
成長は価格要因か数量要因か?
A(Haviv Ilan)
- 数量要因が主因。
- タリフ価格転嫁による売上上振れは現時点でなし。
中国競争環境について
Q(Truist・William Stein)
中国における競争は?
A(Haviv Ilan)
- 競争激化中。ただし想定内。
- 特定用途(例:77GHzレーダーチップ)でも中国企業と激しい競争。
- TIは幅広い製品ポートフォリオと供給信頼性で差別化。
自社株買いと財務戦略
Q(Morgan Stanley・Joe Moore)
自社株買いの方針は?
A(Rafael Lizardi)
- フリーキャッシュフローは全額株主還元方針(配当+自社株買い)。
- 現金残高が十分なので、柔軟に運用可能。負債発行余力も十分。
コメント