NXPセミコンダクターズ(ティッカー:$NXPI)の2025年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $2.64 | $2.60 | 〇 |
売上高 | $2.84B (YoY -9.3%) | $2.83B | 〇 |
ガイダンス 2025Q2EPS | $2.66 ($2.46~$2.86) | $2.65 | 〇 |
ガイダンス 2025Q2売上高 | $2.9B ($2.8B~$3.0B) | $2.85B | 〇 |
業績ハイライト
売上および成長率
項目 | 数値 | 前年比 | 前四半期比 |
---|---|---|---|
Q1売上高 | $2.84B | -9% | – |
Q2ガイダンス(中間値) | $2.90B | -7% | +2% |
- Q1売上はガイダンス中央値を$10M上回る結果。
- Q2はモバイルと通信インフラが予想超過、オートモーティブと産業/IoTが予想未達。
セグメント別ガイダンス(Q2見通し)
セグメント | 対前年同期比 | 対前四半期比 |
---|---|---|
オートモーティブ | 横ばい(±0%) | +1〜3% |
産業・IoT | -10〜15% | +5%前後 |
モバイル | -5%前後 | -5%前後 |
通信インフラ・その他 | -20%以上 | ±0% |
- ポジティブ材料: モバイル・通信インフラがQ1で上振れ。Q2では分野ごとに回復傾向が見られ始めている。
- ネガティブ材料: 産業・IoTは依然として前年割れが顕著。
利益関連指標
指標 | Q1実績 | 前年同期比 | ガイダンスとの差異 |
---|---|---|---|
Non-GAAP粗利益率 | 56.1% | -210bps | -20bps(ガイダンスより下) |
Non-GAAP営業利益率 | 31.9% | -260bps | +40bps(ガイダンスより上) |
EPS(Non-GAAP) | $2.64 | – | +$0.05(ガイダンス上回り) |
- 営業利益率はコスト削減効果でガイダンスを上回る。
- 粗利益率は製品ミックスと販売チャネル構成の変動で下振れ。
キャッシュ・財務状況
指標 | Q1末時点 | 前四半期比 |
---|---|---|
現金残高 | $3.99B | +$696M |
純負債 | $7.74B | +$175M |
フリーキャッシュフロー | $427M | – |
営業キャッシュフロー | $565M | – |
在庫日数 | 169日 | +18日 |
- キャッシュ生成力は堅調だが、**在庫日数は過去上限水準(169日)**に達しており注意が必要。
ガイダンス(Q2)
指標 | 数値(中間値) |
---|---|
売上高 | $2.9B |
Non-GAAP粗利益率 | 56.3% ±0.5% |
Non-GAAP営業利益率 | 31.8% |
EPS(Non-GAAP) | $2.66 |
- 追加投資・M&A影響は未反映(Kinara, Aviva, TTTech Autoの買収は今後反映予定)。
- 長期目標の営業費用比率(23%)はH2に向けてリストラ進行中。
🗣️ 質疑応答ハイライト
🧠 AI・ソフトウェア買収戦略(Kinara, Aviva, TTTech Auto)
Q: 中国MCU競争に対するこれらの買収は防御的?攻撃的?
A:(Kurt Sievers)
- 明確に攻撃的(offensive)な戦略。MCUからソフト/AIプラットフォームへの拡張。
- 特にTTTech Autoは自社のCoreRideプラットフォームにソフトウェアを加え、差別化を強化。
- 中国市場向けの展開強化にも貢献するが、世界全体を見据えた戦略。
🚗 オートモーティブ市場の在庫状況・回復タイミング
Q: 在庫消化はいつ終わる?地域別トレンドは?
A:(Kurt Sievers)
- Q2は前年比横ばいで、5四半期連続の減収から脱却 → 回復初期の兆候。
- アジア(中国+日本)が牽引:中国は季節的にQ2回復、日本は価格交渉待ちでQ1控えめ→Q2増加。
- 欧米Tier1は在庫消化が継続。一部顧客では未完了。
🌐 グローバルな関税リスクとNXPの立ち位置
Q: 米中関係の関税影響。NXPはどう見られているか?
A:(Kurt Sievers)
- NXPは中国からは「欧州企業」として認識 → 信頼されやすいポジション。
- 製造面での中国依存は30%(waferレベル)。非米国製造比率はさらに高い。
- China-for-China戦略は2年以上前から展開中(製造と製品開発の両面)。
⚙️ 産業・IoT市場の動向
Q: 緑の芽(グリーンシュート)はどの分野で見えてきている?
A:(Kurt Sievers)
- 成長の主因はコンシューマIoT(特に中国のデザインウィン)。コア産業はまだ回復途上。
- 特定顧客の案件に起因する可能性が高く、業界全体のトレンドとは言えない。
💵 在庫・粗利益・H2見通し
Q: 在庫増の中で粗利益率改善は可能?
A:(Bill Betz)
- 粗利益率は売上水準に連動:
- $13B:58%、$12B:57%、$11B:56%(±50bps)
- 追加成長要因:
- 70%以下の内製工場稼働率改善余地
- NXP-Vanguardの300mm JV(予定より前倒し進行中)
- 製品ミックス改善(Industrial/IoT)
- 在庫は現状維持もしくは慎重に調整予定(マクロ不透明感が高いため)
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