JPモルガン(ティッカー:$JPM)の2024年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $4.44 | $4.17 | 〇 |
売上高 | $41.93B (YoY +9.3%) | $41.69B | 〇 |
業績ハイライト
連結業績
- 当期純利益は前年同期比で134億ドル、EPS4.44ドル、ROTCEは21%
- 連結ベースの収益は前年同期比4%増の425億ドル
- 連結経費は前年同期比9%増の220億ドル。FDIC特別負担金の増加などが影響
- 与信関連費用は19億ドル。前年同期からほぼ横ばい
セグメント別の状況
- コンシューマー・コミュニティ・バンキング(CCB)は、収益が前年同期比1%増、純利益は44億ドル
- コーポレート・インベストメント・バンク(CIB)は、収益が136億ドル、純利益は48億ドル。投資銀行業務は市場環境改善を追い風に27%増収
- コマーシャル・バンキング(CB)は、収益が前年同期比3%増の36億ドル、純利益は16億ドル
- アセット・ウェルス・マネジメント(AWM)は、運用手数料の増加などから収益は5%増。純利益は10億ドル
資本と資産の状況
- 第1四半期末のCET1比率は15%と高い水準を維持
- 総資産は4兆900億ドル、預金は4兆ドル超と潤沢な資金力
- バーゼルIII規制の最終化を見据え、資本を厚めに積み上げる方針
通期見通し
- 資金利益は、市場金利の動向次第で減少圧力も。通期では890億ドルを見込む
- 経費は、FDIC特別負担金の影響などで910億ドルに上方修正
- 与信コストは、クレジットカードのネット・チャージオフ率3.5%以下の前提を据え置き
質疑応答ハイライト
自己資本比率と資本戦略について:
- 現在の15%のCET1比率はバーゼルIII規制への対応として十分な水準だが、将来的な規制環境の不確実性を考慮し、現時点では資本を積み上げておくことが重要。
- 将来規制が確定した際に余剰資本が出れば、それを事業拡大や株主還元に振り向ける方針。短期的にも資本を効率的に活用する機会を模索していく。
金利環境と資金利益への影響:
- 消費者預金は引き続き低金利の当座預金等から高金利のCD等へのシフトが続き、資金利益へのプレッシャーに。
- 一方、クレジットカードの利用残高増加が資金利益の追い風に。カード債権の伸びに合わせて貸倒引当金の積み増しも見込む。
投資銀行業務について:
- 株式発行やM&Aは規制環境等の不透明感から低調だが、企業との対話やパイプラインに改善の兆し。今後数年かけて業界ウォレットの回復を見込む。
- 個人富裕層向けの資産運用は好調が続き、手数料収入を支えている。
経済環境とクレジットコストについて:
- 消費者の財務状況は概ね健全だが、一部の低所得層で支出抑制の動きあり。
- クレジットコストは正常化が続くが、現時点では懸念材料というよりは想定の範囲内。
不透明な事業環境への対応:
- 地政学リスクなどから不透明感が強いが、グローバルでの事業展開を通じてリスク分散を図る。
- 短期的な事業環境悪化を理由に、長期的な戦略投資を手控えることはしない方針。
ファーストリパブリック銀行の買収について:
- 当初想定を上回る好業績。統合費用も想定を下回る可能性。
- 今後もコスト削減を進め、シナジー効果の実現を目指す。
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