ウェルズファーゴ(ティッカー:$WFC)の2024年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $1.20 | $1.06 | 〇 |
売上高 | $20.86B (YoY +0.6%) | $20.19B | 〇 |
業績ハイライト
収益
- 純利息収益は前年同期比で11億ドル(8%)減少。資金調達コストの上昇と貸出残高の減少が主因。
- 非金利収益は前年同期比17%増加。投資顧問手数料、ブローカレッジ手数料、預金関連手数料、トレーディング収益が大幅に伸長。
経費
- 非金利費用は前年同期比5%増加。操業損失の増加やFDIC特別負担金が主因。
- 一方、効率化施策の効果もあり、専門職報酬などの費用は減少。
与信
- 純貸倒償却率は前四半期比3bp低下の0.50%。商業向け貸出の改善が寄与。
- 商業用不動産向け融資では、オフィスビル関連の損失増加を見込む。
- 消費者向け融資では、クレジットカード関連の損失が予想通りに増加。
資本
- 普通株式等Tier1比率は11.2%。最低所要水準を大幅に上回る。
- 自社株買いを61億ドル実施。発行済株式数は前年比6%減少。
セグメント別動向
- 消費者・中小企業向け金融では、預金残高減少により収益が4%減少。
- 法人・投資銀行部門では、投資銀行収益が全体的に増加し、トレーディング収益も堅調。
- ウェルス・投資マネジメント部門は、運用資産残高増加により収益が2%増加。
質疑応答ハイライト
中期ROTCEの改善ドライバー
- 現在の12%から15%へのROTCE改善には、資本・バランスシート最適化、事業投資、効率化が鍵。
- 投資銀行、トレーディング、クレジットカード、ウェルスマネジメントなどの注力分野で収益力向上の兆しが見え始めた。
- 一方で、住宅ローンや自動車ローンなどの分野ではさらなる収益改善の余地がある。
- 資本規制により一部の事業で制約を受けているが、規制解除後は成長余力が大きい。
2024年のNII見通し
- 年央までは貸出減少・預金コスト増が続くが、年末にかけてNIIはボトムアウト。
- 利上げ休止より、顧客行動の変化や競争環境がNIIにより大きく影響する可能性。
- 消費者からの預金流出に歯止めがかかりつつあり、法人預金は増加基調。
- 金利上昇局面では市場の予想を上回るNII拡大もあり得るが、現時点で通年見通しは据え置き。
商業用不動産(CRE)融資の信用コスト
- CREのNPL比率は横ばいで、大幅な信用悪化は見られない。
- ただしオフィスビル向け融資では今後も損失計上が続く公算が大きい。
- 一定の信用コストは織り込み済み。CRE以外の与信ポートフォリオは健全。
非金利収益の伸長余地
- グローバルマーケッツでは商品・地域の多様化を進め、トレーディングシェア拡大余地が大きい。
- 投資銀行は起債やM&Aに強みを持つが、株式関連業務の強化によるウォレットシェア獲得を狙う。
- プライベートバンキングと連携したウェルスマネジメントも成長分野。
規制対応とコスト削減
- リスク管理高度化のための投資を惜しまず、対顧客業務への影響を最小限に抑える。
- 非金利収益の成長で規制対応コストの吸収を図る。同時に、既存事業の合理化・効率化を継続。
- テクノロジーの活用でオペレーションを効率化し、人員を成長分野にシフト。
資産規制撤廃の影響
- 短期的には貸出・トレーディングで顧客向けサービス拡充の余地。
- 中長期的には、消費者・法人向けに幅広い金融商品・サービスを提供し、収益源の多様化を加速。
- ただし劇的な業容拡大は意図せず、リスクコントロールを重視。
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