ブラックロック(ティッカー:$BLK)の2024年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $9.81 | $9.32 | 〇 |
売上高 | $4.73B (YoY +11%) | $4.68B | 〇 |
業績ハイライト
業績ハイライト
- AUMは過去12ヶ月で1.4兆ドル(15%)増加し、約10.5兆ドルの過去最高を記録
- 長期の純流入額は760億ドルで、アクティブ・パッシブ、全ての顧客タイプでプラス
- 四半期の売上高は前年同期比11%増の47億ドル
- 営業利益は前年同期比17%増の18億ドル、EPS(希薄化後1株当たり利益)は同24%増の9.81ドル
- 営業利益率は前年同期比180ベーシスポイント改善し42.2%
セグメント別の状況
- ETFへの純流入は670億ドルで、コアの株式と債券ETFが牽引
- リテールでは70億ドルの純流入、アクティブ債券に需要が回復
- 機関投資家向けアクティブ運用は150億ドルの純流入で、ターゲットデート型ファンドとアウトソーシングが貢献
- プライベート市場では10億ドルの純流入も、顧客への分配などでオフセット
- キャッシュマネジメントは190億ドルの純流出で業界トレンドに沿う
テクノロジーサービス
- テクノロジーサービス収入は前年同期比11%増加
- Aladdin(オラディン)の年間契約額は同9%増
- 大口の新規顧客獲得や既存顧客との取引拡大の協議が進展中
質疑応答ハイライト
モメンタムの加速と大口の資金流入の見通し:
- 過去5年間でBlackRockには1.9兆ドルの純流入があり、顧客から高い信頼を得ている証左である。
- 投資運用とテクノロジーの両面で大口の案件獲得に向けた協議が活発化している。
- 過去6ヶ月の基本報酬の伸び率は目標値の半分以上に達しており、良好なトレンドが見られる。
利益率拡大の取り組み:
- 成長性の高い戦略分野への投資配分、変動費化の推進、規模によるコスト効率の改善を重視している。
- 過去18ヶ月でAUMが2.5兆ドル増加したが、従業員数はほぼ横ばいで、規模のメリットが出ている。
- AIや自動化、イノベーションハブの活用などを通じて、更なる固定費用の効率化を目指す。
債券投資への見通し:
- 年初来、米国投信業界全体で債券ファンドへの資金流入が増加しているが、BlackRockへの流入はそれほど大きくない。
- イールドカーブのフラット化や逆イールド状態が解消に向かえば、中長期債への配分が増えると予想される。
- アクティブ債券運用では、ハイイールドや無制限型、トータルリターン型の戦略に資金が流入している。
プライベート市場戦略:
- GIPの買収により、プライベートインフラ分野での独自の案件組成力が大きく強化される見通し。
- 昨年からプライベート市場全体で1,400億ドルの資金調達があり、良好なモメンタムが続いている。
- 個人投資家向けにはセミリキッド型のファンドを拡充し、wirehouses経由での販売が拡大する可能性がある。
ターゲットデート型の新商品:
- LifePath Paycheckは、定年退職後の毎月の年金受給額を一定の範囲内に収める革新的な仕組み。
- すでに運用資産250億ドル・50万人の加入者を擁する14の企業年金スポンサーと提携。
- 今後数週間で第1号の導入事例が出る予定で、欧州など他地域への展開も視野に入れている。
欧州ETF事業の優位性:
- 資金流入の市場シェアは30%で2位の2倍、2位と3位を合計しても上回る強さ。
- 運用資産は8,500億ドルで、2位以下5社の合計を上回る圧倒的なプレゼンス。
- 欧州の市場構造の特性もあり、PB経由の裁量運用プログラムでの採用が増えている。
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