2024年7月30日と7月31日に開催された、連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録の要約です。
要約
経済情勢の詳細分析
- 実質GDP成長率は2024年上半期に堅調な伸びを示したが、2023年後半の力強いペースからは減速
- 個人消費支出(PCE)物価指数は6月に前年比2.5%、コアPCE物価指数は2.6%と、年初からほぼ横ばい
- 労働市場の指標:
- 失業率は6月に4.1%に上昇
- 労働参加率は微増
- 雇用人口比率は横ばい
- 賃金上昇率は鈍化傾向:
- 全従業員の平均時給は前年比3.9%上昇(前年から0.8ポイント低下)
- 民間労働者の雇用コスト指数も前年比3.9%上昇(前年から0.6ポイント低下)
金融市場と金融政策操作の分析
- 金融環境は会合間でやや緩和
- 名目国債利回りは低下、特に短期金利の低下が顕著
- 株価指数は若干上昇
- 市場参加者は9月のFOMC会合での利下げを予想
- オーバーナイト物リバースレポ(ON RRP)ファシリティの利用は若干減少
金融政策決定の詳細
- 全会一致で政策金利の据え置きを決定
- ただし、複数の参加者が25ベーシスポイントの利下げにも一定の根拠があったと指摘
- 証券保有の縮小継続を決定:
- 財務省証券は月250億ドルの上限
- エージェンシー債とMBSは月350億ドルの上限
今後の政策見通しに関する議論
- ほぼ全ての参加者が、インフレデータがさらに必要と指摘
- 大多数が、データが予想通りなら次回会合での金融緩和が適切になる可能性が高いと言及
- 多くの参加者が、現在の金融政策はすでに引き締め的であると指摘
- データ依存型のアプローチの重要性を強調
リスク評価
- インフレ上振れリスクは低下、雇用下振れリスクは上昇と認識
- 上振れリスク要因:
- サプライチェーンの混乱
- 地政学的状況の悪化
- 金融環境の緩和による経済活動の活性化
- 下振れリスク要因:
- 労働市場の過度な緩和
- 金融引き締めの影響の遅れ
金融安定性に関する議論
- 銀行システムは健全だが、未実現損失や非銀行金融機関との相互関連性にリスク
- 商業用不動産エクスポージャーに関する懸念
- サイバーリスクの重要性を指摘
- 財務省証券市場のレバレッジとセントラルクリアリングへの移行に関する懸念
その他の重要な論点
- 低・中所得世帯の財政状況悪化に関する懸念
- 消費者の支出行動の変化(低価格商品へのシフトなど)
- 製造業の弱さと専門・事業サービス部門の強さ
- 農業部門が直面する課題(低い食品コモディティ価格、高い投入コスト)
原文リンク
FOMC Minutes, July 30-31, 2024
The Federal Reserve Board of Governors in Washington DC.
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