2024年11月6日と11月7日に開催された、連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録の要約です。
要約
インフレ動向の評価
- インフレはピークから大幅に低下したが、コアインフレはやや高止まり
- ほぼすべての参加者が、月次の変動は続くものの、2%目標への持続的な回帰が見込まれると判断
- コア財・サービス価格の広範な分野で物価上昇の鈍化が観察された
- 企業からは消費者の価格感応度が高まり、値上げが困難になっているとの報告
- 住宅サービス価格は依然として上昇が続くも、新規賃貸の賃料上昇の鈍化が今後反映される見込み
労働市場の状況
- 労働市場は堅調を維持、ただしストライキとハリケーンの影響で一時的な変動
- 求人数、離職率、労働移動の低下は労働需要の緩やかな低下を示唆
- 企業は採用に対してより選択的になり、求職者は柔軟な労働条件とより穏当な賃金オファーを受け入れる傾向
- 解雇は低水準を維持、多くの企業は自然減による人員調整を選好
- 移民の労働供給への影響測定、データ改訂、自然災害やストライキの影響等により、基調的な動向の評価は困難
経済活動と消費支出
- 最近のデータは予想を上回る強さを示し、経済活動は堅調なペースで拡大を継続
- 消費支出は堅調な労働市場、実質賃金の上昇、高水準の家計資産に支えられている
- 家計所得と貯蓄率の上方改訂により、消費支出の強さとの整合性が向上
- 低・中所得世帯は金融面での制約に直面しており、支出を抑制する可能性
- クレジットカードや自動車ローンの延滞率上昇が金融面での制約を示唆
企業部門の動向
- 労働供給、設備投資、生産性の改善が事業活動の堅調な拡大を支援
- 生産性の伸び率の持続可能性については不確実性が存在
- 大企業や金融サービス、建設、専門サービス、技術分野の企業は、中小企業や製造業よりも楽観的な見通し
- 農業部門は作物価格の低迷と投入コストの高止まりにより、引き続き大きな圧力に直面
金融安定性に関する議論
- 銀行システムは健全だが、銀行資産の未実現損失に関連するリスクが存続
- 商業用不動産エクスポージャーに関する脆弱性、特にオフィス部門のリスクに注目
- サイバーリスクが金融機関、金融インフラ、経済全体に影響を及ぼす可能性
- 国債市場のレバレッジは引き続きリスク要因であり、市場の強靭性の監視が重要
- プライベートクレジットの成長と銀行・その他金融機関との潜在的な関連性に関する懸念
金融政策の決定と今後の方向性
- 政策金利を0.25%引き下げ、4.50-4.75%に設定することを全会一致で決定
- データが予想通りに推移し、インフレが持続的に2%に向かい、経済が最大雇用近傍を維持する場合、段階的により中立的な政策スタンスへ移行
- 政策決定は事前に定められた道筋に従うものではなく、経済の進展に応じて判断
- 多くの参加者は、経済データの変動性を指摘し、基調的なトレンドと見通しの変化に注目することの重要性を強調
リスク評価
- ほぼすべての参加者が、雇用と物価の目標達成に関するリスクはほぼバランスしていると判断
- 経済活動または労働市場への下振れリスクは低下したとの評価
- インフレリスクには、地政学的展開による供給チェーンの混乱、金融環境の予想以上の緩和、予想以上の消費、住宅価格上昇の持続等が含まれる
- 下振れリスクには、世界経済の弱さ、地政学的緊張の激化や資産価格の大幅な調整による金融環境の悪化、労働市場の予期せぬ弱体化等が含まれる
バランスシート政策
- 証券保有の縮小を継続することを決定
- 国債の元本償還については月間250億ドル、エージェンシー債・MBSについては月間350億ドルの上限を維持
- 多くの参加者は、将来の会合でON RRP(翌日物リバースレポ)ファシリティの金利に関する技術的な調整を検討する価値があると指摘
原文リンク

FOMC Minutes, November 6-7, 2024
The Federal Reserve Board of Governors in Washington DC.
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