2024年12月17日と12月18日に開催された、連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録の要約です。
要約
金融市場と公開市場操作の動向
- 名目国債利回りは期間中に変動し、11月上旬と比べてわずかに上昇
- 10年物国債の名目利回り上昇は主に実質利回りの上昇によるもの
- 米国債市場の流動性は大統領選挙後にやや悪化したが、過去3年の範囲内で推移
- 市場は連邦準備金利の0.25%引き下げをほぼ完全に織り込み済み
- 2025年の利下げペースは大幅に減速すると予想され、市場参加者は年間0.75%の利下げを見込む
- バランスシート縮小の終了時期は2025年6月頃と予想される
- オーバーナイト物逆レポ取引(ON RRP)の利用は期間中に減少継続
- 外国為替市場では、米ドルが主要通貨に対して上昇
経済状況の分析
- 実質GDP成長率は2024年も堅調な拡大を継続
- 労働市場の状況は2024年初めから緩和したものの、失業率は低水準を維持
- 消費者物価上昇率は前年比で低下したが、依然としてやや高い水準
- PCE価格指数は10月時点で前年比2.3%上昇(前年は3.0%)
- コアPCE価格指数は同2.8%上昇(前年は3.4%)
- 11月のCPI上昇率は前年比2.7%、コアCPIは同3.3%
- 平均時給は11月時点で前年比4%上昇
- 外国経済は第3四半期に成長が加速、特にユーロ圏とメキシコで顕著
- 中国では小売売上高の伸びが鈍化し、国内需要は弱含み
金融情勢の分析
- 短期金融市場は概ね安定的に推移
- 株式市場は上昇、特に景気循環株が顕著な上昇を示す
- VIX指数は大きく低下し、大統領選挙前の水準を大きく下回る
- 家計、企業、地方自治体の借入コストは若干低下したものの高水準を維持
- 大企業や地方自治体向けの信用は概ね良好に推移
- 住宅ローン市場では、信用力の高い借り手向けの信用は引き続き利用可能
- クレジットカードやオートローンの延滞率は上昇傾向
経済見通し
- スタッフは経済状況が堅調に推移すると予測
- インフレ率は2024年の予測を若干上方修正
- 2025年のインフレ率は2024年と同程度と予想
- 2027年までに2%のインフレ目標に到達すると予測
- 雇用とGDP成長率に関するリスクはバランスしていると判断
- インフレに関するリスクは上振れリスクが優勢と評価
委員の見解
- インフレは2022年のピークから大幅に低下したが、依然としてやや高い水準
- 2024年の物価上昇率の低下ペースは減速
- 最近の月次物価指数は予想を上回る上昇
- 多くの参加者は、貿易政策や移民政策の変更による経済への影響に関する不確実性が高いと指摘
- 経済活動は堅調な拡大を継続していると評価
- 労働市場の条件は徐々に緩和しているが、失業率は低水準を維持
政策決定
- 政策金利を0.25%引き下げ、4.25-4.50%とすることを決定
- 一人の委員(Beth M. Hammack氏)が金利据え置きを主張して反対票を投じる
- バランスシート縮小の継続を決定
- オーバーナイト物逆レポ金利を政策金利レンジの下限に設定する技術的調整を実施
- 委員会は引き続き最大雇用の支援と2%のインフレ目標達成に強くコミット
- 次回会合は2025年1月28-29日に開催予定
今後の政策姿勢
- 委員会は金利引き下げのペースを減速させる段階に近づいていると判断
- データが予想通りに推移した場合、より中立的な政策スタンスに向けて徐々に移行
- 政策決定は経済の展開、見通し、リスクバランスを慎重に評価しながら行う方針
- 多くの参加者は、現時点で慎重なアプローチを取ることが適切と判断
- インフレが高止まりした場合は、政策金利を制限的な水準に維持するか、より緩やかな引き下げを検討
原文リンク

FOMC Minutes, December 17-18, 2024
The Federal Reserve Board of Governors in Washington DC.
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