決算:TXN 2025Q4

決算

テキサスインスツルメンツ(ティッカー:$TXN)の2025年度第4四半期決算についてまとめます

finviz dynamic chart for TXN
  1. 決算概要
  2. 業績ハイライト
    1. 1) 4Q25(四半期)総括
    2. 2) 4Q25 エンドマーケット別の動き
    3. 3) 2025年(通期)エンドマーケット別:産業・車載・DCが構造的に比率上昇
    4. 4) 4Q25 損益(CFOコメント)
    5. 5) キャッシュ・資本政策:高還元継続、在庫は高水準で“武器”と主張
    6. 6) 2025年通期:フリーCFは回復(ただし“投資で作った面”も大きい)
    7. 7) 1Q26 ガイダンス:季節性より強いが「価格要因ではない」
    8. 8) 生産能力・工場:Shermanの進捗が良好、ITCは35%に
  3. 質疑応答ハイライト
    1. 1) Q1ガイダンスが季節性より強い理由(Ross Seymore)
    2. 2) 粗利・EPSのブレ要因(Ross Seymore)
    3. 3) 在庫水準:もう下げないのか?(Jim Schneider)
    4. 4) 個人向け・通信用の回復可能性(Jim Schneider)
    5. 5) 工場自動化など産業の“ためらい”は解消?(Harlan Sur)
    6. 6) Sherman進捗とCHIPS/ITCの効果(Harlan Sur)
    7. 7) 価格引き上げはしているのか(Vivek Arya / Thomas O’Malley)
    8. 8) メモリ価格上昇は需要に悪影響?(Vivek Arya)
    9. 9) CapExの低下余地・“維持CapEx”の考え(Tim Arcuri)
    10. 10) 車載の状況(Thomas O’Malley)
    11. 11) データセンターの内訳と中長期成長(Josh Buchalter)
    12. 12) 受注・バックログの質(William Stein)
    13. 13) 工場稼働(loadings)の方向性(Wolfe)
    14. 14) 地域別(中国)の季節性(Wolfe)
  4. 総括
    1. ✅ ポジティブ材料
    2. ⚠️ ネガティブ材料
    3. 📈 株価インプリケーション

決算概要

アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。

結果予想判定
EPS$1.31$1.27
売上高$4.42B
(YoY +10.4%)
$4.44B
ガイダンス
2026Q1EPS
$1.35
($1.22~$1.48)
$1.23
ガイダンス
2026Q1売上高
$4.50B
($4.32B~$4.68B)
$4.42B

業績ハイライト

1) 4Q25(四半期)総括

結論:売上は「ほぼ想定どおり」だが、**データセンターの急伸(+70% YoY)**が目立つ一方、個人向け(PE)の落ち込みが強く、回復はまだら模様。Q1ガイダンスが季節性より強いのは「価格ではなく受注(ブッキング)改善」と説明。

  • 売上$4.4B-7% QoQ / +10% YoY
  • ✅ 事業別:Analog +14% YoYEmbedded Processing +8% YoYOther は前年割れ
  • ✅ 市況:半導体市場の回復継続。TIは在庫・供給能力を整備済みで即納需要に対応可能
  • ✅ 重要な組織変更:エンドマーケットを再編し、**Data center(コンピュート/ネットワーク/ラック電源・熱管理)**を独立区分化

2) 4Q25 エンドマーケット別の動き

エンドマーケットYoYQoQコメント(要旨)
Industrial高ティーンズ増(約+18%示唆)中単位%減回復が広範に継続。ただしピーク比ではまだ余地
Automotive上位1桁増下位1桁減Q3/Q4で強かったがQ4はわずかに弱含み
Data center約+70%中単位%増7四半期連続成長、規模が増してガイダンスを押し上げ
Personal electronics上位ティーンズ減中ティーンズ減Q4が「通常季節性より弱い」:TV/ホームシアターが特に悪い
Communications equipment下位1桁減中ティーンズ減低調継続

ポジ/ネガ(視覚)

  • 強い:Industrial(回復継続)、Data center(構造的に拡大)
  • ⚠️ 弱い:Personal electronics(季節性以上に悪化)、Comms equipment(低調)

3) 2025年(通期)エンドマーケット別:産業・車載・DCが構造的に比率上昇

2025年売上金額YoY売上構成比
Industrial$5.8B+12%33%
Automotive$5.8B+6%33%
Data center$1.5B+64%9%
Personal electronics$3.7B+7%21%
Communications equipment約$0.5B約+20%3%
  • Industrial + Automotive + Data center = 約75%(2013年の約43%から大幅上昇)
  • ✅ 戦略的重点:Industrial / Automotive / Data center
  • ✅ 背景:アプリケーション当たりのチップ搭載量増(secular content growth)が成長ドライバー

4) 4Q25 損益(CFOコメント)

4Q25数値
売上$4.4B
売上総利益$2.5B
売上総利益率56%(QoQ -150bp
OpEx$967M(YoY +3%)
営業利益$1.5B(売上比 33%、YoY +7%)
純利益$1.2B
EPS$1.27

注記(重要)

  • ⚠️ EPSには、Otherセグメントののれん非現金減損等により、当初ガイダンス比で-$0.06の押し下げがあった。

5) キャッシュ・資本政策:高還元継続、在庫は高水準で“武器”と主張

4Q25 キャッシュ/還元数値
営業CF$2.3B
CapEx$925M
配当$1.3B
自社株買い$403M
現金・短期投資(期末)$4.9B
有利子負債$14B(平均クーポン4%
在庫$4.8B(QoQ -$25M)
在庫日数222日(QoQ +7日)
  • ✅ 配当:1株$1.42へ+4%増配22年連続増配
  • ✅ 過去12か月の株主還元:$6.5B
  • ✅ 在庫:経営陣は「適正・誇り」「即納(turns)対応の資産」と強調

6) 2025年通期:フリーCFは回復(ただし“投資で作った面”も大きい)

2025年通期数値
営業CF$7.2B
CapEx$4.6B
フリーCF$2.9B(売上比 17%
フリーCF YoY+96%(対2024年)
CHIPS法インセンティブ(現金便益)$670M
  • ✅ 6年にわたる高CapExサイクルが終盤:低コスト300mm能力をスケールで確保と説明

7) 1Q26 ガイダンス:季節性より強いが「価格要因ではない」

1Q26 ガイダンスレンジ
売上$4.32B ~ $4.68B
EPS$1.22 ~ $1.48
2026年 実効税率見通し13%~14%

強めガイダンスの理由(経営陣の説明)

  • 受注(bookings)の強さ、四半期を通じてリニアリティ改善(月を追うごとに強まる)
  • バックログが積み上がった
  • turns(即納案件)が高水準
  • ✅ Industrial回復継続、Data centerが規模として効いてきた(Q4時点でDC売上は約$450M/四半期規模との示唆)

価格について(明確に否定)

  • Q1の上振れは価格ではない
  • 会社の前提:2025年のlike-for-like価格は**低単位%下落(2~3%下落)**で着地、2026年も同程度の下落を想定
  • Q1は年次交渉で「通常むしろ下がることが多い」とコメント

8) 生産能力・工場:Shermanの進捗が良好、ITCは35%に

  • Sherman(テキサス):立ち上げが前倒し高歩留まり、新装置で能力が想定以上
    • Sherman 1:クリーンルームで一部ライン稼働
    • Sherman 2:シェルを保持し、需要次第で拡張可能
  • ✅ 内製化(foundry → 自社)進捗:Embeddedで追い風が2026年も続く見通し
    • 65nm移行は完了し、歩留まりはfoundry並み
    • **45nm(車載レーダー中心)**も進行中
  • ✅ 2026年CapEx:$2B~$3B(従来通り)
  • ✅ 2026年減価償却:$2.2B~$2.4B(2027年も増えるが増加ペース鈍化)
  • ✅ CHIPS関連
    • 直接補助:最大$1.6B(マイルストーン到達で受領)
    • ITC:2026/1/1から35%

質疑応答ハイライト

1) Q1ガイダンスが季節性より強い理由(Ross Seymore)

Q: Q1ガイダンスが季節性より強い。何が特殊?エンドマーケット/地域要因は?
A(CEO/IR):

  • Industrialは**YoY約+18%**と回復継続、ただしピーク比ではまだ余地
  • Data centerは7四半期連続成長、Q4時点で約$450M/四半期の規模感
  • 受注が四半期を通じて改善、強いbookingsがガイダンスを形成
  • IR補足:リニアリティ改善、バックログ積み上がり、turns高水準

2) 粗利・EPSのブレ要因(Ross Seymore)

Q: Q4の収益は想定より良い。Q1の粗利の見方、稼働率・在庫の影響は?
A(CFO):

  • Q4 EPS上振れ要因:売上やミックス、稼働(loadings)、OpExが複合的に良かった
  • ただし準備発言の通り、**-$0.06(Otherののれん減損等)**があった
  • Q1:OpExは低単位%増想定。粗利は売上レンジと合わせて推定を、稼働は需要に応じ調整

3) 在庫水準:もう下げないのか?(Jim Schneider)

Q: 在庫は良い水準か、さらに落とす必要は?
A(CEO/CFO):

  • 経営陣は現在の在庫に非常に満足、「全技術に跨って適正」と主張
  • turns(即納)需要が多い環境で顧客対応力の資産
  • CFOも同調(追加コメントは最小限)

4) 個人向け・通信用の回復可能性(Jim Schneider)

Q: Industrial/Auto/DCが強い一方、PE/CommsやEmbeddedの見通しは?
A(CEO/IR):

  • 通期ではPEは**+7%成長したが、Q4が季節性より弱い**
  • 内訳:TV/ホームシアターが最も弱い、一方でスマホが最も良い
  • 中国の家電・TVの補助金期限切れの影響の可能性に言及
  • PEは「早く調整・回復した」ため比較が厳しい

5) 工場自動化など産業の“ためらい”は解消?(Harlan Sur)

Q: 以前言っていた産業顧客の慎重姿勢(FA等)はまだある?中国産業の注文は?
A(CEO):

  • 産業はピーク(2022年)比でまだ約25%下で回復余地
  • 受注にはやや持ち直しの兆しはあるが、持続性は見極め
  • ノイズ要因として「特定サプライヤ問題」や「メモリ不足」などに言及(断定せず)

6) Sherman進捗とCHIPS/ITCの効果(Harlan Sur)

Q: Shermanの進捗、2026年CapEx $2~3Bのオフセット(ITC/補助金)を定量化できる?
A(CEO/CFO):

  • Sherman:前倒し・高歩留まり、装置性能でスループット見込み改善
  • 直接補助:最大$1.6B(変更なし)
  • ITC:2026年から35%(設備・建屋・クリーンルーム等が対象)

7) 価格引き上げはしているのか(Vivek Arya / Thomas O’Malley)

Q: Q1強さに価格は寄与?競合が値上げを示唆しているがTIは?
A(CEO/IR):

  • 明確に否定:「価格要因ではない」「Q1にステップ値上げ予定なし」
  • 会社前提:2025年の価格はlike-for-likeで2~3%下落、2026年も同程度を想定
  • Q1は年次交渉で通常むしろ下がる傾向

8) メモリ価格上昇は需要に悪影響?(Vivek Arya)

Q: メモリ高が民生・PC・車載需要の逆風になっている?
A(CEO/IR):

  • 明確な影響は「現時点では見えていない」
  • ただし、部材不足が解消すると「最後に不足部材が揃った局面で急いで発注」が起き得る、と一般論で説明(turns増加の背景候補)

9) CapExの低下余地・“維持CapEx”の考え(Tim Arcuri)

Q: CapExはどこまで下がる?5%未満(≒$1B)まで行く?
A(CEO/CFO):

  • CEO:維持CapExはゼロにならず、**売上比で中単位%**が目安という趣旨
  • CFO:2026年は**$2~3B**、その先は「長期売上成長率の1.2倍」が目安(ただしITC控除前のグロス
    • ITC反映後は実質「成長率と同程度のネット投資強度」へ

10) 車載の状況(Thomas O’Malley)

Q: Q1強さの説明に車載が出てこない。車載の現状は?
A(CEO):

  • Q4車載はわずかに弱いが、H2(Q3/Q4)は強かった
  • 車載は2023年Q3がピーク。現状はピーク比で1桁%下程度まで戻っている
  • 中国はQ4も強い。ただしQ1は旧正月で季節性マイナス見込み
  • セキュラーな搭載量増は今後5年程度続く見立て

11) データセンターの内訳と中長期成長(Josh Buchalter)

Q: 70%成長の内訳(電源/シグナルチェーン/EP)と成長持続性は?
A(CEO):

  • 売上の中心はAnalog。内訳は「電源寄りだが、電源とシグナルチェーン双方が強い
  • VRM等の大口ソケットだけでなく、ラック内には多数の部品機会があると強調
  • 高電力レール向け技術(BCDプロセス、Shermanで製造)を投資・サンプル中、今後拡大見込み

12) 受注・バックログの質(William Stein)

Q: book-to-billは?バックログの期間は伸びた?
A(IR/CEO):

  • 数値としてのbook-to-billは非開示だが、バックログは積み上がった
  • 受注は「先に延びた」傾向はあるが、リードタイムが原因ではない
    • リードタイムは競争力維持:平均13週未満、多くは6週
  • 顧客が長期注文を積む必要がない環境でも、**turns(即納)**が強い

13) 工場稼働(loadings)の方向性(Wolfe)

Q: 以前下げた稼働を、今後上げる計画は?
A(CFO/IR):

  • 重要な変更があれば開示するが、現時点で大きな変化はない
  • 需要を見て調整する“ノブ”はある

14) 地域別(中国)の季節性(Wolfe)

Q: 地域別の季節性は?中国は?
A(CEO/IR):

  • Q1中国の車載は旧正月で季節性マイナスが通常
  • 4Qは中国売上:QoQ -7%(全社並み)、YoY +16%
  • バックログの地域偏りは大きくない

総括

✅ ポジティブ材料

  • データセンターが“無視できない規模”に到達:YoY +70%、7四半期連続成長、Q4で約$450M/四半期の示唆。産業・車載の循環回復に頼らず、構造的な成長エンジンが増えたのは大きい。
  • Q1ガイダンスが季節性より強い:受注・バックログ・turnsが改善。少なくとも“目先の失速”懸念は後退。
  • 製造投資の成果が出始めている:Sherman前倒し・高歩留まり、内製化(65nm完了、45nm進行)。**供給力と短いLT(6週品も多い)**は、次の需給逼迫局面でシェア取りの武器になり得る。
  • ITC 35%+補助金(最大$1.6B)により、巨額投資の“実効負担”が軽くなる。資本効率の改善余地。

⚠️ ネガティブ材料

  • ⚠️ 個人向け(PE)の弱さが想定以上:Q4は「季節性より弱い」と明言。TV/家電の落ち込みが大きく、補助金要因など外生変数に左右されやすい。回復の質が脆い
  • ⚠️ 在庫日数222日は高い:経営陣は“資産”と強弁するが、需要が再び鈍れば評価損・稼働調整・マージン圧迫の火種。特に「turnsが強い」状況は、裏を返せば需要の見通しが立たず短納期依存とも解釈できる。
  • ⚠️ Q1強さの説明が“受注が良い”に寄りがち:book-to-billなどの定量開示はなく、要因も「なぜ増えたか分からない」「ノイズかもしれない」と含みを残す。持続性に自信があるトーンではない
  • ⚠️ 粗利はQoQで-150bp:回復局面のはずでも、稼働・ミックス・コスト吸収の揺れが残る。Q1も需要次第でloadingsを動かすと言っており、マージンのレンジは依然ブレやすい
  • ⚠️ Otherののれん減損(EPS -$0.06):非現金とはいえ、事業の収益性/買収資産の期待値が崩れたサイン。ここは軽視すべきではない。

📈 株価インプリケーション

  • 上方向:Q1の強いガイダンス+データセンターの拡大が、短期のセンチメントを押し上げやすい。特に「価格ではなく数量/受注」と言い切った点は、需要の実在性を好感され得る。
  • ⚠️ 下方向:在庫水準の高さと、受注増の“説明の弱さ(ノイズの可能性)”が、数か月先の不安として残る。PEの弱さが続けばミックス悪化でマージンにも響く。

コメント

Ads Blocker Image Powered by Code Help Pro

広告ブロックを検出しました

ブラウザの拡張機能を使用して広告をブロックしていることが検出されました。 ブラウザの広告ブロッカー等の機能を無効にするか、kgs-invest.comドメインをホワイトリストに追加し、「更新」をクリックしてください。
タイトルとURLをコピーしました