オン(ティッカー:$ON)の2025年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $0.55 | $0.50 | 〇 |
売上高 | $1.45B (YoY -22.4%) | $1.4B | 〇 |
ガイダンス 2025Q2EPS | $0.53 ($0.48~$0.58) | $0.51 | 〇 |
ガイダンス 2025Q2売上高 | $1.45B ($1.40B~$1.50B) | $1.41B | 〇 |
📈 業績ハイライト
売上・利益・成長率
指標 | 数値 | 前年同期比 | 前四半期比 |
---|---|---|---|
売上高 | $1.45B(14億5,000万ドル) | – | – |
Non-GAAP営業利益率 | 18.3% | – | – |
Non-GAAP EPS(1株あたり利益) | $0.55 | 前年同期 $1.08 から減少 | 前四半期比で減少 |
Free Cash Flow(FCF) | $455M(72%増) | +72% | – |
FCFマージン | 31% | – | – |
自社株買い戻し | $300M | FCFの66%相当 | 年内にFCFの100%を予定 |
GAAP EPS | -$1.15 | 前年同期 +$1.04 | 大幅な赤字転落(リストラ費用含む) |
ポジティブ要素 ✅
- EPS・売上はガイダンスの中央値を上回る。
- FCF大幅改善。
- 在庫調整や構造改革により、長期的な収益性改善の布石。
ネガティブ要素 ⚠
- GAAPベースでの大幅な赤字。
- Non-GAAP粗利益率が前年同期比590bps(5.9%)低下。
- Automotive売上が前四半期比26%減。
セグメント別売上
セグメント名 | 売上高 | 前四半期比 | 前年同期比 |
---|---|---|---|
Power Solutions Group(PSG) | $645M | -20% | -26% |
Analog & Mixed Signal(AMG) | $566M | -7% | -19% |
Intelligent Sensing(ISG) | $234M | -23% | -20% |
エンドマーケット別動向
エンドマーケット | 売上高 | 前四半期比 | コメント |
---|---|---|---|
Automotive | $762M | -26% | 中国の春節と欧州需要減が影響 |
Industrial | $400M | -4% | 想定以上に健闘、回復兆候あり |
その他(AI・PC等) | 非公開 | +1% QoQ | AI・データセンター寄与が大 |
業績見通し(2025年Q2ガイダンス)
指標 | ガイダンス範囲 |
---|---|
売上高 | $1.4B ~ $1.5B |
Non-GAAP粗利益率 | 36.5% ~ 38.5% |
Non-GAAP EPS | $0.48 ~ $0.58 |
営業費用(Non-GAAP) | $285M ~ $300M |
設備投資 | $70M ~ $90M |
利用率 | Q1の60% → わずかに低下予想 |
Under-absorption影響 | 900bps(非現金コスト) |
コメント:
- 利用率改善により、1%ポイントあたり25~30bpsの粗利改善効果あり。
- 粗利益率は短期的に圧縮されるが、Q4以降にDepreciation削減効果(年換算$22M)期待。
経営陣コメントの要点
- CEO(Hassane El-Khoury):
- 市場の回復局面に向けた「Fab Right」戦略とR&D投資の継続。
- SiC(シリコンカーバイド)の設計勝ちが急増中。中国EV向け新型車の50%に採用。
- Treoプラットフォームによる製品多様化と高マージン貢献を強調。
- CFO(Thad Trent):
- Q1で製造能力の12%削減を実施、固定費削減による収益性改善を見込む。
- 全社的なリストラで人員9%削減、Q2で$25M、下期で追加$5M/四半期の節約効果。
- 年内FCFマージン25~30%目標は堅持。
🎙️ 質疑応答ハイライト
📉 Q: 同業他社に比べてガイダンスが控えめな理由は?
A(CEO):
EV特化型のポートフォリオであるため、一般的な半導体企業とはエンドマーケットが異なる。特に中国以外のEV市場は依然として低迷中。
📉 Q: 粗利益率への影響と改善見通しは?
A(CFO):
Fab Rightにより設備能力を12%削減、1%利用率増に対し25~30bpsの粗利改善効果が得られる構造。Q2は非現金コスト(under-absorption)900bpsの影響含む。改善はQ4以降に表れる。
📉 Q: 価格戦略変更の背景は?
A(CEO):
長期的なシェア拡大のため、戦略的価格調整を選択。旧来型の値下げ競争ではなく、Gross Marginへの影響は限定的。地域や製品による偏りはなし。
📈 Q: Silicon Carbide(SiC)事業の成長見通しは?
A(CEO):
2026年から4世代目Trench型SiCで量産開始予定。EVやPHEVへの採用拡大が続き、競合より優位なポジションを確保。粗利益率も50%以上に回復可能と想定。
📈 Q: Treoプラットフォームの展望は?
A(CEO):
2026年には目に見える売上貢献を期待。既に量産出荷開始済み。アナログ・高効率PMIC・センサなど高付加価値製品群で構成され、60~70%の高粗利ビジネス。
📉 Q: 在庫レベルは健全か?
A(CFO):
総在庫は219日だが、戦略的な橋渡し在庫(100日分)を除けば119日で健全。Q2がピークで、Q3以降に低下予想。ディストリビューション在庫は引き続き厳格に管理。
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