アトラシアン(ティッカー:$TEAM)の2025年度第3四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $0.97 | $0.93 | 〇 |
売上高 | $1.357B (YoY +14%) | $1.35B | 〇 |
ガイダンス 2025Q4売上高 | $1.354B ($1.349B~$1.359B) | $1.36B | 〇 |
業績ハイライト
売上および成長率
指標 | 数値 | 前年同期比 |
---|---|---|
総売上高 | 14億ドル | +30% |
クラウド売上 | 非開示(クラウド比率推定) | +25% |
フリーキャッシュフローマージン | 47% | 非開示 |
クラウド付加価値版売上成長率 | 40%以上(Premium/Enterprise) | 非開示 |
- クラウド売上の成長はエンタープライズ契約の遅延により想定を下回ったが、Q4で認識予定の売上は健全な水準。
- クラウドAIユーザー数は**1.5百万MAU(前四半期:1百万)**へと増加。
- Teamwork Collection(TWC)のローンチにより10百万以上のJiraユーザーへのアタッチ拡大を期待。
利益・マージン
指標 | 数値 |
---|---|
GAAPベース粗利益率 | 86% |
フリーキャッシュフローマージン | 47% |
- エンジニアリング主導による**クラウドインフラ効率化(COGS削減)**が奏功。
- AIによる新コスト(Rovo)は存在するが、他領域でのコスト最適化により構造的に吸収可能。
- 長期的には粗利率がクラウド比率の増加で低下する見込み(Investor Dayガイダンス維持)。
業績見通し・ガイダンス
項目 | コメント |
---|---|
FY2025通期売上CAGR見通し | 20%以上(FY27まで)を維持 |
FY2026におけるクラウド移行貢献 | ミッドシングル~ハイシングル成長貢献見込み |
データセンター事業成長 | 価格改定+拡大により成長継続 |
TWCのFY26影響 | 限定的だが、中長期で成長促進を期待 |
経営陣のコメント(要約)
- CEO(Mike Cannon-Brookes):「AI時代におけるアトラシアンの競争優位はRovo中心の“System of Work”によって確立される。AIの民主化を推進し、知識労働者拡大を実現する。」
- CFO(Joe Binz):「AI投資はコストだが、クラウドCOGSの削減が相殺。クラウド粗利の改善が全社粗利構造を下支えする。」
質疑応答ハイライト
Q1: Rovoを無料で含める戦略のCAGRへの影響は?
Q(Morgan Stanley):
RovoをPremium/Enterpriseに含めることで、短期的な売上への影響は?また20% CAGRの見通しに変更は?
A(CEO/CFO):
- 「短期的なモネタイズよりもユーザー数とAI利用拡大を優先。」
- 「R&Dで効率化されており、コスト面でも実現可能な戦略。」
- 「20% CAGRの中期見通しに影響なし。」
Q2: クラウド売上が期待を下回った要因
Q(Mizuho):
クラウド売上が期待を下回った理由と、データセンター売上への期間変更(1年契約化)の影響は?
A(CFO):
- 「エンタープライズ契約が四半期末に集中し、Q3認識に間に合わなかった。」
- 「クラウド請求は健全で、Q4で認識予定。」
- 「データセンターは価格が成長を牽引、がマルチイヤー契約減少が収益に逆風。」
Q3: エンタープライズ契約遅延の背景とDC→クラウド移行の壁
Q(William Blair):
契約遅延の原因は?またDCからの移行が進まない顧客の理由は?
A(CFO/CEO):
- 「より複雑な大型契約へのシフトでクロージングが長期化。」
- 「Rovoの**セキュリティコンプライアンス取得(ISO、SOC2)**や、政府向け認証(FedRAMP)などで懸念は解消傾向。」
- 「クラウドの顧客体験はDCより優れており、“ifではなくwhen” のフェーズ。」
Q4: データセンター1年契約化がクラウド移行に与える影響
Q(Raymond James):
DC契約期間の変更はFY26のクラウド移行率を引き上げるか?
A(CFO):
- 「FY26・FY27でクラウド移行貢献が高まると予測。FY25はサーバー終了による貢献減少があった。」
Q5: 利益率とコスト構造について
Q(Wells Fargo):
高いフリーキャッシュフローと粗利益の背景、持続性は?
A(CFO):
- 「価格改定、Premiumへのアップセル、クラウドCOGS削減が背景。」
- 「R&D主導の効率化は今後も持続可能。」
- 「RovoによるCOGS増加も既存コスト削減で相殺可能。」
Q6: TWC(Teamwork Collection)の価格と将来的な影響
Q(Barclays):
TWCの価格が割安すぎるのでは?長期的に成長にどう寄与するか?
A(CEO/CFO):
- 「10M以上のJiraユーザーにConfluenceやLoomをクロスセルできる機会が大きい。」
- 「価格単価は下がっても、追加ユーザー数、AI利用増加、エディションアップグレードで総売上は増加。」
- 「長期視点での戦略的施策。」
Q7: Isolated Cloudの戦略意図とコスト影響
Q(Baird):
Isolated Cloudはどんな顧客を想定?クラウドCOGSに与える影響は?
A(CEO/CFO):
- 「最も厳格なセキュリティを求める顧客(政府・大企業)向け。」
- 「クラウド全体のモジュール化・標準化により、コスト面でもスケーラブルに提供可能。」
Q8: CRO(Chief Revenue Officer)交代とGo-to-Market戦略の変化
Q(Barclays):
新CROのBrianによる販売戦略の変化は?
A(CEO):
- 「大きな変更というより“進化の継続”。Brianはエンタープライズ経験豊富で、既存チームとの協業で強化していく。」
Q9: Rovoと生成AIのエンタープライズ導入の現状
Q(KeyBanc):
生成AIはまだ初期段階だと思うが、企業の導入状況は?
A(CEO):
- 「ROIへの理解とPoCフェーズが中心。AIと人間のコラボレーションに注力するRovoは高評価。」
- 「月間アクティブユーザーは急成長中(+50万増)。今後さらに拡大を見込む。」
コメント