モルガンスタンレー(ティッカー:$MS)の2025年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $2.60 | $2.19 | 〇 |
売上高 | $17.748B (YoY +17.5%) | $16.55B | 〇 |
業績ハイライト
連結業績サマリー
項目 | 2025年Q1 | 前年同期比 | 備考 |
---|---|---|---|
売上高(Revenue) | $17.7B | +17% | 過去最高を記録 🟩 |
EPS(1株当たり利益) | $2.60 | +29% | 過去最高を記録 🟩 |
ROE(自己資本利益率) | 非開示 | – | – |
ROTCE(有形自己資本利益率) | 23% | – | 過去5四半期平均:20% 🟩 |
CET1比率 | 15.3% | +0.3pt | 強固な資本水準 🟩 |
効率性比率(Efficiency Ratio) | 68% | 改善 | 一部$144Mの人員整理費を含む |
セグメント別業績
Institutional Securities(ISG)
項目 | 2025年Q1 | 前年同期比 | コメント |
---|---|---|---|
売上高 | $9.0B | +28% | 過去最高 🟩 |
投資銀行業務(IB)売上 | $1.6B | – | FIが牽引、ECMは低調 |
ECM(株式引受) | $319M | 減少 🔻 | 米国での活動鈍化 🔴 |
DCM(債券引受) | $677M | 増加 🟩 | ハイイールド市場の活況 |
M&A助言 | $563M | 増加 🟩 | 中型案件やPEファンド取引が増加 |
株式(Equities) | $4.1B | +45% | 過去最高 🟩 |
債券(Fixed Income) | $2.6B | 増加 🟩 | FXを中心に高い取引需要 |
Wealth Management
項目 | 2025年Q1 | 前年同期比 | コメント |
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売上高 | $7.3B | – | 安定した収益基盤 |
税前利益 | $2.0B | – | DCPと人員削減費でPBTマージン26.6%(▲1.74pt)🔴 |
ネット新規資産流入 | $94B | +6%(年率) | アドバイザー主導、職場チャネルが貢献 🟩 |
総顧客資産 | $6T | 横ばい | うち**$2.3T**がフィーベース資産 |
フィーベースフロー | $30B | – | ブローカレッジ→フィーベース移行が継続 🟩 |
証券担保ローン | 増加 | +$3B QoQ | 税金支払需要による 🟩 |
Investment Management
項目 | 2025年Q1 | 前年同期比 | コメント |
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売上高 | $1.6B | +16% | AUM増加とフロー堅調 🟩 |
運用資産残高(AUM) | $1.6T | + | Parametricが牽引 |
長期純流入 | $5.4B | – | 特に債券、Parametricが貢献 |
短期資金の流出 | $19B | 季節要因 🔴 | 想定よりは穏やか |
資本政策・財務状況
- 自己資本充実:$1.9BのCET1資本増強、CET1比率15.3%
- 自社株買い:$1Bを買い戻し 🟩
- NII(純金利収入):$1.9B(前四半期比わずかに増)
- 預金残高:$375B(QoQ増)、sweepは季節要因で減少
- 今後の見通し:税支払でsweep減少見込み → NIIはわずかに減少へ 🔻
質疑応答ハイライト
① 株式トレーディングの持続性(Steven Chubak)
Q:株式部門が絶好調だが、今後もこの勢いは続くのか?
A(Ted Pick):
- 9つのエリア(3商品 × 3地域)すべてで成功 🟩
- アジアでもシェア拡大。テクノロジーとリスク管理の成果。
- 弱気シナリオは、取引活動・新規案件・レバレッジが減少する「リスクオフ」。
- だが今はクライアントの関与が高く、“animal spirits are still there”。
- **「勝ち組ビジネス」**として継続を期待 🟩
② M&Aの持続性とキャッシュ動向(Sharon Yeshaya)
Q:M&Aの強さは継続するのか?キャッシュやマージンの状況は?
A:
- M&Aは3チャネル(Workplace、Self-directed、Advisor-led)で全体的に堅調 🟩
- Self-directedは投資強化の成果が出ており、アクティビティも高い。
- 証券担保ローン(SBL)は税金支払いに向けた需要増を反映。
- リスクオフ時には逆にSBL増加の可能性も。
③ アジアとグローバル戦略(Chinedu Bolu)
Q:アジア事業の見通しは?米中のデカップリング懸念にどう対応?
A(Ted Pick):
- 日本のMUFGとの連携強化:今後も重視 🟩
- アジア全体で17,500名、香港に2,500名:中華圏ビジネスも継続。
- インドにも12,000人、欧州でも積極投資。
- 将来的には「数少ないグローバル勝者」としての地位を目指す。
- 規制の多い環境下でも着実にシェア獲得へ。
④ 顧客の姿勢と活動(Ebrahim Poonawala)
Q:ボラティリティが高まる中で、クライアントの反応は?
A(Ted Pick):
- パイプラインは堅調、「pause(停止)だが、delete(消滅)ではない」。
- スポンサーや企業は戦略上の活動を継続。
- ウィンドウが開けば資金調達は再開。今は明確な「リスクオフ」ではない。
⑤ SLR(レバレッジ比率)改革の影響(Sharon)
Q:SLR改革がもたらす影響は?
A:
- SLRが制約でなくなれば、CET1に焦点が移り、資本配分に柔軟性が増す 🟩
- ただし、**「規制全体の体系的見直しが必要」**との認識
- SLR単体ではなくG-SIB・CCARなどと一体で捉えるべき
⑥ Wealthチャネルごとの強さ(Sharon)
Q:ボラティリティの高い環境で、どのチャネルが強い?
A:
- 自己売買とアドバイザー主導が好調。特に未承諾トレードが急増。
- Workplaceは授与株が少ないと影響もあり得る。
- 技術的対応力(安定稼働)により自社プラットフォームへの信頼も維持。
⑦ アドバイザー採用と代替投資(Daniel Fannon)
Q:アドバイザー採用動向とオルタナティブ商品の戦略は?
A:
- 採用活動は非常に活発(「ライトが点滅して止まらない」)🟩
- オルタナ資産:$200B保有, GIC推奨比率は15%(現在5%)→ 成長余地あり 🟩
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