ウェルズファーゴ(ティッカー:$WFC)の2025年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $1.27 | $1.22 | 〇 |
売上高 | $20.15B (YoY -3.4%) | $20.76B | × |
業績ハイライト
売上・利益の概要
指標 | 数値 | 前年同期比 | 前四半期比 | コメント |
---|---|---|---|---|
純利益(Net Income) | $4.9B | +16%(EPSベース) | – | EPSは $1.39、一部一時的な税効果($0.09)と売却益($0.06)を含む。 |
希薄化後EPS | $1.39 | +16% | – | 好調なEPS成長 |
純金利収入(NII) | -$341M(QoQ減少) | – | ▼3% | 浮動金利資産の利下げと営業日数の少なさ(2日減)による。 |
非金利収入 | 安定(前年比) | – | – | 投資顧問・IB手数料の増加、商業MBS事業の一部売却益($263M)あり。 |
費用(Noninterest Expense) | ▼3%(前年比) | 安定 | – | 効率化・特別FDIC負担の減少による。費用削減進展 |
セグメント別の業績
コンシューマーバンキング & ローン部門
部門 | 前年同期比の変化 | コメント |
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消費者・中小企業バンキング | ▼2% | 高金利商品の預金移行が影響。ただし預金残高は増加。 |
デビットカード利用額 | +4% | 安定した消費を反映。 |
住宅ローン | ±0% | 起債量は+26%(購入・リファイナンス共に増加)。 |
クレジットカード | +2% | 残高増による。 |
オートローン | ▼21% | 残高減少と価格圧縮。高FICOへの集中による信用改善反映。弱含み |
コマーシャルバンキング
指標 | 前年同期比 | コメント |
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売上 | ▼7% | NII減少が影響、ただしIB手数料や税クレジットは増加。 |
貸出残高 | ±0% | 第4四半期比で+1%、若干の成長。 |
CIB(コーポレート・投資銀行)
指標 | 前年同期比 | コメント |
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銀行業務収益 | ▼4% | 金利低下の影響。IB手数料増で一部相殺。 |
CRE(商業不動産) | +18% | 商業MBS事業の一部売却益が寄与。収益貢献 |
マーケット収益 | 安定 | コモディティ・FX好調、ただしストラクチャード商品とクレジットは軟調。 |
貸出残高 | ▼2% | 不動産分野の低迷継続、ただし市場部門と銀行部門で成長。 |
資産運用・ウェルスマネジメント
指標 | 前年同期比 | コメント |
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売上 | +4% | 資産評価額増による手数料増。ただしNIIは預金コスト増で減少。 |
預金残高 | 増加 | 預金の流出鈍化傾向。 |
クレジットの健全性
指標 | 数値・変化 | コメント |
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貸倒率(Net Charge-off) | 0.45% | 前四半期比で▼8bps、前年比で▼5bps。信用改善 |
商業貸倒率 | ▼$192M(QoQ) | オフィスCREの改善が寄与。 |
消費者貸倒率 | ▼$10M(QoQ) | オート・その他減少、カードは季節要因で増加。 |
不良債権残高(NPA) | +4%(QoQ) | 商業貸付の一部で増加。 |
貸倒引当金(ACL) | ▼$84M(QoQ) | CRE残高減による。経済不透明感を反映した調整も実施。 |
CRE(オフィス)カバレッジ | 11.2% | 引き続き高水準維持。 |
資本・ガイダンス
指標 | 数値 | コメント |
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CET1比率 | 11.1% | 規制最低水準(9.8%)を大きく上回る。堅調な資本 |
株主還元(配当+自社株買い) | $4.8B | うち$3.5Bが自社株買い。希薄化株数は前年比▲8%。 |
通期NII見通し | +1~3%(前年比) | ただし下限寄りになる見通しと明言。慎重な見通し |
通期費用見通し | 約$54.2B | 変更なし。 |
質疑応答ハイライト
顧客のセンチメントと投資行動
Q: 顧客の動向について、慎重姿勢か、それとも回復を見込んだ前向きな姿勢か?
A (Scharf):
「慎重だが前向き。消費者・法人ともに健全な状態にあるが、不透明な政策環境を見極めようとしている。“様子見”が大勢。」
NII見通しの不確実性
Q: NIIが下限になると見込む根拠は?
A (Santomassimo):
- 下期の利下げ回数次第で上下に振れる。
- 商業貸出に若干の成長兆し。
- 消費者預金のリテンションが予想以上に良好。
- 一方で、取引関連のNII変動あり(手数料収入と相殺)。
A (Scharf):
「前提は大きくブレる可能性がある。forward curveに頼りすぎるのは危険。」
規制とコンセントオーダー
Q: 規制環境の変化は残りの命令書の解消に影響あるか?
A (Scharf):
「現体制で十分に前向きな対応が可能と確信。11件が2019年以降に解消されており、対応能力には自信。」
クレジット環境とリザーブ設定
Q: 経済悪化を想定したリザーブ調整について詳しく。
A (Santomassimo):
- モデルは失業率5.8%まで上昇するシナリオを反映。
- モデル外リスクを考慮し、追加リザーブも設定。
- 「明確な悪化兆候はまだ見えていない。」
貸出成長と利用率
Q: 商業貸出の成長要因は?
A (Santomassimo):
- 主に既存顧客の与信枠利用率の増加による。
- ABL(資産担保融資)でもわずかな成長。
- 「BAU(日常的な活動)による成長であり、関税前倒し需要ではない。」
インベストメントバンキング(IB)の成長性
Q: IB収益の今後は?
A (Santomassimo):
- DCM(社債発行)が引き続き強い。
- ECM(株式)はボラティリティで鈍化。
- M&Aのパイプラインは「良好だが様子見が多い」。
費用の柔軟性
Q: 収益が想定未達の場合の費用調整余地は?
A (Santomassimo):
- 賞与など業績連動費用で調整可能。
- WIM部門では市場下落→費用減が見込まれる。
- 効率化(プロセス自動化・不動産削減等)も継続。
株主還元と資本戦略
Q: 自社株買いの継続余地は?
A (Santomassimo):
「柔軟に判断。引き続き十分な資本余力あり。」
A (Scharf):
「不確実性への備えと規制緩和の期待の中で柔軟に対応。」
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