JPモルガン・チェース(ティッカー:$JPM)の2025年度第3四半期決算についてまとめます
- 決算概要
- 業績ハイライト
- 質疑応答ハイライト
- 小売預金と2026年NII見通し(John McDonald – Truist Securities)
- クレジット環境とNBFI(Glenn Schorr – Evercore)
- 商業貸出の引当と資本の使い道(Betsy Graseck – Morgan Stanley)
- 景気見通しとAIの影響(Ebrahim Poonawala – BofA)
- NBFI(ノンバンク金融機関)リスク(Mike Mayo – Wells Fargo)
- 住宅ローン市場と規制(Gerard Cassidy – RBC)
- 経費と報酬圧力(Erika Najarian – UBS)
- IB環境と資本配分(Jim Mitchell – Seaport Global)
- ローン利回りとSapphire(Ken Usdin – Autonomous)
- 預金シェアと価格戦略(Chris McGratty – KBW)
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
| 結果 | 予想 | 判定 | |
|---|---|---|---|
| EPS | $5.07 | $4.87 | 〇 |
| 売上高 | $47.12B (YoY +8.8%) | $45.57B | 〇 |
業績ハイライト
連結業績概要
| 項目 | 数値 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 純利益 | 144億ドル | – |
| EPS | $5.07 | – |
| ROTCE | 20% | – |
| 総収益 | 471億ドル | +9% |
| 経費 | 243億ドル | +8% |
| クレジットコスト | 34億ドル | – |
| ネットチャージオフ | 26億ドル | – |
| 純引当金繰入額 | 8.1億ドル | – |
| CET1比率 | 14.8% | 前四半期比 -30bps |
- 収益増加はマーケット収益の拡大、資産運用・投資銀行・ペイメントの手数料増が牽引。
- NII(ネット金利収入)の増加はバランスシート成長・ミックスによるが、低金利の影響で一部相殺。
- クレジットコストには、一部不正が疑われる貸出によるチャージオフが含まれる(Tricolorで1.7億ドル)。
セグメント別業績
CCB(Consumer & Community Banking)
| 項目 | 数値 | 前年同期比 |
| 純利益 | 50億ドル | – |
| 収益 | 195億ドル | +9% |
- NII増加の主因は、リボルビング残高の増加。
- 小口消費者・中小企業ともに堅調。
- 早期延滞率は安定的、むしろ想定より若干良好。
- 小売預金シェアでFDICデータ上5年連続トップ。
- Sapphireカードの刷新が成功、口座開設数過去最高を記録。
CIB(Corporate & Investment Bank)
| 項目 | 数値 | 前年同期比 |
| 純利益 | 69億ドル | – |
| 収益 | 199億ドル | +17% |
- IB手数料は+16%。特にIPO(株式引受)で活況。
- 市場部門:
- 債券:+21%(金利・クレジット・証券化商品)
- 株式:+33%(プライム業務などで高い顧客活動)
AWM(Asset & Wealth Management)
| 項目 | 数値 | 前年同期比 |
| 純利益 | 17億ドル | – |
| 収益 | 61億ドル(過去最高) | +12% |
| プレタックスマージン | 36% | – |
| 長期ネットインフロー | 720億ドル | – |
| AUM(運用資産残高) | 4.6兆ドル | +18% |
| クライアント資産 | 6.8兆ドル | +20% |
- 管理報酬増とブローカレッジ活動の拡大が貢献。
- インフローは債券・株式が牽引。
コーポレート部門
| 項目 | 数値 |
| 純利益 | 8.25億ドル |
| 収益 | 17億ドル |
業績見通し(ガイダンス)
第4四半期・通期見通し
| 項目 | 予想値 |
| NII(マーケット除く)Q4 | 約235億ドル |
| NII(全体)Q4 | 約250億ドル |
| 調整後経費Q4 | 約245億ドル |
| 通期経費 | 約959億ドル |
| カードネットチャージオフ率(2025) | 約3.3% |
- 消費者の強さと延滞率改善によりカードの信用コスト見通しは改善。
- 2026年のNII(マーケット除く)中核シナリオ:約950億ドル。
- 経費見通しは予算策定中のため未開示。ただし、2026年のコンセンサス(1,000億ドル)はやや低いとの見解。
質疑応答ハイライト
小売預金と2026年NII見通し(John McDonald – Truist Securities)
Q: 預金成長見通し(+3%→+6%)は継続か?
A: 直近は預金横ばい。個人貯蓄率の低下・支出増・株式市場好調により、投資流入が預金残高を抑制。だが、四半期で40万件の純口座増加を記録し、長期的には成長に自信。
Q: その他の2026年NII前提は?
A: フォワードカーブ(9月末時点)を反映。レート低下は逆風だが、カードのリボルビング残高やローン成長が相殺。ホールセール預金は今年強かったが、来年は控えめ見込み。
クレジット環境とNBFI(Glenn Schorr – Evercore)
Q: パブリックとプライベート市場のクレジット基準差異は?
A: 今のところ大きな差異は見られない。だが、新規直接融資の一部はやや高い想定損失率で引き受けられており、将来的にはホールセールのチャージオフ率が若干上昇する可能性。
補足: Tricolorで1.7億ドルの貸倒れ。First Brandsへのエクスポージャーはなし。
商業貸出の引当と資本の使い道(Betsy Graseck – Morgan Stanley)
Q: 商業貸出への引当て方針?
A: 新規貸出時点で適切に引当済み。特に直接融資ではDay1で大きな引当が必要。
Q: 余剰資本の使途?
A: 過度な自己株買いを避けつつ、貸出成長や国家安全保障関連分野への5,000億ドル追加支援に活用予定。
景気見通しとAIの影響(Ebrahim Poonawala – BofA)
Q: 景気の先行き懸念について?
A: 現状の労働市場は堅調で延滞も良好。ただし、不確実性は高く、今後の失業率上昇の可能性は排除できない。
Q: AIによる経費抑制効果は?
A: 定量的に示すのは難しいが、AI導入により生産性向上は確実。2026年経費予算策定では人員増加抑制を強く意識。
NBFI(ノンバンク金融機関)リスク(Mike Mayo – Wells Fargo)
Q: Tricolorの影響とNBFIへの融資リスク?
A: Tricolorは1.7億ドルの貸倒れ要因。不正も疑われる。NBFI向け融資の大半は担保付き・構造化されたもので、全体としては懸念は限定的。だが、リスクは注視中。Jamie Dimon曰く、「ゴキブリを1匹見たら、他にもいると思うべき」
住宅ローン市場と規制(Gerard Cassidy – RBC)
Q: 住宅ローン金利スプレッド縮小に向けた施策?
A: モーゲージ取得に伴う過剰な文書化・手続きが最大のコスト要因。規制緩和で30-40bpsのコスト削減が可能。
Q: Basel III見通し?
A: 規制当局は全体像を見た上で前向きな調整を進行中。業種別のリスクに基づいた算出方法を重視。
経費と報酬圧力(Erika Najarian – UBS)
Q: 2026年経費見通し(+4%)は新常態?
A: 労働コストの年率+3~4%が新常態。さらに医療費(2026年+10%)や競合との報酬競争も圧力。
IB環境と資本配分(Jim Mitchell – Seaport Global)
Q: IPO・M&A動向は?
A: IPOのパイプラインは充実。M&A活動も夏以降活発化。金利環境はディール成立に十分な状況。
Q: RWA増に伴う資本配分?
A: 自社株買いよりも、健全な収益成長機会に資本活用を重視。ただし、無理なリスクテイクは避ける方針。
ローン利回りとSapphire(Ken Usdin – Autonomous)
Q: ローン利回りが上昇した要因?
A: カードローンの構成比増によるミックス効果。
Q: Sapphireカード刷新による収益への影響?
A: 一時的に報酬コスト先行で非金利収益がマイナス。数四半期で正常化予定。
預金シェアと価格戦略(Chris McGratty – KBW)
Q: 15%預金シェア目標達成に価格競争必要か?
A: 必要なし。価格ではなく、製品・サービス・チャネル拡充による獲得を継続。拡大地域ではシェア上昇を確認。

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