決算:LLY 2023Q4

決算

Eli Lilly & Co.(ティッカー:$LLY)の2023年第4四半期決算についてまとめます

finviz dynamic chart for LLY

決算概要

アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。

結果予想判定
EPS$2.49$2.09
売上高$9.35B
(YoY +10%)
$8.96B
ガイダンス
2024Q1EPS
$12.45
($12.20~$12.70)
$12.56×
ガイダンス
2024Q1売上高
$41.0B
($40.4B~$41.6B)
$39.52B

業績ハイライト

2023年第4四半期の業績ハイライト

  • 売上高は前年同期比28%増の成長、新製品が引き続き勢いを増している
  • 非GAAPベースの1株当たり利益は前年同期比19%増の2.49ドル
  • 2023年通期の売上高は20%増、非GAAPベースの1株当たり利益は16%増
  • 第4四半期にZepboundとJaypircaのCLLが承認された

2024年の見通し

  • 売上高は204億〜216億ドルの見通し、中間値で29%の成長予想
  • 非GAAPベースの1株当たり利益は12.20ドル〜12.70ドルの見通し
  • Mounjaro、Zepbound、Verzenioなどの新製品が成長をけん引する見込み
  • Donanemabの承認取得、Lebrikizumabの承認申請を予定
  • 製造能力の拡大、パイプラインへの投資、事業開発に注力

質疑応答ハイライト

米国外でのGLP-1製品の機会について

  • 米国外でのMounjaroの上市は、規制当局の承認状況や競争環境、支払機関の動向などを考慮しながら進めている
  • すでにオーストラリア、カナダ、ドイツ、ポーランドではバイアル製剤で上市済み
  • 英国ではQuickPen製剤が承認され、近く上市予定
  • Multi-use QuickPenの承認取得と供給能力の拡大を見極めながら、他の市場でも上市を進めていく方針

Zepboundの保険適用拡大の見通し

  • 2月1日時点で商業保険の35%をカバーしており、順調なスタート
  • 今後は規律を持って保険適用のさらなる拡大を目指す一方、個々の雇用主のオプトインにも注力
  • 雇用主のオプトインには時間がかかるが、現在のアクセスを考えると競合品と同程度の50%程度になると想定
  • 雇用主のオプトインを示す信頼できる単一のデータソースはないため、引き続き市場動向をモニタリングしていく

NASH領域でのTirzepatideの可能性

  • SYNERGY-NASHの良好な結果を受け、FDAと次のステップについて協議予定
  • 被験者数は少ないが肝生検による評価を行った試験
  • 線維化改善の副次評価項目で用量によって統計的有意差はあるものの、臨床的に意義のある効果が示された
  • 線維化が改善に転じる可能性を示したことを喜ばしく思う
  • 効果の大きさを考えると次相試験への移行を検討すべき

Tirzepatide の lean body mass への影響について

  • 体重における除脂肪量と脂肪量の比率(体組成)は重要であり、2型糖尿病や心血管疾患リスクとの関連が示唆される
  • Tirzepatide投与によって脂肪量の減少が除脂肪量を上回り、体組成が改善することを複数の試験で確認
  • 競合品との直接比較ではないものの、GIPとGLP-1の作用の違いを反映した結果の可能性がある
  • 体重減少効果のさらなる向上と並行して、体組成への影響をさらに高めることにも注力している

経口GLP-1受容体作動薬への期待

  • 注射製剤だけでは、肥満症患者6億5000万人への対応は困難
  • 現在の供給制約を考えると、経口薬による選択肢の拡大は重要
  • Orforglipronは第2相で競合品に匹敵する体重減少効果を示し、食事や水分摂取のタイミングにも制約がない
  • 肥満症患者の約20%が注射治療を躊躇しており、経口薬のニーズは大きい
  • Orforglipronは慢性体重管理において強力な選択肢になり得る

Tirzepatide の NASH 適応追加に関する方針

  • SYNERGY-NASHのデータを入手したばかりであり、次のステップを検討中
  • 第3相試験を控えさせるような懸念すべき所見はない
  • NASHにおける第3相試験では、肝生検に代わる非侵襲的評価手法の活用を重視したい
  • 非侵襲的バイオマーカーにより治療適応患者の特定と治療反応のモニタリングができれば有用性は大きい
  • 競合品に先行して非侵襲的評価の確立を目指したい

GLP-1受容体作動薬の投与期間について

  • 2型糖尿病では平均15ヶ月程度との見方を示してきたが、肥満症については判断するだけのデータがまだない
  • Mounjaroについては製品供給や自己負担額助成プログラムの変更など特殊要因もあるが、2023年第1四半期開始例の継続率は同種薬と同等以上と推察される
  • Zepboundについてはまだ評価は時期尚早
  • 薬剤の有効性を実感できれば、患者は治療を継続するインセンティブになると考えている
  • 慢性疾患治療薬の長期アドヒアランスには様々な要因が関与するが、薬剤の有用性自体が治療継続の原動力になると確信

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