IBM(ティッカー:$IBM)の2024年度第2四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $1.99 | $1.80 | 〇 |
売上高 | $15.8B (YoY +1.9%) | $15.62B | 〇 |
業績ハイライト
収益
- 第2四半期の収益は158億ドルで、前年同期比4%増(為替変動の影響を除く)
- ソフトウェア部門が8%増、インフラストラクチャー部門が3%増と好調
- コンサルティング部門は2%増
利益
- 営業税引前利益は28億ドルで、前年同期比17%増
- 営業税引前利益率は220ベーシスポイント改善
- 1株当たり営業利益は2.43ドルで、前年同期比11%増
キャッシュフロー
- フリーキャッシュフローは上半期で45億ドルを計上し、前年同期比11億ドル増
- 通年のフリーキャッシュフロー見通しを120億ドル超に引き上げ
その他
- Red Hatの年間ブッキングは20%以上成長、OpenShiftのブッキングは40%以上成長
- 生成AIに関連するビジネスは設立以来20億ドル超に到達
- ソフトウェア部門の通年の成長見通しを高単一桁台に引き上げ
質疑応答ハイライト
トランザクション処理の成長について
- トランザクション処理部門は13%成長し、長期モデルの低単一桁台を上回った
- 主な要因:
- メインフレーム・サイクルの強さを活用
- インストールベースのMIPS(処理能力)が過去3プログラムで3倍に増加
- 80%以上の顧客がメインフレームのMIPSを増加
- watsonx Code Assistant for Zなど新機能への投資が好調
- 2024年の見通しを中単一桁台の成長に引き上げ
- 2025年以降も成長を継続できる自信あり
AIサイニングと既存ビジネスへの影響
- AIサイニングの大部分は現時点では他の分野からのシフト
- コンサルティング部門では、短期的な裁量的支出からAIへのシフトが見られる
- ソフトウェア部門では、AIによる成長が約1ポイント寄与し、主に増分需要
- 長期的には、AIがTAM(総市場規模)を拡大し、成長を加速させると予想
- コンサルティング部門では、AIが戦略的パートナーとしての地位確立に寄与
コンサルティング部門の見通し
- 2024年通年の成長見通しを低単一桁台に引き下げ
- 短期的な裁量的支出の抑制が継続
- 大規模な変革プロジェクトへの需要は堅調
- AIモメンタムは予想を上回る pace で進展
- 戦略的パートナーシップやRed Hatの成長は継続
- マクロ経済の不確実性は6ヶ月程度続く可能性があるが、長期的には楽観的
M&A戦略について
- 戦略に変更なし – ハイブリッドクラウドとAIに焦点
- 規律を保ち、シナジー効果とフリーキャッシュフローへの貢献を重視
- 現在の評価は2020年後半〜2021年ほど高くないが、18ヶ月前より高い
- 大型案件の場合、十分なシナジーがあれば売上高の6〜10倍程度のマルチプルを検討可能
- プライベート市場の方がやや低い評価だが、リスクも低い
- HashiCorpの買収完了後、さらなるM&Aを検討
Red Hat事業の状況
- ブッキングの強さが1年間継続し、今後の収益に反映される見込み
- 下半期の契約上の収益義務(CRPO)は中十台%で推移
- これにより、下半期は低二桁%の成長が見込まれる
- OpenShiftの需要は40%成長、LinuxとAnsibleも二桁成長
- RHEL AIとOpenShift AIの2つのオープンソースAIプロジェクトに期待
Graniteモデルのオープンソース化について
- 大規模モデルは技術的・経済的に実現困難と判断
- 目的に特化した小規模モデルの方が効率的でコスト効果が高い
- Graniteモデルは大規模モデルの1/10以下のサイズで同等のパフォーマンス
- オープンソース化により、顧客が独自のデータでモデルを調整可能に
- 開発者エコシステムへのアプローチとして有効
- エンタープライズ向けのサポートやセキュリティなどのビジネスチャンスは維持
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