アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(ティッカー:$AMD)の2025年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $0.96 | $0.93 | 〇 |
売上高 | $7.44B (YoY +36%) | $7.32B | 〇 |
ガイダンス 2025Q2売上高 | $7.4B ($7.1B~$7.7B) | $7.24B | 〇 |
業績ハイライト
全体概要
項目 | 数値 | 前年同期比 | コメント |
---|---|---|---|
売上高 | $7.4B | +36% | 予想を上回り、データセンター・クライアント・ゲーミングの成長が寄与 |
粗利益率(Non-GAAP) | 54% | +1.4pt | RyzenおよびEPYCのミックス改善 |
営業利益(Non-GAAP) | $1.8B | +未公表 | 営業利益率24%に改善 |
EPS(Non-GAAP) | $0.96 | +55% | アナリスト予想を上回る |
フリーキャッシュフロー | $727M | – | 株主還元として$749Mの自社株買い実施 |
セグメント別業績
データセンター部門
指標 | 数値 | 前年同期比 |
---|---|---|
売上高 | $3.7B | +57% |
営業利益 | $932M | 営業利益率25% |
- EPYCサーバーCPUのシェア拡大継続(5世代目「Turin」が好調)
- MI300/325 AIアクセラレータが複数ハイパースケーラーや基幹モデル提供社に採用
- Instinct GPUは強力な推論性能により、LLM推論用途で採用が拡大
ポジティブ要素:
- 30以上のクラウドインスタンスがEPYCベースで新規投入(AWS、Google、Oracleなど)
- OracleとのMI355搭載ラックスケールAIクラスター構築など、パートナー拡大
懸念点:
- MI308に関する対中輸出制限でQ2に$700Mの売上減見込み(年間影響$1.5B)
- MI308関連で$800Mの在庫評価損計上(Q2)
クライアント・ゲーミング部門(統合済)
指標 | 数値 | 前年同期比 |
---|---|---|
売上高 | $2.9B | +28% |
クライアント売上 | $2.3B | +68% |
営業利益 | $496M | 営業利益率17%(前年10%) |
- クライアント事業は5四半期連続で市場シェア拡大
- Ryzen AI PCが商用ノートPCで好調(YoY +30%)
- Ryzen 9950X3Dなど高性能CPUがeTailランキング上位を獲得
懸念点:
- ゲーミング売上は前年同期比▲30%(セミカスタムSoC減少が影響)
- PC販売好調の一方で、在庫のプルイン懸念に関しては「影響なし」との説明
組み込み部門
指標 | 数値 | 前年同期比 |
---|---|---|
売上高 | $823M | ▲3% |
営業利益 | $328M | 営業利益率40%(前年41%) |
- 通信・航空宇宙・テスト&計測市場で回復傾向あり
- CiscoやIBMがEPYC Embedded 9005シリーズを採用
- Spartan UltraScale+、Versal AI Edgeの出荷開始
業績見通し(ガイダンス)
2025年第2四半期
指標 | 数値(ガイダンス) |
---|---|
売上高 | 約$7.4B ± $300M(YoY +27%) |
粗利益率(Non-GAAP) | 43%(在庫評価損含む) → 評価損除くと 54% |
営業費用 | 約$2.3B(ZT Systems統合分含む) |
株式数(希薄化後) | 約16.4億株 |
- MI308対中規制による影響を織り込み済($700M)
- クライアント・ゲーミング部門はQ2に2桁%成長見通し
- Data Center売上は規制の影響でQ2に減少見通しだが、CPUは成長見込み
質疑応答ハイライト
クライアント部門の好調の要因(TD Cowen)
Q: クライアント部門の強さは在庫のプルインか?実需か?
A(Lisa Su):
- Q1はASP(平均販売価格)の上昇が主因。デスクトップが季節性を上回る販売。
- プルインの兆候は見られず。Q2も商用PCの立ち上がりで引き続き好調見込み。
補足(Jean Hu):
- Q1の出荷数量は2桁減だが、売上は横ばい=ASP改善による。
AIアクセラレータ(Instinct)事業の成長見通し(UBS)
Q: MI350シリーズ立ち上げ前のMI300シリーズの状況と年間成長見込みは?
A(Lisa Su):
- MI300/325ともにQ1で期待以上の導入事例(例:基幹モデル企業)。
- 2025年後半はMI350が主力に移行、Oracleなどの大型採用案件あり。
- 年間ではAI事業(Instinct GPU)は2桁%の成長を見込む。
データセンター部門の成長要因(JPMorgan)
Q: EPYCが企業(オンプレ)向けで大きくシェア拡大している要因は?
A(Lisa Su):
- 製品力(Turin)と用途ごとの拡張性。
- 特にGo-to-Marketの人員増強・専門部隊による業界別対応が功を奏している。
- まだエンタープライズでの浸透は初期段階と認識。
MI400世代への準備とZT Systemsの役割(Bank of America)
Q: MI400ラックスケール製品の構築で直面する課題と準備状況は?
A(Lisa Su):
- MI400は2026年に向けてZT Systemsと共同設計中。
- 電力・冷却・ネットワーク設計における「困難を事前に学習」し設計反映へ。
- 現在、複数顧客とリファレンス構成をすり合わせ中。
中国規制と成長見通し(複数質問)
内容 | 回答内容 |
---|---|
MI308の中国向け輸出制限 | Q2: $700M減収、年間で$1.5Bの影響見込み |
AI拡散ルール(diffusion rules)の影響 | 5月15日の発効に向けて政府と調整中、TAMには大きな変更なし |
中国市場のTAM比率 | 明示はせずだが、中国依存度は低く、全体計画に大きな影響なし |
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