ロビンフッド(ティッカー:$HOOD)の2024年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $0.18 | $0.06 | 〇 |
売上高 | $618M (YoY +40.1%) | $555M | 〇 |
業績ハイライト
Q1決算の概要
- 総収益は前年同期比40%増の6億1800万ドル
- 純利益は1億5700万ドル、EPS0.18ドル
- 資産残高は1300億ドルで前年同期比65%増加
- Q1の純預金額は112億ドルで前年同期の2倍以上
- Robinhood Gold購読者数は170万人に到達
Q2の見通し
- 4月の純預金額は約50億ドルで今年最高
- 4月の株式売買代金は約700億ドル、オプション取引数は約1億2500万件で過去最高を記録
- 4月にRobinhood Gold購読者数は14万人増加しQ1の半分以上の伸び
中長期の成長戦略
- 20%以上の純預金成長率を維持
- 収益の多様化を進め、金利や取引に左右されにくい事業構造を目指す
- テクノロジー企業として高いスケーラビリティを活かし収益拡大に伴う大幅な利益率改善を見込む
質疑応答ハイライト
SECによる調査通知(Wells Notice)の影響について
- 顧客の口座には影響なく、仮想通貨事業は通常通り運営される
- 仮想通貨事業は誠実に運営してきたが、調査通知を受けたことを残念に思う
- 仮想通貨の上場やサービス提供において非常に慎重なアプローチをとってきた
- 法規制の適用においては証券仲介業務と同等の基準を仮想通貨事業にも適用してきた
- 米国の消費者は仮想通貨資産クラスへのアクセス権を有すべきであり、世界中の人々と対等な立場にあるべき
ゴールドカードの提供開始時期について
- 100万人以上の顧客がウェイトリストに登録しており需要は高い
- App StoreにクレジットカードアプリをリリースしiOS版を提供開始
- 数万人の顧客を対象に提供を開始し、利用状況やリスク管理の観点からデータを分析
- データ分析の結果を踏まえ、慎重にカード提供を拡大していく方針
24時間市場取引における障害について
- 24時間取引には大きな関心があり、開始から1年間で取引高は100億ドル超
- 現在900以上の銘柄で24時間取引を提供
- 取引を仲介する外部のATS(オルタナティブ取引システム)に障害が発生
- 数時間後にATSは取引再開、今後もシステムの安定性向上に努める
純預金額の増加について
- 預金獲得キャンペーン(1%ボーナス)の投資回収期間は1年強
- 高水準の預金増加の75%は既存顧客からのもので、新規顧客獲得だけでなく顧客エンゲージメントの向上が効いている
- 預金の75%はキャンペーンとは関係なく、預金増加の多様性がみられる
ゴールド会員による純預金額について
- ゴールド会員は平均残高が4万ドル以上と全体平均の8倍
- 純預金額の伸びは全体平均の約2倍
- リタイアメント口座の採用率は5倍
第2四半期の事業モメンタムについて
- 株式・オプション・仮想通貨の取引高は引き続き好調
- 4月の純預金額は約50億ドルと第1四半期から増加
- リタイアメント口座の残高は70億ドルを突破
- Robinhood Goldの新規申込も堅調
証券貸借やトレーディングなど全般的に事業モメンタムは強い
- ゴールド会員向けの新サービスが業績に貢献するのはこれから
- クレジットカード事業参入により新たな成長機会
- アクティブトレーダー向けの先物取引やウェブプラットフォームなど開発中の新サービスにも期待
費用の75%がコストに計上されている点について
- コスト構造の90%が固定費であり、限界利益率が高い構造となっている
- マーケティング投資を前年比1億ドル増加させながらも、75%のコスト計上を実現
- 従業員一人当たりの売上高は100万ドルを突破するなど費用対効果が高い
ゴールドカードの収益性について
- 顧客基盤を活用し、新規顧客獲得コストを大幅に引き下げられる
- X1と比較し、調達金利を300bp以上低く抑えられている
- 顧客との深い関係性を通じて、与信判断の高度化やクレジットカードの担保化などが可能に
- 慎重に展開し、顧客の利用状況をモニタリングしながら、健全なエコノミクスの実現を目指す
- 顧客の2/3はプライム以上の信用力があり、債務不履行のリスクは限定的
資本配分の方針について
- 事業拡大のための投資が最優先
- M&Aにも積極的に取り組む。人材獲得やプロダクト開発のスピードアップに活用
- 自社株買いなど株主還元策の実施余地もある
- 投資案件の選定に際しては資本コストを意識
仮想通貨事業の方向性について
- 引き続き限定的な通貨の取り扱いに留め、証券に該当しない通貨のみ取り扱う方針
- ユーザーインターフェースや販促施策を通じて、顧客に強みをアピール
- EUでの事業拡大にも注力。手数料の安さなどの価値提案を訴求
- 仮想通貨チームは精力的に開発を進めており、ロードマップは順調に進捗
MAU増加の要因について
- 仮想通貨に対する関心の高まりがMAU増加に寄与
- 株式・オプション・仮想通貨・リタイアメントなど全般的に取引高が増加
- Robinhood Goldの会員数増加や純預金額の伸びもMAU増加に貢献
預金獲得キャンペーンの持続可能性について
- 高度なデータ分析により、キャンペーン効果を適切にモニタリング
- 2023年のコホートはすでに投資回収を達成。2024年も順調
- 今後もクリエイティブなキャンペーン施策を展開していく方針
- 先行者メリットを活かし、競合他社が追随しづらい料率設定が可能
競合他社から顧客を獲得する際の特徴
- 競合他社から乗り換える顧客の預金額は、新規顧客よりも高い傾向
- 高金利や預入ボーナスなどのキャンペーンを通じ、競合との差別化を図る
- 乗り換え顧客のエンゲージメントは高く、早期の投資回収を実現
- 競合他社のコスト構造上の問題から、同様のキャンペーン展開は容易でない
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