ディーローカル(ティッカー:$DLO)の2024年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $0.06 | $0.12 | × |
売上高 | $184.4M (YoY +34.3%) | $189.8M | × |
業績ハイライト
決算概要
- 2024年第1四半期の取引総額(TPV)は前年同期比49%増の53億ドル、過去最高を更新
- 売上高は前年同期比34%増の1億8400万ドル
- 粗利益は前年同期比2%増の6300万ドル
- 営業利益は前年同期比32%減の2700万ドル
- 調整後EBITDAは前年同期比19%減の3700万ドル、調整後EBITDAマージンは20%
事業の進捗
- クロスボーダー事業は第4四半期の一時的な減速から回復し、第1四半期は24億ドルと過去最高のTPVを達成
- ローカル決済事業は前年同期比80%近い高成長を維持
- 送金事業は四半期で17%成長、前年同期比50%以上の成長
- エジプトや複数の中南米諸国で新たなライセンスや決済事業者登録を取得
地域別実績
- ブラジルの売上高は前年同期比89%増、メキシコは同50%増と好調
- アルゼンチンの売上高は前年同期比31%減、通貨切り下げと流動性低下が影響
- アフリカ・アジア地域ではエジプト、南アフリカ、トルコ、フィリピンが売上高の伸びに貢献
- ナイジェリアの売上高は通貨切り下げにより前年同期比で大幅減
2024年の見通し
- 現時点では通期ガイダンスの下限に向かって推移する見込み
- 短期的なボラティリティーはあるものの、長期的な成長機会への確信は揺るぎない
- 2億ドルを上限とする自社株買いプログラムを発表、資本配分方針への自信の表れ
質疑応答ハイライト
大口顧客との価格交渉について
- 大口の顧客が取引量の増加に伴って新たな価格帯に到達し、契約更新時に手数料の再交渉があった
- 当該顧客との再交渉価格は、他の選択肢と比較しても高水準であり、DLocalのプラットフォームとサービスの質の高さを反映している
- 顧客との関係は長期的に捉えており、新たな市場への展開などでも継続的に協業していく見込み
- 大口顧客の取引量が大幅に増加することは、DLocalの事業拡大を示す好材料でもある
- 今回の価格改定が連結業績に与える影響は限定的で、構造的な変化や競争環境の変化を示唆するものではない
第1四半期の粗利益率低下について
- eコマース事業の季節性による影響が大きい。第1四半期はeコマース事業の閑散期にあたり、高マージンの取引が減少
- 送金などのペイアウト取引の割合が増加したことで、ミックス効果によりテイクレートが低下
- 大口顧客との価格交渉の影響もあるが、取引量の増加によって中長期的には相殺される見込み
- 3月単月の粗利益は2500万ドルと、前年第4四半期の水準を上回っており、回復の兆しがみられる
新規顧客獲得の遅れについて
- 第1四半期に予定されていた大口の新規顧客との取引開始が遅れた影響があった
- 一部の新規顧客とは第2四半期に取引が開始されており、すでに業績への貢献がみられる
- 長期的に有望な新規顧客の開拓は継続しており、取引開始のタイミングが業績に与える影響は一時的なもの
為替変動の影響について
- ナイジェリアとアルゼンチンで通貨切り下げによる大幅な為替差益が剥落した影響が大きい
- エジプトでは通貨切り下げ前の第1四半期に高い為替差益を計上したが、第2四半期以降は収束する見込み
- 通貨切り下げ後は顧客の取引が減少する傾向があり、現地通貨ベースでも取扱高が減少する影響がある
- 通貨切り下げの影響は会計上の影響だけでなく、顧客の行動変化を通じて業績に影響を及ぼす
経費増加の背景について
- 第1四半期は技術者の採用やITインフラの整備など、中長期的な成長に向けた先行投資を継続した
- アルゼンチンでのインフレや通貨切り下げに伴う人件費の上昇も経費増加の一因
- 経費水準は粗利益の水準に応じて適宜見直しを行っており、機動的なコントロールが可能
- 短期と中長期のバランスを見極めながら、効率化を進める一方で戦略的な投資は継続する方針
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