アーム(ティッカー:$ARM)の2025年度第4四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $0.55 | $0.52 | 〇 |
売上高 | $1.24B (YoY +33.6%) | $1.23B | 〇 |
ガイダンス 2026Q1EPS | $0.34 ($0.30~$0.38) | $0.42 | 〇 |
ガイダンス 2026Q1売上高 | $1.05B ($1.00B~$1.10B) | $1.09B | 〇 |
業績ハイライト
四半期および通期業績概要
区分 | Q4 FY2025 | 通期 FY2025 | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | $1.24B | $4.0B+ | Q4: +18%(ロイヤルティ) |
ロイヤルティ収入 | $607M(過去最高) | $2.0B+(初) | Q4: +18%、スマホ分野:+30% |
ライセンス収入 | $634M(過去最高) | 非開示(Q4は+50%以上) | Q4: +50%超 |
非GAAP営業利益 | $655M | – | – |
非GAAP EPS | $0.55 | – | ガイダンス範囲上限($0.48-$0.56) |
- Q4の売上が初めて10億ドル超を突破。
- 通期売上4Bドル超、ロイヤルティ収入も初めて2Bドルを超えた。
- スマートフォン分野でのロイヤルティ成長が特に顕著(+30%)で、出荷量増加(+2%)を大幅に上回る。
成長分野別ハイライト
セグメント | 成長率 | 補足情報 |
---|---|---|
スマートフォン | +30%(YoY) | Armv9とCSSの採用が牽引。出荷数増加は2%にとどまるが、1台あたりのロイヤルティ単価が上昇。 |
クライアント(PCなど) | ~30%(推定) | スマホと同様の構成で成長。 |
インフラ(クラウド/ネットワーク) | 高い2桁成長 | NVIDIA Grace Blackwell等によるデータセンター需要増。ネットワークも回復基調。 |
自動車 | 2桁成長 | ADAS・IVI分野でシェア拡大。初の自動車向けCSSライセンス契約も締結。 |
IoT | 緩やかな成長 | 回復基調にあるが、他セグメントほどの成長は見られない。 |
Armv9とCSS(Compute Subsystems)の採用進展
- Armv9ベースのロイヤルティ構成比が30%超に上昇(前四半期まで25%)。
- CSSベースのロイヤルティが増加し始め、今後の成長を牽引。
- CSS顧客は現在13社(クライアント6、インフラ6、自動車1)。
- CSS導入時にはライセンス料率が約2倍に上昇、次世代CSSではさらに上昇。
主要提携・採用実績
- NVIDIA Grace Blackwell:Armv9採用、AIインフラ需要を牽引。
- Google:Armv9採用、40社以上の主要顧客が導入。
- Microsoft Cobalt 100:ArmベースでTeamsやCoPilotなどを支援。
- AWS:過去2年間の新規CPUキャパシティの50%以上がGraviton(Arm)。
- マレーシア政府と提携:AIエコシステム構築に向けたマルチイヤーCSSライセンス契約。
ガイダンス(FY2026 Q1)
指標 | 数値 | 備考 |
---|---|---|
売上高 | $1.0B〜$1.1B | Midpointで前年比+12% |
ロイヤルティ成長率 | +25%〜+30%(YoY) | 依然として力強い成長を見込む |
営業費用(non-GAAP) | $625M | 一部Q4から繰越し費用含む |
EPS(non-GAAP) | $0.30〜$0.38 | 前年同期との比較あり |
※通期ガイダンスは発表見送り(マクロ不透明性のため)
質疑応答ハイライト
関税の影響について
Q(Evercore):関税の影響について、収益・コストのインパクトは?
A(Rene Haas):直接的な影響はゼロ。影響があるとすれば、最終製品の価格上昇による需要減少=間接的影響。現在のところQ4・Q1ともに影響は見られず。
Armv9とCSSの採用状況
Q(Citi):Armv9の採用比率は上昇したか?
A(Rene Haas):30%以上に上昇。CSSによる寄与が大きく、クライアントとインフラ向けのCSSが今後の成長ドライバー。
顧客の変化とOEMとの直接契約
Q(Deutsche Bank):OEM(自動車・ハイパースケーラー等)との直接契約は戦略的最終形か?
A(Rene Haas):そうなりつつある。AIワークロード・複雑なソフトに対応するため、OEMがArmと直接契約するケースが急増中。
通期ガイダンス未開示の理由
Q(Wells Fargo):なぜFY26通期ガイダンスを出さなかったのか?
A(Jason Child):パートナー企業の多くもガイダンスを出していない。マクロの不確実性(関税等)が大きく、見通しを出すには変動幅が大きすぎる。
クラウド/インフラの成長見通し
Q(Raymond James):クラウド市場の進展と売上構成比は?
A(Jason Child):高い2桁成長が継続。Grace Blackwellなどの採用が進み、ネットワークも底打ち回復中。全体の10%だった売上構成比は今後さらに上昇へ。
マレーシア政府とのライセンス契約について
Q(William Blair):政府とのライセンス契約は例外か、トレンドか?
A(Rene Haas):マレーシア政府は非常に進取的。スタートアップ支援目的のCSSライセンスであり、他国にも波及する可能性あり。
ライセンス事業の成長とACV
Q(BofA):Q4のライセンス収入が期待値未達だったのか?ACVは?
A(Jason Child):Q4は前年比+50%超で過去最高、想定通り。ACVは**+15%(YoY)**と過去平均(中〜高い1桁)を大幅に上回るが、長期的には高い1桁成長を見込む。
CSSの用途と市場別構成
Q(Mizuho):CSS 13社の内訳は?
A(Rene Haas):クライアント6社、インフラ6社、自動車1社。
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