アマゾン(ティッカー:$AMZN)の2024年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $0.98 | $0.83 | 〇 |
売上高 | $143.3B (YoY +12.5%) | $142.5B | 〇 |
ガイダンス 2024Q2売上高 | $147B ($144B~$149B) | $150B | × |
業績ハイライト
第1四半期業績ハイライト
- 売上高は1,433億ドル、前年同期比13%増(為替の影響を除く)
- 営業利益は153億ドル、前年同期比221%増
- 直近12か月のフリーキャッシュフローは488億ドル、前年同期比532億ドル増
主要事業の状況
- 北米セグメントの売上高は863億ドル、前年同期比12%増
- インターナショナルセグメントの売上高は319億ドル、前年同期比11%増(為替の影響を除く)
- AWSの売上高は250億ドル、前年同期比17%増
- 広告売上は前年同期比24%増(為替の影響を除く)
生成AI(generative AI)への取り組み
- AWSにおける生成AIワークロードの需要増加
- Amazon Bedrockのリリースにより、大規模言語モデル(LLM)を簡単に利用可能に
- Amazon Qの一般提供開始。ソフトウェア開発と社内データ活用に特化したAIアシスタント
2024年の見通し
- 第2四半期の売上高は1,440億ドルから1,490億ドルを予想(前年同期比7%から11%増)
- 第2四半期の営業利益は100億ドルから140億ドルを予想
- AWSを中心に設備投資を大幅に増加する計画
質疑応答ハイライト
コスト構造改善と投資の両立について
- Amazonは過去に投資と利益率拡大を交互に行ってきたが、事業規模が大きくなった現在は両方を同時に行える段階にある
- 既存の大規模事業(ストア、広告、AWS)には大きな成長機会があり、そこに投資を続けつつ、コスト構造改善の余地もまだ残されている
- AWSは1,000億ドル規模の事業に成長したが、世界のITスペンドの85%以上がオンプレミスに残っており、クラウド移行の余地は大きい。さらに生成AIの新たな需要も見込める
AWSにおける設備投資の見通しと生成AIの影響
- 企業のコストの最適化は一巡し、クラウドへのインフラ近代化や生成AIへの取り組みにシフトしている
- 今後12〜18か月ごとに新しい大規模モデルが登場し、膨大なトレーニングコストがかかる。多くがAWS上で行われる見通し
- モデルの本番稼働には推論のためのコストが大きくかかり、こちらもAWSの収益機会になる
- 生成AIアプリケーションの機密性や信頼性の面でAWSが優位性を発揮できる
第三者向け物流サービスの機会について
- Amazonは自社のストア事業のために物流機能を内製化してきたが、同様のニーズを持つ他社向けにもサービス提供を始めた
- 輸入通関、国内輸送、アップストリーム倉庫保管、フルフィルメント、配送など各工程をサービス化
- サプライチェーン全体を統合する「supply chain with Amazon」でさらに利便性を高める
- 第三者向けサービスは大きく成長しており、Amazonにとって適度な追加投資で展開可能な事業機会と位置づけられる
グローサリー(食料雑貨)事業の見通しについて
- 食料・日用品の非生鮮食品分野は高い成長を続けている
- ホールフーズマーケットは収益性が改善し、都市部に小型店の新フォーマットを導入予定
- 生鮮食品宅配のアマゾンフレッシュは新店舗フォーマットの立ち上げ段階だが、初期結果には満足
- 月額9.99ドルの定額で無制限の食料品配送を受けられるプライム特典を導入し、好調なスタート
インターナショナル事業の収益性について
- インターナショナルの営業利益は9.02億ドルに拡大し、大きな改善を見せている
- 欧州や日本などの成熟国は北米と同様の軌道を描いており、プライム特典の拡充などが寄与
- 新興国は立ち上げから黒字化までそれぞれ軌道が異なるが、着実に収益貢献度を高めている
- 地域特性に合わせたネットワーク最適化や出荷量の拡大が北米同様に進んでおり、さらなる収益性改善の余地がある
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