ゴールドマンサックス(ティッカー:$GS)の2025年度第4四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $14.12 | $12.27 | 〇 |
売上高 | $15.06B (YoY +6.0%) | $14.71B | 〇 |
業績ハイライト
売上・利益・ROE
指標 | 2025年Q1実績 | 前年同期比・前期比など |
---|---|---|
売上高(Net Revenues) | $15.1B | 前年同期比:+不明(未開示) |
純利益(EPS) | $14.12 | 特別項目除くと$14.37相当 |
ROE(自己資本利益率) | 16.9% | 高水準を維持🟢 |
RoTE(有形資本利益率) | 18% |
David Solomon CEO:「非常にダイナミックな環境の中で、当社は強力な結果を出しました。世界的なフランチャイズ、リスク管理、実行能力が我々の強みです。」
セグメント別業績
グローバル・バンキング&マーケッツ(GBM)
指標 | 数値 | 備考・前年同期比等 |
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売上高 | $10.7B | セグメントROE:20%以上🟢 |
FICC収益 | $4.4B | 通貨とモーゲージで増収、他は前年強すぎて減少🔴 |
エクイティ収益(全体) | $4.2B | 過去最高🟢 |
エクイティ仲介収益 | $2.5B | +28%🟢 |
ファイナンス収益(FICC+Equity) | $2.7B | +22%、5期連続最高記録🟢 |
Coleman CFO:「資産価格の調整でPB残高は下がる可能性もあるが、総合的に高い需要を維持している。」
インベストメント・バンキング
項目 | 数値 | 備考 |
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アドバイザリー収益 | $792M | 昨年の高水準から減少🔴 |
株式引受収益 | $370M | 横ばい |
債券引受収益 | $752M | +8%、主に資産担保証券と投資適格債🟢 |
バックログ | 増加中 | 4四半期連続で増加🟢 |
「GoogleのWIS買収($32B)など、大型案件で主導的役割。」
アセット&ウェルスマネジメント(AWM)
項目 | 数値 | 備考 |
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売上高 | $3.7B | +10%(管理・その他手数料)🟢 |
管理・その他手数料 | $2.7B | |
インセンティブ手数料 | $129M | +(前年比)、モネタイズ難環境下で健闘🟢 |
プライベートバンキング・貸出収益 | $725M | +6%🟢 |
長期ネットインフロー | $29B | 29四半期連続の純流入🟢 |
運用資産残高 | $3.2T(過去最高) | 資産残高も記録更新🟢 |
オルタナ資産残高 | $341B | 四半期で$19Bの資金調達成功🟢 |
経費・資本・株主還元
項目 | 数値 | 備考 |
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営業費用合計 | $9.1B | 効率性比率:60.6% |
税引後利益に対する税率 | 16.1% | ストック報酬の影響除けば約+9pt |
CET1比率 | 14.8% | 要件13.7%を110bp上回る健全性🟢 |
株主還元総額 | $5.3B | うち自社株買い:$4.4B(過去最高)🟢 |
配当額 | $976M | 配当継続と増配へのコミット強調🟢 |
新規自社株買い枠 | $40B(複数年) | 柔軟な資本戦略への姿勢🟢 |
質疑応答ハイライト
ファイナンス事業の成長性とデレバレッジの影響
Q: 記録的なPB残高後のデレバレッジ影響は大きいか?
A: 「影響はあるが『重大』とは言えない。顧客のポートフォリオ調整なども含まれ多様な動きが見られる。」(Coleman)
4月以降の市場環境の変化と取引動向
Q: 4月2日以降の市場の変調はどれだけ深刻か?
A: 「1Q後半から活動が既に増加。4月も活動水準は高く、顧客は非常にアクティブ。」(Solomon)
コスト効率化と人員整理の予定
Q: 今後の人員見直しとコスト管理は?
A: 「3年計画の効率化施策を継続。第2四半期に$150Mの人員削減費用を見込む。」(Coleman)
自社株買いの戦略と過去最高水準の理由
Q: なぜこのタイミングで大規模な買戻し?
A: 「成長投資機会が限定的なら、資本は株主に還元する方針。安定的な増配も強化中。」(Solomon)
HPI(旧投資資産)の縮小と資本解放
Q: HPI縮小による資本解放規模は?
A: 「HPIとカード事業でそれぞれ約$4Bの資本が拘束中。売却進捗に応じて段階的に資本解放。」(Coleman)
投資銀行業務とM&Aのバックログの行方
Q: M&Aバックログ増加のリスクは?
A: 「不確実性はあるが、対話は増加。地政学的リスク次第だが年内もM&A需要は継続と見込む。」(Solomon)
規制改革(SLR・Basel III等)と資本戦略
Q: SLR改革やBasel IIIの緩和が業績に与える影響は?
A: 「業界全体にとっての追い風。GSはCET1制約下で動いており、SLR変更は直接的影響小。ただし業界としては重要な前進。」(Solomon)
資産運用部門の手数料率と商品ミックス
Q: OCIOなど手数料率の低い商品の影響?
A: 「OCIOの増加は平均手数料を押し下げたが、旗艦ファンドは高水準を維持しており今後回復を期待。」(Coleman)
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