台湾セミコンダクター(ティッカー:$TSM)の2024年度第2四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $1.48 | $1.42 | 〇 |
売上高 | $20.82B (YoY +32.8%) | $20.09B | 〇 |
ガイダンス 2024Q3売上高 | $22.8B ($22.4B~$23.2B) | $22.56B | 〇 |
業績ハイライト
第2四半期の財務実績
- 売上高は前四半期比13.6%増(米ドルベースで10.3%増)
- 粗利益率は53.2%で前四半期比0.1ポイント改善
- EPS(1株当たり利益)は9.56台湾ドル、ROE(自己資本利益率)は26.7%
テクノロジー別売上高構成比
- 3nmプロセス:15%
- 5nmプロセス:35%
- 7nmプロセス:17%
- 先端プロセス(7nm以下)全体で67%
プラットフォーム別売上高構成比
- HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング):52%(前四半期比28%増)
- スマートフォン:33%(前四半期比1%減)
- IoT:6%(前四半期比6%増)
- 自動車:5%(前四半期比5%増)
第3四半期の見通し
- 売上高:224億~232億米ドル(前年同期比32%増の見込み)
- 粗利益率:53.5%~55.5%
- 営業利益率:42.5%~44.5%
2024年通期見通し
- 売上高:米ドルベースで前年比20%台半ばの成長率を上方修正
- 設備投資:300億~320億米ドル(従来予想から範囲を狭める)
質疑応答ハイライト
AIアクセラレータとCoWoSの需給バランス
- AIアクセラレータとCoWoSの需要は非常に高く、供給が追いついていない
- CoWoS能力は2024年に2倍以上、2025年にも2倍以上に拡大予定
- 2025年か2026年頃に需給バランスが取れる可能性
粗利益率の見通し
- 2025年以降の粗利益率に影響する要因:
- N3の希釈効果減少(プラス要因)
- N5からN3への転換コスト(マイナス要因)
- 電力価格上昇などのコスト課題(マイナス要因)
- 海外工場の生産開始(2~3%のマイナス影響)
- 長期的には53%以上の粗利益率は達成可能と予想
価格戦略と顧客との関係
- 価格戦略は戦略的であり、機会主義的ではない
- 顧客セグメント(HPCとスマートフォンなど)で価格戦略は異なる
- 顧客の業績も良好であり、TSMCも適切な利益を得るべきと考えている
地政学的リスクへの対応
- 海外展開計画に変更はなく、アリゾナ、熊本、欧州での拡大を継続
- 政府や他社とのジョイントベンチャーは検討していない
2nmと1.6nmの開発状況
- 2nmの開発は順調で、2025年に量産開始予定
- 1.6nmは2026年後半に量産開始予定
- 2nmと1.6nmの需要は非常に強く、容量は非常にタイトな状況
エッジAIデバイスの影響
- エッジAIデバイス(スマートフォン、PC)のチップサイズは5~10%増加の見込み
- 単位数の成長はまだ見られないが、2年後頃から大きな増加が期待される
- AIがエッジデバイスの需要を刺激し、買い替えサイクルが短くなる可能性
パネルレベルファンアウト技術の展望
- パネルレベルファンアウト技術は3年後頃から導入が始まると予想
- 現在は10倍以上のダイサイズに対する確立したソリューションはない
- TSMCは技術開発を進めており、将来的な導入に備えている
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