ペイパル(ティッカー:$PYPL)の2025年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $1.33 | $1.16 | 〇 |
売上高 | $7.8B (YoY +1.0%) | $7.84B | × |
ガイダンス 2025Q2EPS | $1.30 ($1.29~$1.31) | $1.21 | 〇 |
ガイダンス 通年EPS | $5.025 ($4.95~$5.10) | $5.00 | 〇 |
業績ハイライト
売上・決済ボリューム
指標 | 数値 | 前年同期比 |
---|---|---|
総決済額(TPV) | $4170億 | +4%(為替中立ベース) |
ブランド体験TPV | 非公開(前年比+8%) | +8%(うるう年影響除外後) |
オンラインブランド決済TPV | 非公開(前年比+6%) | +6%(うるう年影響除外後) |
- VenmoのTPV:前年同期比 +50%以上と急成長。
- Buy Now Pay Later(BNPL)決済ボリューム:+20%以上。
- PayPal & Venmo デビットカードのTPV:+64%、初回利用者数200万人(前年同期比+90%)。
利益・マージン・キャッシュフロー
指標 | 数値 | 前年同期比 |
---|---|---|
非GAAP EPS | $1.33 | +23% |
取引マージンドル | 非公開(前年比+8%) | +8%(うるう年影響除外後) |
非GAAP営業利益 | $16億 | +16% |
非GAAP営業利益率 | 20.7% | +260bps |
フリーキャッシュフロー | $10億 | 過去12か月累計:$60億 |
調整後フリーキャッシュフロー | $14億 | 過去12か月累計:$62億 |
- 取引マージン率:前年比+270bpsと大幅改善。
- OVAS(その他付加価値サービス)収益:+17%、特に消費者・商業向け信用ビジネスが貢献。
ユーザーと利用動向
指標 | 数値 | 前年同期比 |
---|---|---|
総アクティブアカウント数 | 4.36億 | +800万(QoQ+150万) |
月間アクティブアカウント数(MAAs) | 2.24億 | +2% |
アクティブアカウントあたり取引件数(PSP除く) | +4% | – |
- VenmoのMAAs:+30%、デビットカードMAAsは+40%、浸透率6%(前年4%)。
- Pay with Venmo採用ブランド:JetBlue、Domino’s、Instacart、TikTok Shopなど。
成長戦略・重点施策の進捗
- チェックアウトUX刷新:米国で45%以上のトラフィックに新デザイン適用。欧州はQ2から展開加速。
- BNPLユーザー数:+18%、BNPL利用者は通常より33%多く支出し、17%多く取引。
- PayPal Everywhere(デビット利用拡大):オフライン利用増により、アクティブユーザーの取引頻度は6倍、収益は2倍。
- PSPの利益構造改善:WayfairやUpworkなどとの最適化ルーティングや高度な不正対策で20ポイントのマージン改善事例も。
- AI・Agentic Commerce戦略:API接続によるAIエージェントとの連携を開始。MCPサーバー公開。
- PayPal Ads事業:UK展開を開始、オフサイト広告も導入。
- PYUSD(ステーブルコイン):保有報酬導入、Coinbaseとの提携強化。
業績ガイダンス(2025年)
指標 | Q2見通し | 通期見通し |
---|---|---|
非GAAP EPS | $1.29〜$1.31 | $4.95〜$5.10(中央値:+8%) |
取引マージンドル成長(利息除外) | +6.5%(中央値) | +5%以上(2024年:+4.6%) |
フリーキャッシュフロー | – | $60〜70億 |
自社株買い計画 | – | 約60億ドル継続 |
- Q2収益成長見通し:為替中立ベースで低〜中台のシングルディジット(5%前後)。
- 不確実性考慮:関税・地政学リスク・消費動向の変化を想定し、柔軟性を確保。
質疑応答ハイライト
消費者・中小企業の健全性とマクロ環境(JPMorgan)
Q:マクロ経済の変化や地政学的リスクによる消費者・SMBへの影響と優先順位の変更は?
A(Chriss):特段の優先順位変更はなし。BNPLやVenmoはポジティブな追い風と捉えており、Rewards強化やオフライン拡張が今後の武器。
A(Miller):信用ポートフォリオの延滞率は安定または改善傾向。4月の米国消費も健全で堅調。
ブランド体験TPVの成長ドライバー(Mizuho)
Q:ブランド体験TPVの好調の要因は?
A(Chriss):ブランドチェックアウト、Venmoの急拡大、デビットカード導入による習慣化(habituation)が主要因。ブランド体験TPV+8%。
中国関税撤廃による影響(Barclays)
Q:5月2日の中国向け関税免除撤廃の影響は?
A(Miller):PayPalの中国→米国ブランデッドTPVは全体の2%未満。多様なグローバル展開により影響は限定的。
KPIとガイダンスの想定(Wolfe)
Q:通期ガイダンスに含まれるマクロ想定とブランデッド成長率の見通しは?
A(Miller):下期のeコマース成長が2〜3pt減速する想定を織り込んでいる。4月は一時的な消費加速(前倒し)を確認済み。ブランドTPV成長は年初見通し通り中台シングルディジット。
チェックアウト改善によるコンバージョン効果(UBS, Bernstein)
Q:新しいチェックアウトのコンバージョン効果(+100bps)は継続中か? 欧州展開の速度は?
A(Miller):効果は持続中。欧州は既に最新API導入済みの加盟店が多く、ロールアウトは加速可能。
OVAS(その他付加価値サービス)の収益成長(KBW)
Q:Q1のOVAS収益+17%の要因と今後の見通しは?
A(Miller):主に信用ビジネスの復調によるもの。昨年はCOVID関連で一時的に収益が低下していた。2025年通期では中台シングルディジット成長を想定。
英独市場の競争環境と技術展開(UBS)
Q:ドイツ・英国市場における競争環境とバイオメトリクス活用の進捗は?
A(Chriss):
- ドイツ:ブランドシェア1位。銀行接続型の非クレジット市場においてBNPLの潜在力大。NFC展開含め、Q2からオフライン進出。
- 英国:競争激化。2FA対応でバイオメトリクス導入済み。新アプリやリワード施策で再成長を目指す。
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