メルク(ティッカー:$MRK)の2024年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $2.07 | $1.88 | 〇 |
売上高 | $15.8B (YoY +9%) | $15.2B | 〇 |
ガイダンス 通年EPS | $8.59 ($8.53~$8.65) | $8.56 | 〇 |
ガイダンス 通年売上高 | $63.7B ($63.1B~$64.3B) | $63.28B | 〇 |
業績ハイライト
全体の業績
- 売上高は158億ドル、為替影響を除くと前年同期比12%増
- ヒューマンヘルス事業は13%増、主に腫瘍領域とワクチンが牽引
- アニマルヘルス事業は4%増、コンパニオンアニマル・家畜用製品共に成長
主力製品の状況
- キイトルーダ:売上高69億ドル(24%増)。早期ステージでの適応拡大と転移性での強い需要
- ガーダシル:売上高22億ドル(17%増)。グローバル需要の拡大に加え、中国での出荷タイミングとCDCの購入パターンも寄与
- ラゲブリオ:アジア太平洋でのCOVID-19の感染拡大により売上増加
新製品の動向
- ウェルレイフ:売上高は8,500万ドルに倍増。追加適応症取得と特定のVHL病関連腫瘍での使用拡大が寄与
- バクスニューバンス:売上高2億1,900万ドル。米国での小児適応の浸透と欧州を中心とした国際市場での上市継続
業績予想の上方修正
- 通期売上高予想を631~643億ドルに上方修正(5~7%増)
- 営業利益率予想は81%に上方修正
- EPS予想を8.53~8.65ドルに増額・レンジ幅縮小
新製品上市と適応拡大
- ウィンレベア(ソタテルセプト):肺動脈性肺高血圧症治療薬としてFDA承認取得。上市開始
- V116:成人用肺炎球菌ワクチンとして6月に承認取得見込み
- キイトルーダ:子宮体がん1次治療の適応で優先審査指定取得(6月アクション日)
質疑応答ハイライト
WINREVAIR(ソタテルセプト)の上市について
- 処方箋の増加、繰り返し処方、センター・オブ・エクセレンス(COE)と非COEの両方で処方
- 既に患者宅への出荷開始、ほとんどの患者が自己投与可能に
- 複数の支払者が既にラベルと一致したカバレッジポリシーを確立
新規のマルチバレントHPVワクチン候補について
- 現在のガーダシル9を上回る、より広範な防御を目指す
- アフリカ系・アジア系の集団に不均衡な影響を与えるHPV型をターゲットに
- 第4四半期に最初のヒト試験開始予定
ペムブロリズマブ(キイトルーダ)の皮下投与製剤について
- 2025年初めまでにデータ共有予定
- 特にモノセラピーや経口剤との併用、早期ステージの患者にとって重要
- 2028年までに患者の約50%をカバーできる可能性
個別化がんワクチン(PCT)について
- 既存データでの早期申請の可能性は不透明だが、第III相試験への注力が重要
- 転移性メラノーマ、非小細胞肺がんの術後補助療法で第III相試験が進行中
- 腎細胞がんなど他のIO感受性腫瘍への拡大にも期待
ガーダシルの今後の展望について
- 2024年も力強い成長を見込む。2025年には製造能力制約なく供給可能に
- 単回投与レジメンのデータによっては、低・中所得国市場でのアクセス拡大の可能性
- ベネフィットに基づいた価格設定を行い、世界中でのワクチン接種最大化を目指す
長期的な業績見通しと事業開発の重要性について
- この3年間でパイプラインを着実に進展。主要な失敗なく、順調に進捗
- 臨床的成功が続けば、これまでになく多様な成長ドライバーを獲得できる見通し
- キイトルーダの特許切れは2028年~2032年に段階的。その後は事業開発により速やかな成長に回帰できると確信
コメント