GEベルノバ(ティッカー:$GEV)の2025年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
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EPS | $0.91 | $0.60 | 〇 |
売上高 | $8.00B (YoY +10.2%) | $7.55B | 〇 |
ガイダンス 通年売上高 | $36.5B ($36.0B~$37.0B) | $36.76B | × |
業績ハイライト
売上・受注・バックログの状況
項目 | 実績値 | 前年同期比 | コメント |
---|---|---|---|
受注総額 | $102億 | +8%(有機的成長) | 電力部門が牽引、風力は減少 |
売上総額 | 非開示(前年比+15%) | +15%(有機的成長) | 全セグメントで設備・サービス収益が増加 |
設備売上 | 非開示(前年比+22%) | +22% | 陸上風力、電力、電化の成長が貢献 |
サービス売上 | 非開示(前年比+8%) | +8% | 価格効果もプラス要因 |
総バックログ | $1,230億 | +順調に増加 | 設備・サービスともに成長 |
サービス比率(バックログ) | 約60% | — | 高マージンのサービスが将来キャッシュフローの安定に寄与 |
💚 ポジティブ要素:受注・売上ともに二桁成長、サービス比率も高水準維持
部門別業績詳細
Power(電力)
項目 | 実績 | 前年同期比 | コメント |
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受注額 | +28% | +28% | ガスタービン設備(+30%超)、サービス(+18%) |
売上 | +16% | +16% | HAタービンの出荷増加 |
EBITDAマージン | 11.5%(+70bps) | 改善 | 価格、ボリューム、プロダクティビティでインフレを相殺 |
ガスタービン設備出荷 | 29ユニット(うちHA:8基) | 2倍近い増加 | ’26、’27年向けスロットほぼ完売、’28進行中、’29〜’30も商談開始 |
💚 ポジティブ要素:ガス需要増加によりスロット予約加速、「高水準で長期化」するガスマーケットへとシフト
Wind(風力)
項目 | 実績 | 前年同期比 | コメント |
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受注額 | -43% | ▼減少 | 陸上風力の設備受注減少(米国政策の不透明感と許認可の遅延) |
売上 | +15% | ↑成長 | 陸上設備の出荷が牽引、オフショアは出荷スケジュールに基づき減少 |
EBITDA損失 | △改善(7%改善) | 減損縮小 | 陸上の収益性改善で貢献、オフショアで$70Mの供給契約解除費用 |
サービスコスト | 増加 | — | ブレード点検・改修作業が増加、可用性向上とサービス利益率改善目指す |
❤️ ネガティブ要素:受注の大幅減少、オフショア損失継続(ただし縮小傾向)
Electrification(電化)
項目 | 実績 | 前年同期比 | コメント |
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受注額 | $34億 | ▼微減 | HVDCの大型案件比較の反動あり、変圧器・スイッチギア需要は堅調 |
売上 | +18% | ↑成長 | 北米・アジアで設備ボリューム増加 |
EBITDAマージン | 2桁台(+680bps) | 大幅改善 | 価格改善とプロダクティビティ寄与 |
設備バックログ | $220億(前年比+70億増) | 大幅増加 | 供給能力増強により今後の売上加速期待 |
💚 ポジティブ要素:売上・利益ともに急成長、需要堅調・マージン急拡大
財務状況・株主還元
項目 | 実績 | 前年同期比 | コメント |
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フリーキャッシュフロー | $10億 | +$16億 | 注文・スロット契約による頭金増、運転資本管理改善 |
キャッシュ残高 | $81億 | 健全 | 自社株買い・配当後も強固な資金余力あり |
自社株買い | $15億(4月含む) | — | 平均株価$299で500万株を買戻し |
株主還元総額 | $15億 | 初の配当実施 | 配当・買い戻しともに継続中 |
💚 ポジティブ要素:潤沢な資金と積極的な株主還元策、信用格付も安定(BBB)
質疑応答ハイライト
Q. 関税の影響と対策(Deutsche Bank)
Q:$300M~$400Mのコスト増はどのような構成か?対策として価格転嫁とG&Aコスト削減のバランスは?
A(Ken):
- 最大の影響源は中国発の調達品(関税率が高い)。
- 関税影響は直接調達費の約25%相当に拡大。
- 価格転嫁、契約条項の見直し、供給拠点の移動などを通じて緩和策を実施中。
- G&A削減も前倒し、2028年までに$6億コスト削減を加速中。
❤️ ネガティブ要素:短期的にコスト圧力だが、長期的には企業体質改善の契機と捉える
Q. ガスタービン予約状況とデータセンター関連需要(JPMorgan)
Q:21GWの予約枠の内訳(顧客層・地域)と、データセンター関連の比率は?
A(Scott):
- 全体50GWのうち60%は米国。
- 予約枠(21GW)の約1/3がデータセンター関連、残りは公共・一般向け。
- データセンター向けの需要は後半に向け加速、EPC契約締結後に正式発注へ。
💚 ポジティブ要素:米国・データセンター需要が成長牽引役に
Q. 受注キャンセルリスク(Goldman Sachs)
Q:予約案件のキャンセルリスクはあるか?
A(Scott):
- 予約契約でも頭金(20%)を受領済み。
- EPCや用地確保の進展により注文確度は高い。
- ’26-’27年向けスロットは既に完売、’28年は埋まりつつあり、’29-’30年も商談中。
💚 ポジティブ要素:キャンセルリスクは極めて限定的
Q. ガスタービン・電化事業の価格動向(RBC)
Q:価格は依然として上昇傾向か?
A(Scott):
- ガスタービンは引き続き「価格上昇」基調、4月の関税発表後も価格改定を実施。
- 電化は地域・製品で差あり、北米のスイッチギアは堅調。
💚 ポジティブ要素:価格改定がマージン向上に寄与
Q. フリーキャッシュフローの通期見通しと風力の見通し(Jefferies)
Q:
- FCFガイダンス($2B-$2.5B)の上振れ余地は?
- 陸上風力の受注見通しは不透明に見えるが?
A(Ken & Scott):
- 風力は第2四半期以降に出荷増を想定し、損失は縮小へ。
- 陸上風力は政策・許認可の不透明さが影響。200GWの案件が接続待ちで控える。
- 準備は着々と進めており、成長転換点には対応可能。
❤️ ネガティブ要素:風力は短期的な不確実性が継続
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