バイオジェン(ティッカー:$BIIB)の2024年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $3.67 | $3.44 | 〇 |
売上高 | $2.29B (YoY -6.9%) | $2.31B | × |
ガイダンス 通年EPS | $15.5 ($15.00~$16.00) | $15.49 | 〇 |
業績ハイライト
増収増益を達成し、業績が回復基調に
- EPSが前年同期比で伸長。数年ぶりの増益
- 全社的な組織改革により、重点分野への経営資源の集中が進展
- 1,000の粗利益改善、800の純コスト削減を2025年までに達成予定。計画通りに進捗
主力製品の業績
- 多発性硬化症フランチャイズは競争激化により4%減収
- VUMERITYは患者数増加とチャネル要因で18%増収
- SPINRAZAは米国で安定、米国外は出荷タイミングのずれで35%減収。通期では一桁台前半の減収を想定
新製品の業績
- LEQEMBIの投与患者数は四半期で2.5倍に拡大し、売上は第4四半期比3倍に
- SKYCLARYSは米国で1,100人以上に投与開始。希少疾患治療薬のアナログを上回る立ち上がり
- ZURZUVAEは主に産科医からの処方で順調にスタート
財務状況
- 粗利率は製品構成の変化により5ポイント改善し78%に
- Fit for Growthプログラムにより、研究開発費と販管費が前年比13%減少
- 営業利益は24%増加し、営業利益率は31%に改善
- フリーキャッシュフローは5億700万ドルを計上
- 純有利子負債は55億ドル。レバレッジは低く、投資余力は40-50億ドルと試算
質疑応答ハイライト
研究開発パイプラインよりも商業的な製品発売に注力
- 同社は今四半期、過去と比べて研究開発パイプラインよりも、LEQEMBI、SKYCLARYS、ZURZUVAEの3つの新製品発売により注力している
- 理由は年半ばに4つの試験データ発表を控えているためパイプラインの話は控え目にし、新製品の売上拡大に注力するため
- ポートフォリオ最適化は概ね完了し、有望なプロジェクトに絞り込み済み。今後はパイプラインの拡充が課題
事業開発戦略 – 神経疾患以外の領域へ多角化
- 同社は長年神経疾患に注力してきたが、リスクが高く予測が難しい領域
- 多発性硬化症の治療ニーズはプログレッシブMSに限定的となり、競争も激化
- 一方で希少疾患や免疫疾患には同社の能力を活かせる機会があると考えている
- 神経疾患を捨てるわけではないが、他領域への多角化で研究開発の成果を安定化させる狙い
LEQEMBI の商業展開
- 投与施設数、処方医師数、患者数が四半期で大幅に増加。普及への障壁を克服しつつある
- 30%の米国営業要員増強を決定。大規模な医療機関での処方拡大を狙う
- 患者や介護者に対するマーケティングも強化し、診断済み患者の取り込みを図る
- 処方医師は患者に長期間の投与を推奨しており、継続率は高い見込み
LEQEMBI の皮下注製剤開発
- メンテナンス投与での皮下注製剤はローリングでの承認申請を予定。ファストトラック指定を待つ
- FDAから3ヶ月の免疫原性データ提出を求められており、年内に提出予定
- 導入投与の皮下注製剤は2026年第1四半期までにデータを得る計画
SKYCLARYS のグローバル展開
- 米国で1,100人以上が投与を開始し、市場浸透率は24%に到達
- キャッチアップ需要の終了後も毎月患者数は増加する見通し。最終的には対象患者の大半をカバーする計画
- 欧州では早期アクセスプログラムなどで300人が投与開始。2024年は一部の国で収益計上、欧州全体では2025年から本格化の見込み
- ラテンアメリカでも申請を進めており、ブラジルでは2025年初めにも上市の可能性
コメント