バンクオブアメリカ(ティッカー:$BAC)の2024年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $0.83 | $0.76 | 〇 |
売上高 | $25.82B (YoY -1.7%) | $25.49B | 〇 |
業績ハイライト
純利益と1株利益
- 純利益は67億ドル、1株利益は0.76ドル。
- FDIC特別評価費用を除くと、純利益は72億ドル、1株利益は0.83ドル。
手数料ビジネス
- 投資銀行業務は前年同期比35%増の16億ドル。中堅企業や国際業務への注力が奏功。
- ウェルスマネジメントの収益は前年同期比11%増の36億ドル。
- セールス&トレーディング収益は52億ドルと過去10年で最高の第1四半期。
貸出と預金
- 預金は期末残高が前期末比200億ドル増加。期待を上回る実績。
- 貸出金は、クレジットカードの季節要因を除くとほぼ横ばい。
- NIIは第1四半期で142億ドルと、従来予想の100-200百万ドルの減少から一転して前期比100百万ドル増加。
経費
- FDIC特別評価費用を除いた経費は前年同期比2%未満の増加に抑制。4%を超えるインフレ率を下回る良好な管理。
- 一方、事業成長に向けた投資は継続。
自己資本
- 普通株式等Tier1資本は1,970億ドル。最低所要水準を310億ドル上回る。
- 今期は44億ドルを自社株買いと配当で株主還元。
質疑応答ハイライト
資本管理と株主還元:
- 現行ルールでも300億ドルのCET1超過資本を持つが、規制当局から最終ルールが提示されるのを待っている状況。
- 最終ルールによる余剰資本は、自社の成長投資に必要な分を除き、積極的に株主還元に回していく考え。
- 2Q以降も、高水準の株主還元(自社株買い、配当等)を維持する計画であり、資本政策のスタンスは株主重視と言える。
預金残高とNIIの見通し:
- 消費者預金は、金利上昇などで流出が続いてきたが、下げ止まりつつあり、3Q頃には反転し緩やかな増加に転じる見通し。
- 法人・富裕層預金は、すでにパンデミック前の成長ペースに戻りつつあり、預金ベースの安定化が進んでいる。
- 預金減少が和らぐことでNIIのボトムは2Qと予想。3Q以降はローン・預金とも緩やかな増加を前提にNIIの成長を見込む。
- 但し、市場金利の動向次第では、預金流出とNII低下が長引くリスクもあり、楽観視は禁物か。
経費率と経費管理:
- Erica等のデジタルツールの浸透が進み、取引コストの削減などの効果は出ているが、経費率の大幅改善には至らず。
- 一方で、インフレや賃上げ、投資増等のコスト増を吸収し、経費の伸びを前年比2%程度に抑制しており、コスト管理は奏功している。
- 収益連動の変動費増を除けば、経費は四半期ごとに減少する見通しで、positive operating leverageは期待できそう。
投資銀行業務:
- 好調だった投資銀行業務の1Qの水準(16億ドルの収益)が新たなベースラインになると考えている。
- 中堅企業向けや国際業務に注力することで、今後もリーグテーブルでのシェア拡大、収益増を目指す方針。
- 景気動向により業績変動リスクはあるが、これまでの投資やカバレッジ強化の成果で、一定の収益は確保できるとの自信か。
ローン需要の回復:
- 金利上昇により企業の借入ニーズは抑制され、ローン需要の停滞が続くなどパンデミック後の過渡期にある。
- ただ、3-3.5%の経済成長が続けば、数四半期のうちにはローン需要は必ず回復するとの見方。
- 自動車ローンや中堅企業向け融資などでは、すでにローン残高が増加に転じつつある。
バーゼルIIIの最終化:
- 新ルールの適用開始時期や詳細内容はまだ流動的。現行ルールでも十分な資本を持つが、最終的な影響度は不透明。
- 自社の成長投資に必要な分以外の資本は、規制内容を見極めつつ機動的に株主還元する考え。
- 資本規制強化によるビジネス機会の損失や、株主還元余力の減少などが懸念材料となりそう。
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