決算:MS 2024Q1

決算

モルガンスタンレー(ティッカー:$MS)の2024年度第1四半期決算についてまとめます

finviz dynamic chart for MS

決算概要

アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。

結果予想判定
EPS$2.02$1.67
売上高$15.14B
(YoY +4.3%)
$14.42B

業績ハイライト

連結業績

  • 純収益は151億ドル
  • EPS(希薄化後1株当たり利益)は2.02ドル
  • ROE(自己資本利益率)は19.7%
  • 効率性比率は71%

インベストメント・バンキング

  • 純収益は14億ドル、前年同期比16%増
  • アドバイザリー収益は前年同期比で減少も、株式・債券引受は大幅増
  • パイプラインは順調に拡大。スポンサー案件も復活の兆し

セールス&トレーディング

  • 株式営業は28億ドル、前年同期比4%増。デリバティブと現物が堅調
  • フィクスト・インカム営業は25億ドル、前年同期比で若干減少
  • コモディティは前年同期比で増収

ウェルス・マネジメント

  • 純収益は過去最高の69億ドル
  • 税引前利益率は26.3%。DCP関連費用とFDIC特別負担金を除くと約27.5%
  • 純新規資産は950億ドル、うちファミリーオフィス向けが約半分
  • 顧客資産は過去最高の7兆ドルに到達

インベストメント・マネジメント

  • 純収益は14億ドル、前年同期比7%増
  • 運用資産残高は1.5兆ドルに増加
  • ロング・ターム資金流入は76億ドル。オルタナティブとソリューションが牽引

質疑応答ハイライト

国際ウェルス・マネジメント部門の規模と展望

  • 非米国ウェルス部門の資産規模は小さく、全体のビジネスへの影響は限定的との見解が示された
  • 規制当局とのコミュニケーションを継続し、適切に対応していく方針
  • 国際部門は成長の余地があり、顧客関係の深化に注力することで、更なる拡大を目指す

投資銀行業務の中期的な見通し

  • M&Aのパイプラインは業種横断的に拡大しており、バレーのIPO、産業セクターの資金調達、クロスボーダー案件等の具体例が挙げられた
  • スポンサー企業と事業会社間の競争的な資産取得の動きにも言及があり、活発化が見込まれるとの見解
  • 株式・債券の引受業務も力強さを取り戻しつつあり、レバレッジド・ローンではイベント・ファイナンスも復活の兆し
  • 日本市場については数年にわたる活況が見込まれると分析
  • 金利の不透明感や地政学リスクの影響は注視するものの、中期的には非常に強気な見通しが示された

経費管理と効率性の追求

  • トップマネジメントの議論の重点が、資本効率から収益成長とコスト管理にシフトしつつある
  • 戦略的な人材投資を実施する一方で、経費全般の管理も強化する方針
  • バーゼルIIIの最終化を見据えた資本政策運営についても言及があった
  • 効率性比率70%の目標達成に向け、収益拡大とコスト管理の両面でコミットする姿勢が示された

ウェルス・マネジメント事業の利益率改善の進展

  • アドバイザリーへの資産移行が順調に進展しており、ブローカレッジ口座からの資産流入は2年ぶりの高水準に
  • 仕組債等のソリューション提供を通じた収益機会の拡大も利益率改善に寄与
  • 事業規模の拡大に伴う経営レバレッジ効果も徐々に発現しつつある
  • アドバイザリー移行、ソリューション提供、規模の経済の三位一体で、中期的な利益率30%の目標に向けて着実に前進

顧客資産と資産移管の動向

  • 四半期末の顧客資産残高は過去最高の7兆ドルに到達
  • ブローカレッジ口座からアドバイザリー口座への資産移管の動きが加速
  • 純新規資産(NNA)は950億ドルと高水準。ファミリーオフィス向けが約半分を占めたほか、職域や株式報酬制度等からの流入も寄与
  • 長期的な収益安定化に向けて、アドバイザリー移行を通じた残高増加を企図する方針が示された

機関投資家ビジネスの収益拡大の余地

  • トレーディング収入のビジネスミックスの変化に言及。エクイティのデリバティブと現物が堅調、コモディティは北米ガス/電力での増収等
  • プライベート・エクイティ関連では「パートナー・オブ・チョイス」としての地位を確立。今後の収益機会として重視
  • プライベート・クレジットの成長、プライムブローカレッジの顧客基盤拡大にも注力する方針
  • グローバルなプレゼンスを活かしたソリューション提供力の発揮により、ウォレットシェア拡大を目指す

ウェルス・マネジメントのNNA(純新規資産)内訳

  • NNAの約半分がファミリーオフィス向けであり、富裕層ビジネス強化の一環と位置付け
  • 機関投資家に匹敵するソリューション提供により、UHNW層の取り込みを推進
  • 投資銀行部門との連携事例としても紹介され、One Firm 戦略を通じた差別化を企図

金利上昇シナリオと投資銀行業務

  • 足元の利上げは経済の力強さの表れであり、顧客企業のバランスシート健全性もサポート材料との見解
  • 一方で、急激な利上げの長期化による景気後退リスクは意識
  • 全体としては、市場の調整は時間をかけて進むとの前提で、中期的にポジティブな見通しを堅持する姿勢

ウェルス・マネジメントの純金利収益(NII)の見通し

  • 直近数四半期はNIIが横ばい圏で推移。当面はこの水準が続く可能性
  • 預金ミックスの変化(利付預金へのシフト等)がNIIの方向性を左右する要因に
  • 同時に、市場金利上昇を受けた再投資利回りの上昇等がNIIを下支えする効果も指摘

機関投資家ビジネスの経費効率化の進展

  • 過去の事業買収後の統合効果が着実に発現。拠点の統廃合、マーケティング費用の合理化、プロフェッショナル人材の戦略的な再配置等が具体例
  • テクノロジーへの投資は引き続き実施し、業務効率化とサービス向上の両立を目指す
  • トップライン成長を支えるための戦略的な人件費投資も継続的に実施する方針

新たな投資環境への適応

  • 金融抑制からインフレと実質金利を伴う環境への移行を見据えたビジネス運営が必要との認識
  • 投資判断により、資本コストを適切に反映することの重要性が高まるとの見方
  • 事業の強みを活かし、新たな環境下で成長を遂げられる企業の選別・支援を重視する姿勢
  • モルガン・スタンレー自身のビジネスモデル進化を通じ、環境変化への適応力を一段と高めていく方針も示唆

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