決算:MSFT 2026Q2

決算

マイクロソフト(ティッカー:$MSFT)の2026年度第2四半期決算についてまとめます

finviz dynamic chart for MSFT

決算概要

アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。

結果予想判定
EPS$4.14$3.92
売上高$81.3B
(YoY +16.8%)
$80.28B
ガイダンス
2026Q3売上高
$81.20B
($80.65B~$81.75B)
$81.25B×

業績ハイライト

1) 連結業績(FY2026 Q2)

指標実績YoY補足
売上高$81.3B+17%(CC +15%)会社全体で予想超過(経営陣)
売上総利益($)+16%(CC +14%)
売上総利益率68%前年差 -(小幅低下)AIインフラ投資・AI製品利用増が主因(⚠️)/Azure・M365商用クラウドの効率化が一部相殺(✅)
営業利益+21%(CC +19%)
営業利益率47%上昇予想上振れ(✅)
EPS$4.14+24%OpenAI投資影響を調整後:CC +21%
営業費用+5%(CC +4%)R&D(計算資源・AI人材)増、ゲーム事業の減損(⚠️)

ポジティブ(✅)

  • 売上・営業利益・EPSがそろって高成長(売上+17%、営業利益+21%、EPS+24%)。
  • 営業利益率47%へ改善(オペレーティングレバレッジ+効率化)。
  • クラウドが明確に牽引(後述、Microsoft Cloud $51.5B / +26%)。

ネガティブ(⚠️)

  • 粗利率はAI投資とAI利用増で低下方向(会社全体68%、クラウドGMも低下)。
  • ゲーム事業で減損計上→OpEx増・利益押し下げ要因。

2) Microsoft Cloud(クラウド)と商用指標

指標実績YoY補足
Microsoft Cloud 売上$51.5B+26%(CC +24%)初の$50B超(✅)
Microsoft Cloud 粗利率67%低下AI投資が主因(⚠️)
商用Bookigns+230%(CC +228%)OpenAIの大型Azureコミット、Anthropicのコミットが主因(⚠️:歪み)
商用RPO$625B+110%平均期間約2.5年、うち次12か月認識分は+39%
RPOのOpenAI比率約45%残り55%(約$350B)が幅広い顧客・製品で+28%成長(✅)

重要な経営陣コメント(需給・投資の考え方)

  • 需要が供給を上回る状態が継続(⚠️)。CapEx(特にGPU/CPU短命資産)を「Azureだけでなく」
    ①M365 Copilot / GitHub Copilot等のファーストパーティ需要、②R&D(計算資源)、③残余をAzureへ、の順で配分している。
  • **Q1/Q2にオンラインになったGPUを全てAzureに回していれば“KPIは40超”**になっていた、との説明(=Azure成長の“潜在”は供給制約で抑えられている主張)。

3) キャッシュフロー・資本政策・CapEx

指標実績YoY/所感補足
設備投資(CapEx)$37.5B高水準(⚠️)約2/3が短命資産(GPU/CPU)
総ファイナンスリース$6.7B主に大型DCサイト
PP&E支払(現金)$29.9B
営業CF$35.8B+60%(✅)Cloud請求・回収が強い
フリーCF$5.9B連続で低下(⚠️)リース比率低下で現金CapExが増えた影響
株主還元$12.7B+32%(✅)配当+自社株買い

ポジティブ(✅)

  • 営業CFが+60%と強烈(請求・回収が想定以上に強い)。
  • 株主還元も増加。

ネガティブ(⚠️)

  • CapExが極めて大きく、FCFは$5.9Bに圧縮。投資負担が利益成長と同時に“資金面の圧力”として表面化。
  • 需要超過=成長機会がある一方、供給制約と投資の先行が続く。

4) セグメント別ハイライト(FY2026 Q2)

(A) Productivity and Business Processes

指標実績YoY(CC)補足
売上$34.1B+16%(CC +14%)
M365 商用クラウド+17%(CC +14%)Copilot寄与増(✅)
M365 商用Seats450M超+6%SMB/フロントライン中心
M365 商用製品+13%(CC +10%)Office 2024のトランザクション購買が想定超(✅/ただし一過性懸念⚠️)
M365 コンシューマークラウド+29%(CC +27%)ARPU成長主因
LinkedIn+11%(CC +10%)Marketing Solutions牽引
Dynamics 365+19%(CC +17%)全Workloadで成長
  • セグメント営業利益率:60%(前年差上昇、効率化+オペレバ)

(B) Intelligent Cloud

指標実績YoY(CC)補足
売上$32.9B+29%(CC +28%)
Azure & Other Cloud Services+39%(CC +38%)供給制約下でも想定上振れ(✅)
オンプレサーバー+2%(CC +1%)SQL Server 2025立上げ+メモリ値上げ前の前倒し需要(⚠️:需要の前借り)
営業利益率42%小幅低下AI投資の影響(⚠️)をオペレバで相殺しきれず

(C) More Personal Computing

指標実績YoY(CC)補足
売上$14.3B-3%
Windows OEM & Devices+1%(CC横ばい)Windows 10 EOS効果+在庫高止まり、メモリ値上げ前の前倒し(⚠️)
Search & News広告(TAC控除後)+10%(CC +9%)実行面の課題で想定未達(⚠️)
Gaming-9%(CC -10%)コンテンツ不振+減損(⚠️)

5) 事業トピック(AI中心:経営陣コメントに基づく“具体数値”)

インフラ(Cloud/Token Factory)

  • OpenAI推論(Copilotを支える)でスループット50%向上(✅)。
  • Fairwater:Atlanta/WisconsinをAI WANで接続し「AI super factory」構築。当四半期だけで総容量を約1ギガワット追加(✅)。
  • Maia 200:FP4で10+ petaFLOPS、社内最新世代比でTCOを30%超改善(✅)。
  • Cobalt 200:初代カスタムCPU比で性能+50%超(✅)。
  • 主権対応:当四半期に7か国でDC投資を発表

プラットフォーム(Agents / Foundry / Fabric)

  • Foundry:
    • 「四半期あたり$1M超を支出する顧客」が約+80%(✅)。
    • 250社超が今年1兆トークン超処理見込み(✅)。
  • Fabric:
    • ARRが$2B超顧客数31,000超、売上**+60%**(✅、2年で急拡大)。
  • Copilot Studio / Agent Builder:Fortune 500の80%超がアクティブなエージェントを構築(✅)。
  • Agent 365:クラウド横断でガバナンス/ID/セキュリティ/管理をエージェントへ拡張(“カテゴリ創出”の主張)。

アプリ(High-value agentic experiences)

  • Copilot(消費者向け):アプリDAUが約3倍(✅)。Copilot checkoutでPayPal/Shopify/Stripeと連携。
  • Microsoft 365 Copilot:
    • 会話数/ユーザーが前年比2倍(✅)。
    • DAUが前年比10倍(✅)。
    • 有料シート数15M、当四半期のシート純増は**+160%**(✅)。
    • 35,000席超の顧客数が3倍、Publicisは95,000席購入(✅)。
  • GitHub Copilot:
    • 有料サブスク 4.7M(**+75%**YoY)。
    • Copilot Pro PlusはQoQ +77%(✅)。
  • Security:
    • セキュリティ顧客 1.6M、うち4ワークロード以上が100万超
    • Purviewが監査したCopilotインタラクション 240億9倍YoY)(✅)。
  • Healthcare(Dragon Copilot):
    • 医療提供者100,000超、当四半期で患者対応21M件を記録(3倍YoY)(✅)。
  • Windows 11:10億ユーザー、**+45%**YoY(✅)。

6) ガイダンス

会社全体

指標ガイダンス
売上$80.65B〜$81.75B(成長 +15%〜+17%
COGS$26.65B〜$26.85B(+22%〜+23%)
OpEx$17.8B〜$17.9B(+10%〜+11%)
営業利益率前年より小幅低下見込み(⚠️)
Other income/expense(OpenAI除く)約+$0.7B
税率(調整後)約19%
FX影響売上成長を**+3pt**押上げ見込み

セグメント別

  • P&BP 売上:$34.25B〜$34.55B(+14%〜+15%)
    • M365商用クラウド:CC +13%〜+14%
    • M365商用製品:低単位のマイナス(Office 2024の一過性を織り込み)
    • M365消費者クラウド:中〜高20%成長
    • LinkedIn:低2桁成長
    • Dynamics:高10%台
  • Intelligent Cloud 売上:$34.1B〜$34.4B(+27%〜+29%)
    • Azure:CC +37%〜+38%(前年はQ3/Q4で加速していた高い比較(⚠️))
    • オンプレサーバー:低単位マイナス(SQL Server 2025効果の剥落、メモリ価格で変動余地)
  • More Personal Computing 売上:$12.3B〜$12.8B
    • Windows OEM/Devices:低10%台減(Windows 10 EOS効果の正常化+在庫調整、OEMは約-10%想定)
    • Search & News広告:高1桁成長
    • Xbox(コンテンツ&サービス):中単位マイナス(前年の強コンテンツ反動、Game Passが一部相殺)

質疑応答ハイライト

1) CapEx増とAzure成長、ROI懸念(Keith Weiss / Morgan Stanley)

Q: CapExが想定より増え、Azure成長が想定より弱い。投資ROIをどう見ればよいか。供給増が将来のAzure成長にどう効くか?
A(Amy):

  • 市場は「CapEx → Azure売上」を直結で見がちだが、短命CapEx(特にGPU/CPU)は配分先が複数。
  • 優先配分は ①M365 CopilotやGitHub Copilot等のファーストパーティ利用増②R&D(計算資源)③残りをAzure
  • **もしQ1/Q2にオンラインになったGPUを全てAzureに回していたら“KPIは40超”**だった。
    A(Satya):
  • 収益性はAzureだけでなく、M365 Copilot / GitHub Copilot / Dragon / Securityなどの**GMとLTVの合算(ポートフォリオ最適)**で見るべき。
  • ComputeはR&Dでもある。長期で最適化。

✅「成長機会は供給制約で抑制されている」主張
⚠️「Azureの見え方(成長率)と投資が一致しない」市場の不信を、配分論で説明


2) 6年償却のAI CapExと、RPO平均2.5年のギャップ(Mark Moerdler / Bernstein)

Q: サーバーは6年償却。RPO平均は2.5年。AI中心CapExが6年の寿命で十分回収できる確度は?
A(Amy):

  • RPO平均にはM365等の短期契約が混じる。Azureはより長期。今期は2年→2.5年へ延伸。
  • 今日買っているGPUの多くは、すでに“有用期間の大半(または全期間)をカバーする形で契約済み”。特に大型GPU契約は「寿命分売れている」。
    A(Satya):
  • ソフトウェアで「古い世代のフリート」でも最新モデルを回し、継続改善。毎年の更新で最適化。
    A(Amy補足):
  • 売り切り(寿命分契約)であれば、運用効率が上がるほど時間とともにマージンは改善する(CPUフリートでも同様)。

✅「契約で寿命分をロック」=回収リスクを抑える説明
⚠️ ただし、“多くは契約済み”の具体比率や契約条件の詳細は非開示で検証困難


3) RPOの45%がOpenAI:耐久性懸念(Brent Thill / Jefferies)

Q: バックログの45%がOpenAI。耐久性や集中リスクをどう見る?
A(Amy):

  • 注目すべきは残り55%(約$350B)が幅広い顧客・ポートフォリオで構成され、+28%成長している点。多様で自信が高い。
  • OpenAIとの契約・健全性については「素晴らしいパートナー」「当社がスケール供給者」「最も成功したビジネスの一つの下にいる」とし、前向き。

✅ 多角化(55%部分)の強さを強調
⚠️ 集中(45%)自体の構造リスクは“否定せず”、良好関係の説明に留まる


4) 容量追加(1GW)と今後の増設ペース(Karl Keirstead / UBS)

Q: 12月期に1GW追加は異例。Fairwater(Atlanta/Wisconsin)含め、今後の供給増の規模感は?
A(Amy):

  • 特定サイトは複数年のデリバリー。場所より「グローバルに容量を増やすこと」が本質。
  • 長命インフラ(電力・土地・施設)を整備し、完成次第GPU/CPUを入れる。
  • 速度と運用効率(ユーティリティ最大化)を追求。

✅ “特定拠点”より“グローバル増設”を強調
⚠️ 将来の増設量の定量ガイダンスはなし(投資家の最大関心点が残る)


5) Maia 200の意義と粗利への影響(Mark Murphy / JPMorgan)

Q: Maia 200の推論性能は驚異的。Microsoftにとってシリコンはどれほど重要なコア能力になる? 粗利への影響は?
A(Satya):

  • 自社シリコンは「長年」取り組み。Maia 200の進展に満足。
  • 重要なのはシリコン単体ではなく、**モデル×シリコン×システム(ネットワーク/メモリ/ラック)**の垂直統合最適化。
  • NVIDIA/AMDとも協業しつつ、一つにロックインせず、世代を超えて最良TCOを取り込む
    (※Amyの粗利コメントはこの設問では明示回答なし。粗利全体はAI投資で低下方向を別途説明。)

✅ 垂直統合+マルチベンダーでTCO最適化の戦略を明確化
⚠️ 推論コスト低下→粗利改善の“数値的”な橋渡しは提示なし


6) 「Frontier transformations」企業の勢いと支出拡大(Brad Zelnick / Deutsche Bank)

Q: Microsoft AIスタック採用で成果が出ている。企業の導入モメンタムと支出拡大余地は?
A(Satya):

  • M365・Security・GitHubの3スイートが相互に複利効果。
  • 特にMicrosoft 365の下層データ(人・関係・成果物・コミュニケーション)が重要で、Work IQが文脈資産になる。
  • Work IQをMCPとして開発ワークフローに組み込み、Teams会議内容とRepoの整合性確認など、変革的な使い方が可能。
  • 企業は業務領域(CS/マーケ/財務等)で自社エージェント構築へ。Fabric/Foundry/GitHub/ローコードが後押し。

✅ 需要喚起のストーリーは強い
⚠️ 「支出がどれだけ増えるか」の定量は示さず(期待を語るが検証不可)


7) CPU側の改善と、AIがクラウド移行を加速するか(Raimo Lenschow / Barclays)

Q: GPUだけでなくCPU面、運用変更の効果は? AIのためにクラウド移行が重要と顧客が認識し、移行が進むのか?
A(Satya):

  • AIワークロードはGPUだけでなく、エージェントがツールでコンテナを起動するためCPU/ストレージが不可欠。学習でも推論でも“比率”で必要。
  • クラウド移行は継続。例として、最新SQL Serverが前世代比でIaaS採用が2倍超
  • 顧客がワークロードを持ち込み新規構築するため、地域で必要なインフラ要素を揃える必要がある。

総括

ポジティブ材料

  • 数字は強い:売上+17%、営業利益+21%、EPS+24%。クラウド$51.5B(+26%)で規模と成長が両立。
  • AI関連の“実需”指標が豊富:M365 Copilot 15M席、GitHub Copilot 4.7M有料、Fabric ARR>$2B、Foundryの大口顧客増、Purview監査240億(9倍)など、単なる将来像ではなく利用の拡大が明確。
  • 供給制約の裏返しとしての強需要:Azureは+39%(CC +38%)。CapExが巨大でも、営業CFが+60%で資金回収力が強い点は救い。

ネガティブ材料

  • 最重要論点は“投資→回収の見える化不足”:投資家が最も欲しい「CapExの増分がいつ・どの収益(Azure/自社AI製品)として回収され、粗利がどう改善するか」の定量が薄い。
    • 経営陣は「配分(Azure以外にも回る)」「寿命分契約済みが多い」を主張するが、比率・条件・価格改定・更新時の単価が不明で検証が難しい。
  • RPOのOpenAI比率45%は構造リスク:残り55%の強さを強調したが、45%集中が消えるわけではない。契約が寿命分で“売れている”と言っても、カウンターパーティ集中交渉力の問題は残る。
  • 粗利率はAI投資で下がる方向が続く:Q3クラウドGMは約65%(Q2は67%)とさらに低下見込み。
    つまり「需要が強い→投資が必要→短期の粗利/FCFは圧迫」という構図が継続。
  • FCFが薄い:営業CFは強いのに、CapExでFCFは$5.9Bまで圧縮。市場が嫌う“利益は伸びるが現金が残らない”局面になりやすい。
  • More Personal ComputingとGamingが弱い:Search広告は実行課題、Gamingは減損とコンテンツ不振。非AI領域が足を引っ張ると、AIの好調が“相殺”され株価の反応が鈍くなる。

成長の持続性・収益性・リスクの結論

  • 成長の持続性は高いが、“供給制約”と“投資先行”が成長の見え方を歪め、同時に粗利とFCFを圧迫している。ここが投資家心理の最大のボトルネック。
  • 今回の説明(「GPUをAzureに全振りなら40超」「寿命分契約済み」)はストーリーとしては整合する一方、定量の裏取りができないため、株価は「良い決算でも売られる」反応になり得る。

株価への示唆

  • 短期:中立〜ややネガティブ寄り。強い業績にもかかわらず、
    ①CapEx高止まり、②クラウド粗利率低下見通し、③OpenAI集中、④定量の不足、が重なり、マルチプルの上昇は起きにくい。
  • 中期:ポジティブに転び得る条件は明確で、
    • 供給制約の緩和によるAzure成長の上振れ、
    • Copilot/Foundry/Fabricの収益寄与が粗利改善として見え始めること、
    • CapExの“増分”に対する回収年限や単位経済性(トークンあたり利益等)の開示が増えること。
      これらが示されない限り、決算は強くても「疑念が残る」状態が続く可能性が高い。

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