デルタ航空(ティッカー:$DAL)の2025年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $0.46 | $0.39 | 〇 |
売上高 | $13.46B (YoY +2%) | $14.04B | 〇 |
ガイダンス 2025Q2EPS | $2.0 ($1.7~$2.3) | $2.23 | × |
ガイダンス 2025Q2売上高 | $16.66B ($16.33B~$16.99B) | $16.2B | 〇 |
業績ハイライト
売上・利益・キャッシュフロー
項目 | 数値 | 前年同期比 | 備考 |
---|---|---|---|
売上高 | 130億ドル | +3.3% 🟩 | 3月期として過去最高 |
営業利益率 | 4.6% | 低下 🟥 | 減益環境下でも黒字維持 |
税引前利益 | 3.82億ドル | 横ばい | EPSは0.46ドルで前年並み |
営業キャッシュフロー | 13億ドル | 不明 | 従業員への1.4B支払後も維持 |
自由キャッシュフロー | 13億ドル | – | 高水準を維持 |
ROIC(投下資本利益率) | 二桁台 | – | 業界トップ水準を維持 |
純債務返済額 | 5.3億ドル | – | 年内30億ドル返済見込み |
🔊 CEOコメント(Ed Bastian)
「年初は不安定だったが、安定した利益と高いリターンを実現できた。6月期には業界トップの利益を目指す。」
部門別・地域別収益動向
項目 | 売上成長率 | 補足 |
---|---|---|
プレミアム・ロイヤルティ収益 | +7% 🟩 | 全体売上の60%近くを占める |
Amexからの報酬 | +13%(20億ドル) 🟩 | 消費拡大・新規会員が寄与 |
旅行商品収益 | +7% 🟩 | バンドル商品など拡充 |
貨物(Cargo) | +17% 🟩 | 単価・数量ともに上昇 |
MRO(整備事業) | +7% 🟩 | エンジン整備が寄与 |
地域 | 売上成長率 | 備考 |
---|---|---|
北米国内 | +1% 🟥 | メインキャビン需要の軟化 |
トランスアトランティック | +5% 🟩 | プレミアム需要が牽引 |
太平洋(アジア) | +16% 🟩 | 日本・ソウルへの需要強い |
ラテンアメリカ | +5% | 単価はやや軟調(🟥) |
ガイダンス(6月期見通し)
項目 | 見通し | 備考 |
---|---|---|
売上高 | 前年同期比 -2%〜+2% | 需要不透明感が影響 |
税引前利益 | 15億〜20億ドル 🟩 | 収益力の高さ維持見込み |
営業利益率 | 11〜14% 🟩 | 高い利益率を維持予定 |
EPS | 1.70〜2.30ドル | 上期での収益集中の傾向 |
非燃料単位コスト(CASM-ex) | 前年同期比 +1桁前半% | 成長抑制でコスト管理強化 |
🔊 Presidentコメント(Glen Hauenstein)
「6月期は売上横ばいの中でも、プレミアム・国際線・Amex・会員ロイヤルティが下支え。国内メインキャビン需要は厳しいが、適正な供給調整で利益を確保する。」
構造改革・コスト管理
- 後半のキャパシティ成長:前年と同水準に抑制(=実質ゼロ成長)
- 特に国内メインキャビンの座席数は減少予定 🟥
- 8月中旬以降の南部地域(例:フロリダ) で供給削減
- 機材増加数:年間で10機未満に抑制予定(+1%以下)
- 早期退役対象:B757, B767, A319, A320などの旧型機 🟥
- MROにおけるUPSとの10年契約:整備外販ビジネスの長期成長を後押し 🟩
- 人員計画:自然減で前年比減少へ(強制削減なし)
質疑応答ハイライト
国際線・プレミアムの強さは持続するのか?
Q(Melius):プレミアムや国際線は今後も堅調か?国内の軟化が波及する懸念は?
A(Glen):
- 現時点では影響見られず。
- 富裕層の資産は依然として2019年比+32兆ドルの水準にあり、旅行意欲は維持。
- 長距離旅行の現金販売は依然強く、特にDelta Oneの利用層は平均60代で、今が「行くタイミング」と捉えている。
🟩 ポジティブ要素:富裕層の資産水準が旅行需要を支えている
キャパシティ削減のタイミングと地域
Q(BofA):供給削減はいつ、どの地域で開始される?
A(Glen):
- 2Qはほぼ現状維持
- 8月中旬〜年末にかけて削減を本格化(Labor Dayより前)
- 地域的には米南部・フロリダを中心に削減(学校再開時期が早いため)
- 低収益時間帯(火水11時台など)を優先的に削減 → 高リキャプチャー率に期待
🟥 ネガティブ要素:8月以降の需要の季節変動に対応せざるを得ない状況
ロイヤルティ事業の動向
Q(Evercore):ロイヤルティ収益は何が牽引?
A(Glen):
- カード会員の支出増が中心(+10%超) 🟩
- 新規会員獲得は+3〜4pt寄与
- スワイプ数も4月現在も高水準で推移(売上未確定だが兆候は良好)
航空機調達と関税リスク
Q(Morgan Stanley/CNBC):エアバス機への関税対応は?受領延期も検討?
A(Ed):
- 「関税がかかる機体は受領しない方針」🟥
- エアバスとは建設的な協議中
- 仮に20%課税されるなら採算が合わず「数学的に成立しない」
オフピーク時の構造的な弱さ
Q(Barclays):過去数年にわたり、オフピークの需要軟化が繰り返されている。構造的な対策は?
A(Glen):
- 火・水曜のフライト比率を抑制(過剰だった)
- ピーク時間帯へキャパシティ再配分で収益性向上
- 火曜11時便などのリキャプチャー率は高く、削減効果大
コーポレート需要と業種別傾向
Q(Jefferies):企業出張需要の減少理由は?
A(Ed):
- 年初は2桁成長、現在は「前年比フラットまで鈍化(▲10ptの変化)」🟥
- 自動車など製造業セクターでの減少が大きい
- 金融・テックは引き続き堅調
コメント