ブッキングドットコム(ティッカー:$BKNG)の2024年度第4四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $41.55 | $36.09 | 〇 |
売上高 | $5.5B (YoY +15.1%) | $5.18B | 〇 |
📊 業績ハイライト
第4四半期業績
項目 | 2024年第4四半期 | 前年同期比成長率 |
---|---|---|
予約宿泊数 | 13%増 | +13% |
総予約額 | $40.3B | +17% |
売上高 | $5.5B | +14% |
調整後EBITDA | $1.8B | +26% |
調整後EPS | $41.55 | +30% |
- 予約宿泊数は13%増となり、ガイダンスの上限を5ポイント超過。
- 総予約額は$40.3B(17%増)と、ガイダンス上限を8ポイント超過。
- 売上高は$5.5B(14%増)、EBITDAは**$1.8B(26%増)**で、いずれもガイダンス上限超え。
- 調整後EPSは$41.55(30%増)。
地域別予約宿泊数成長率:
- ヨーロッパ: 低2桁増
- アジア: 中10%台増
- 米国: 10%増
- その他地域: 20%増
通期業績(2024年)
項目 | 2024年通期 | 前年比成長率 |
---|---|---|
総予約額 | $166B | +10% |
売上高 | $24B | +11% |
調整後EBITDA | $8B+ | +17% |
調整後EPS | $187+ | +23% |
自社株買い戻し | $6B | – |
配当 | $1.2B | – |
- 総予約額$166B(10%増)、売上高$24B(11%増)。
- 調整後EBITDAは**$8B超(17%増)、調整後EPSは$187超(23%増)**。
- 自社株買い戻し: $6B、四半期配当: $1.2B。
地域別通期予約宿泊数成長率:
- ヨーロッパ: 高1桁増
- アジア: 中10%台増
- 米国: 中1桁増
- その他地域: 高1桁増
2025年見通し
項目 | 2025年予想 |
---|---|
総予約額 | +8% |
売上高 | +8% |
調整後EPS | +15% |
EBITDAマージン | +約100bps増 |
- 総予約額、売上高ともに8%以上成長を目標。
- 調整後EPSは15%以上成長を目標。
- EBITDAマージンは100bps増を目標。
🎤 質疑応答ハイライト
1. Generative AIによる競争リスクと機会(Lee Horowitz, Deutsche Bank)
Q: Generative AI(Agentic AI)の登場により、ホテルが直接予約を促進することでBookingの立場が脅かされる可能性についての見解は?
A (Glenn Fogel):
- 25年間、Googleやホテル直販の脅威にも適応してきた。Generative AIも例外ではない。
- データの重要性と旅行特化型AIエージェントの開発に注力しており、競争優位を維持できると確信。
- 大手AI企業との提携を進め、パートナーシップを強化。
A (Ewout Steenbergen):
- AI開発には巨額の資本が必要であり、旅行の複雑さを理解するBookingとの提携が経済的に合理的。
- 経済的インセンティブがAI企業との強固な提携を後押し。
2. 代替宿泊施設の成長(Lee Horowitz, Deutsche Bank)
Q: 代替宿泊施設(Alternative Accommodations)の成長地域と今後の投資計画は?
A (Ewout Steenbergen):
- 全地域で代替宿泊施設の成長が従来型宿泊施設を上回っている。
- 特にアジアと欧州で強い成長。
- Booking.comでは代替宿泊施設の**予約宿泊数が33%**を占め、前年同期比で1ポイント増。
A (Glenn Fogel):
- 7.9百万件のリスティング(前年同期比8%増)、第4四半期の予約宿泊数は19%増と加速。
- 品質とプラットフォームの利便性が消費者に評価されている。
- Geniusプログラムとの連携が顧客ロイヤルティを強化。
3. 航空券事業の成長(Mark Mahaney, Evercore ISI)
Q: 航空券事業の成長見通しと収益への影響は?
A (Glenn Fogel):
- 第4四半期の航空券予約は1,400万件(52%増)、通期では5,000万件(38%増)。
- 航空券予約の総予約額は$13.1B。
- 今後も強い成長を維持するが、成長率のさらなる加速は期待しない。
- **「つながった旅(Connected Trip)」**の一環として航空券の提供を強化し、クロスセルによる収益拡大を目指す。
4. マーケティングコストと顧客獲得(Kevin Kopelman, TD Cowen)
Q: マーケティングコストの動向と直接予約比率の見通しは?
A (Ewout Steenbergen):
- 2024年のマーケティング費用は総予約額の4.4%、前年の4.5%から改善。
- 直接予約比率はB2Cベースで60%台半ば、アプリ経由の予約も50%超に増加。
- ソーシャルメディア広告(特にMeta)への投資が奏功し、ROIが向上。
5. AIによるコスト削減と収益機会(Stephen Ju, UBS)
Q: AI導入によるコスト削減と収益拡大の見通しは?
A (Glenn Fogel):
- コスト削減:
- カスタマーサービスの効率化(例: コール後の要約作業の自動化)。
- 開発効率化によるエンジニアリング生産性の向上。
- 収益拡大:
- AI搭載の旅行エージェントやGeniusプログラムを通じたクロスセル促進。
- 顧客体験のパーソナライズにより、予約頻度を向上。
A (Ewout Steenbergen):
- 2025年のコスト削減目標$150Mのうち、Generative AIによる効率化が重要な要素。
📝 総括
ポジティブ要素
✅ 業績: 総予約額、売上高、EBITDA、EPSともにガイダンスを超過。
✅ 成長分野: 代替宿泊施設、航空券、直接予約が好調。
✅ AI活用: コスト削減と顧客満足度向上の両面で進展。
✅ 資本還元: $20Bの新株式買い戻しと10%の配当増額を発表。
ネガティブ要素
❗ 為替リスク: 2025年の成長率に3〜3.5ポイントのマイナス影響を見込む。
❗ 人員削減: 最大$450Mのコスト削減を目指し、2025年以降に効果が本格化。
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