スポティファイ(ティッカー:$SPOT)の2025年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | €1.07 | €2.33 | × |
売上高 | €4.2B (YoY +15%) | €4.2B | 〇 |
業績ハイライト
売上・加入者成長
指標 | 数値 | 前年同期比 | 備考 |
---|---|---|---|
総売上 | €4.2B | +15%(定為替ベース) | 広告事業とプレミアムの成長による |
プレミアム会員数 | 2.68億人 | +12% | 純増500万人(Q1としては2020年以来最多) |
月間アクティブユーザー(MAU) | 6.78億人 | +3百万人増 | 新興国市場が牽引、特にラテンアメリカとアジア太平洋 |
- Daniel Ek CEOは「加入者の伸びは予想を上回った。中でも新興国が全体の2/3を占めた」と強調。
- プレミアム収益は定為替ベースで+16%、ARPU上昇と値上げ効果が反映。
- 広告事業は定為替ベースで+5%。ライセンス系ポッドキャストの最適化や新たなSpotify Partner Program導入の影響で短期的には抑制。
利益・キャッシュフロー
指標 | 数値 | 前年同期比/前期比 | 備考 |
---|---|---|---|
営業利益 | €509M | 黒字化持続 | 社会保障費の未予測コスト€76M含む |
粗利益率 | 31.6% | +400bps | ポッドキャスト広告売上が予想超 |
フリーキャッシュフロー | €534M | 大幅改善 | 営業利益と運転資本改善が寄与 |
現金及び短期投資 | €8.0B | — | 高水準の流動性 |
ガイダンス(2025年第2四半期)
指標 | 見通し | 前期比 |
---|---|---|
MAU | 6.89億人 | +1100万人 |
プレミアム会員数 | 2.73億人 | +500万人 |
売上高 | €4.3B | +€0.1B(但し為替影響-€100M) |
粗利益率 | 31.5% | やや低下 |
営業利益 | €539M | 増加 |
- 通年では2024年比で利益率の改善見通しを維持。ただし「昨年のような急激な改善ではなく、より段階的な改善を見込む」と慎重姿勢。
- 年後半(Q4)にかけて季節性と戦略投資による変動を予定。
質疑応答ハイライト
Q1: 2025年のMAUおよび粗利率の見通し(Matt Thornton)
Q: Q4の粗利率がピークとの見解は変わらず?年間MAU純増は過去4年と同水準か?
A(Luiga CFO):
- 「粗利率は年内で変動を見込むが、Q4は依然として強い見通し。2025年通期の改善期待は変わらず。」
- 「MAU純増は過去4年レンジに収まると予想。マーケティング比率を上げる必要はない。」
Q2: Superfanプログラムの詳細(Michael Morris)
A(Norström, Ek):
- 「新たな高価格帯プランに対する潜在的ニーズがあり、開発中。」
- 「長期的には重要だが、短中期の成長には依存していない。」
- 「音楽業界との連携が鍵。Superfanプログラムはその布石。」
Q3: AIの活用と効率化(Justin Patterson)
A(Söderström):
- 「AIは既に2018年から中核戦略。プレイリスト生成などリアルタイム対話にも活用。」
- 「社内でも新機能プロトタイピングやコーディング効率化に利用中。」
- 「導入促進は不要。エンジニア主導で自然に進んでいる。」
Q4: ポッドキャストクリエイターへの支払い€100Mの経済性(Jessica Reif Ehrlich)
A(Ek & Norström):
- 「予測通りで粗利率へのインパクトは既に織込み済み。」
- 「動画含めたコンテンツの追加は『滞在時間の増加』→『離脱率低下』→『ARPU・LTV向上』に寄与。」
- KPIは「総エンゲージメント時間」。
Q5: 広告ビジネスの構造変化とソフトネス(Jessica Reif Ehrlich)
A(Norström):
- 「API/プログラマティック広告/DSPなど販売チャネルを多様化。」
- 「従来のブランドセールスに依存せず、全体の需要を取り込む体制が整った。」
- 「広告主数はYoY+21%で1万超。過去初めてQ1がQ4を上回る広告主数に。」
Q6: 成長と利益率のバランス(Eric Sheridan)
A(Ek):
- 「SAC(加入者獲得コスト)とLTV(生涯価値)で投資判断。差が十分大きければ短期の粗利率悪化も許容。」
- 「“Hell yes or no”の原則で新規投資には慎重だが、良質な機会には積極投資する。」
- 「長期成長が主眼。2024年の粗利率改善や成長は数年前の痛みある投資の成果。」
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