マイクロソフト(ティッカー:$MSFT)の2026年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
| 結果 | 予想 | 判定 | |
|---|---|---|---|
| EPS | $4.13 | $3.67 | 〇 |
| 売上高 | $77.67B (YoY +18.4%) | $75.39B | 〇 |
| ガイダンス 2026Q2売上高 | $80.05B ($79.5B~$80.6B) | $80.1B | × |
業績ハイライト
売上・利益・EPS(FY2026 Q1)
| 指標 | 金額 | 前年同期比 | 為替影響除く成長率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | $77.7B | +18% | +17% |
| 営業利益 | – | +24% | +22% |
| EPS | $4.13 | +23% | +21%(OpenAI投資調整後) |
| 営業利益率 | 49% | +増加 | – |
| Microsoft Cloud 売上 | $49.1B | +26% | +25% |
| Commercial RPO(残存業績義務) | $392B | +51% | – |
- 為替の影響はおおよそガイダンス通り。
- AIインフラとプロダクト利用増により総利益率はやや減少(69%)。AzureおよびM365クラウドの効率改善が一部相殺。
- CapExは$34.9Bと大幅増。GPU・CPU等の短期資産が約半分を占める。
- 営業キャッシュフロー:$45.1B(+32%)、フリーキャッシュフロー:$25.7B(+33%)
セグメント別業績
Productivity and Business Processes
| 指標 | 数値 | 前年比 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 売上 | $33.0B | +17% | 為替除く+14% |
| M365 Commercial Cloud | +17% | +15% | ARPU+席数増、E5とCopilotが牽引 |
| M365 Consumer Cloud | +26% | +25% | サブスク数 7%増(9000万超) |
| +10% | +9% | マーケティングソリューションが牽引 | |
| Dynamics 365 | +18% | +16% | 全ワークロードで成長 |
- Gross Margin:+19%、営業利益:+24%、営業利益率:62%(+3pt)
Intelligent Cloud
| 指標 | 数値 | 前年比 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 売上 | $30.9B | +28% | 為替除く+27% |
| Azure & Other Cloud Services | +40% | +39% | 主要顧客によるインフラ需要 |
| オンプレミスサーバー | +1% | – | Windows Server 2025のトランザクショナル需要 |
- Azure AI サービスは供給制限により需要超過が継続。
- 営業利益:+27%、営業利益率:43%(AI投資により前年比やや低下)
More Personal Computing
| 指標 | 数値 | 前年比 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 売上 | $13.8B | +4% | – |
| Windows OEM/Devices | +6% | – | Windows 10サポート終了前の需要増 |
| 検索広告(TAC除外) | +16% | +15% | Edge/Bingのパートナー効果 |
| Gaming全体 | ▲2% | ▲3% | 高い前年比較の影響 |
| Xbox Content & Services | +1% | ほぼ横ばい | サードパーティコンテンツ好調 |
- 営業利益:+18%、営業利益率:30%(+3pt)
ガイダンス(FY2026 Q2)
| 指標 | 数値(ガイドレンジ) | YoY成長率 |
|---|---|---|
| 売上高 | $79.5B – $80.6B | +14〜16% |
| COGS | $26.35B – $26.55B | +21〜22% |
| 営業費用 | $17.3B – $17.4B | +7〜8% |
| 税率 | 約19% | – |
Microsoft Cloud:売上成長26〜27%、Azureは+37%(為替調整後)
資本支出はFY26でFY25より増加予定(特に短期資産)
AI/クラウドのハイライト
- OpenAIとの新契約締結:
- Azureへの追加コミットメント $250B
- Microsoftの投資は約10倍化
- GPT-5、xAIのGrok4も提供
- 独占的API提供、IP権利は2032年まで延長
- AIインフラ拡大:
- AI容量を今期80%以上増強予定
- データセンター面積を2年で2倍に拡大
- 世界最大規模のAIデータセンター「Fairwater」(WI州)発表:最大2GW
- Microsoft 365 Copilot:
- Fortune 500の90%以上が導入
- PwC:15.5万席追加、計20万席以上
- 利用者は900M MAUを突破、利用時間は急増(QoQ +50%)
- GitHub Copilot:
- ユーザー数 2600万超
- GitHub開発者数 1.8億、史上最速成長
- Pull Request数 年間5億件超
- セキュリティ:
- Copilot搭載エージェント35種以上
- Entra月間10億MAU、Purviewによる監査はQoQ +72%
- Gaming:
- MAU:1.55億(Minecraftは過去最高)
- Xbox Ally、PCで新記録
- 第四四半期:過去最高のContent & Services収益
質疑応答ハイライト
Q1: AGI(人工汎用知能)とMicrosoftの将来の立ち位置について(Morgan Stanley)
Q: AGIの進化がMicrosoftの強みを脅かすことはあるか?
Satya Nadella:
- AGIの定義に基づく契約関係(OpenAI)により、知的財産(IP)やリスクの不確実性は管理下にある。
- 現実のAIは「ジャギーな知能(spiky intelligence)」で、万能ではない。
- Microsoftはマルチエージェントシステム(GitHub Agent HQ、M365 Copilotなど)により、実世界で価値を生む形でAIを提供。
- その「統合システム」こそが本当の強みであり、AGIではなく現実の価値創出が重視されている。
🟢 ポジティブ: Microsoftは「AGI神話」よりも、現実のビジネス価値に注力し、持続可能な競争優位性を築いている。
Q2: Bookingの集中リスクについて(Jefferies)
Q: OpenAIによる契約集中はリスクでは?幅広い取引なのか?
Amy Hood:
- RPO $392Bは、様々な製品・顧客にわたる。
- 平均契約期間は2年 → 近い将来で消化される見込みが高い。
- OpenAIの利用が他社のAI強化にも貢献しており、全体的な価値提供に直結。
🟢 ポジティブ: Bookingは一部集中でなく幅広く分散、契約の実行性も高い。
Q3: AIバブルか?需要は本物か?(Bernstein)
Q: 今の投資(特にCapEx)は本当に需要に見合っているのか?バブルでは?
Amy Hood:
- CapExの半分は短期資産(GPU/CPU)で、契約消化と減価償却が一致。
- RPOはすでに契約済であり、それに基づいて資産配分。
- 需要は加速しており、むしろ供給不足状態が続いている。
- 製品使用量の増加、実用的なCopilotの導入拡大が確かな証左。
🟢 ポジティブ: 投資は需給バランスと一致しており、無駄な設備ではない。
Q4: OpenAIの損失について(UBS)
Q: OpenAI関連の$4.1B損失の内容は?
Amy Hood:
- 今四半期のその他収益(Other Income)での損失は、OpenAIへの持分法による損失認識。
- 今回の新契約の影響は未反映。
🔴 注意点: 持分法損失は今後も変動要因となり得る。
Q5: 顧客の契約履行リスク(JPMorgan)
Q: 数十倍のコミットメントをするAI企業は、契約を履行できるのか?
Satya Nadella:
- Azureインフラはグローバルかつ柔軟性(fungibility)が高く、どの顧客にも適応可能。
- 顧客が偏る構成は避けており、契約形態・使用時期も踏まえ、慎重に対応。
- 「偏った需要」は受け入れない判断もしている。
🟡 中立: 超大型契約のリスクは認識し、インフラ構成とポートフォリオで対応中。
Q6: Azureの供給制限による収益損失(Deutsche Bank)
Q: Azureの供給制限による売上影響はどれほどか?
Amy Hood:
- Azureが最も影響を受けている(CopilotやR&Dに優先的に割当)
- 正確な金額は難しいが、「Azureの売上は今より高くなり得た」
🔴 ネガティブ: 実需はあるが供給制限で一部取り逃し。
Q7: 競合クラウド事業者がAI案件を奪取したという噂(Goldman Sachs)
Q: Microsoftが特定の大型AI案件を失ったのは事実か?
Satya Nadella:
- フリートの汎用性と全体最適(1P・3P・研究含む)を重視。
- 「利益率の低い単一メーターの要求」は受け入れない。
- 長期的に最も意味のある案件に集中。
🟢 ポジティブ: 「何でも受ける」姿勢ではなく、戦略的選別ができている。

コメント