成長株投資:カップウィズハンドル

成長株投資

ウィリアム・オニールが提唱したカップウィズハンドルは、チャートパターンのことを指し、成長株投資において最も重要なテクニカル指標の1つです。この記事では、オニールの理論に基づき、カップウィズハンドルパターンの識別と活用方法に焦点を当てて解説します。

カップウィズハンドルとは?

カップウィズハンドルは、その形状が文字通りカップと取っ手に似ていることから名付けられ、カップ形成前の上昇トレンド、カップ、ハンドルの3つのフェーズで構成されている。識別方法として、それぞれ以下のようなポイントがある

カップ形成前

チェックポイント①

カップ形成前に株価が30%以上上昇

  • レラティブストレングスの改善出来高の増加も見られる

カップ部分

チェックポイント②

カップは3~6ヶ月で形成され、底は鋭いV字型よりも丸いU字型が望ましい

  • 握力のない株保有者を振るい落とし、投機家の関心をそらす役割がある
チェックポイント③

カップの深さ(調整幅)は12~33%

  • 成長株は市場全体の一時的な低迷期にカップ型のパターンを形成することが普通。株価平均に比べて1.5~2.5倍の調整が見られることもある
  • 市場低迷時に最も下落の少なかった銘柄は、一般に最も良い選択肢とされる。一方、平均株価の2.5倍以上の下落を見せた銘柄は、保ち合い期間が長くなりすぎるため警戒が必要
  • カップの底から一直線に高値を更新する銘柄は押しを経ていないため危険

ハンドル部分

チェックポイント④

ハンドルはカップの上半分に形成され、10週移動平均線よりも上に出現する

  • カップの下半分10週移動平均線よりも下で形成されたハンドルは、上昇に失敗する傾向がある
  • 安値が切り上がる真横に動く狭いハンドルも、ブレイクアウトに失敗しやすい。このような特徴は、3回目や4回目のベース、停滞銘柄、過度に注目された活発な主導株で見られる
チェックポイント⑤

ハンドルは1~2週間以上かけて形成

  • ハンドル部では数週間前に作られた安値を下回ることがあり、ふるい落としと呼ばれる
  • ハンドル部の安値で出来高が少なくなることが多い
  • ハンドルのないカップは、ブレイクアウトの失敗確率が高い
チェックポイント⑥

ハンドルの深さ(調整幅)は8~12%以内

実際のエントリー方法

ピボットポイントを見つけ、出来高の変化に注目することが重要である

エントリーポイント
  1. カップの高値よりも低いハンドル部分の高値
  2. ハンドル部の下落トレンドラインから上にブレイクアウト
  3. 1日あたりの出来高が通常の40~50%増加
  • 新しい主導銘柄がブレイクアウトする時、1日あたりの出来高が200%以上増えることもある
  • ピボットポイントで株価が上昇するのを待ってから購入する
  • ピボットポイントは必ずしもカップの高値とは限らず、そこから5~10%低いところで発生することが多い

その他の要点

株価の収束

機関投資家が買い集めをしている銘柄では、週の高値と安値の幅が狭く、終値が数週間にわたってほとんど変わらない「株価の収束」パターンが見られる。

  • 週の値幅が毎週大きい場合は、市場に振り回されている状態を示し、ブレイクアウトに失敗する可能性が高い。株価は5~15%上昇した後、急に方向を変えて下落することがある。

安値時の薄商い

適切に形成されたベースでは、カップの底やハンドル後半の安値時に出来高が劇的に減少する

  • 市場に新たに入ってくる株がほぼなく、すべての株が売り尽くされている状態を意味する。機関投資家による買い集めが進んでいる健全な銘柄で見られることが多い。株価の収束期間や要所での薄商いは好材料
  • ベース形成期間中、平均出来高を超える出来高がある週に注目し、その中で株価が上昇して終了した週が下落して終了した週より多い場合は好材料

高値における株式供給

  • 高値における抵抗線を超えることができた銘柄は安全
  • 高値における抵抗力は2年以上経過すると衰える
  • 高値付近で株価が強い抵抗を受けるのは、以前その価格付近で購入した投資家が売却を待ち構えているため

まとめ

カップウィズハンドルは成長株投資法においてコアとなるテクニカル分析ですが、ファンダメンタル分析(CANSLIM)と合わせてエントリーを検討することが必須です。どちらか一方の条件が欠ける場合、上手くエントリーできたと思っても、その後だましに合って下落に巻き込まれる可能性が高いです。X(旧twitter)のタイムラインを見ていると、カップとハンドルの形だけを見て勘違いしている人が多い印象です(特にカップ形成前とハンドル部の条件が見落とされがち)。しっかりと条件を把握したうえでテクニカル分析を行うようにしましょう。

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