サークル(ティッカー:$CRCL)の2025年度第4四半期決算についてまとめます
- 今期実績
- ガイダンス
- 業績ハイライト
- 質疑応答ハイライト
- トピック:AIエージェント経済とArcの立ち位置(Devin Ryan)
- トピック:Arcトークンの有無とタイミング(Devin Ryanフォローアップ)
- トピック:規制(GENIUS / CLARITY)と事業加速(Joseph Vafi)
- トピック:Arcの長期ビジョン(資産トークナイズ基盤化)とCCTP(John Todaro)
- トピック:CPNのオンボーディング/フローと「エージェント商取引」の収益化(Peter Christiansen)
- トピック:予測市場(Polymarket)とUSDCの必然性(Dan Dolev)
- トピック:On-platform USDC(17%)をどう伸ばすか(Ken Worthington)
- トピック:Other revenue(150–170M)の内訳とArc→CPN統合(Jeff Cantwell)
- トピック:Coinbase以外のディストリビューションコスト(Ken Suchoski)
- トピック:エージェント世界での差別化ToDo(James Faucette)
- 総括
今期実績
| 項目 | 予想 | 実績 | 差異 |
|---|---|---|---|
| EPS(希薄化/継続) | 0.16 | 0.43 | 🚀🟢 +168.8% |
| 売上(総収益+準備金収益) | 745M | 770M (YoY +77.0%) | 🟢 +3.4% |
ガイダンス
FY2026 会社KPI見通し:
- Other revenue:150–170M
- RLDC margin:38–40%
- Adjusted operating expenses:570–585M
- USDC:マルチイヤーで40% CAGR想定(ただし四半期/通年の数量ガイダンスは出さない方針)
業績ハイライト
全体サマリー:
- 準備金収益(主に米国債等の利回り×USDC平均残高)が牽引し、総収益+準備金収益は770M(+77%)。RLDC marginは約40%まで上昇。
- USDC期末残高75.3B(+72%)、Q4オンチェーン取引額11.9T(+247%)と、利用量が加速。
セグメント動向:
- Reserve income:733M(+69%)
- Other revenue:37M(前年差+34M)
- Subscription & services:24.7M(ブロックチェーン・ネットワーク提携等)
- Transaction revenue:12.2M(Canton Networkの報酬等、うちCanton Coin上場による押し上げ言及あり)
ガイダンスのポイント:
- EPS/売上の数値ガイダンスは出さず、KPI(Other revenue、RLDC margin、調整Opex)でコントロールする方針を再確認。
良い点:
- RLDC(実質粗利的な指標)の伸びが強く、レバレッジが効いてAdjusted EBITDAが拡大。
- 「USDCのネットワーク効果」+「Arc/CPN/StableFXの積み上げ」で、準備金依存からの多角化ストーリーが具体化。
懸念点:
- 収益の大半は金利とUSDC残高に連動(準備金収益)。SOFR低下などで利回りが下がると逆風。
- Other revenueはまだ小さく、四半期で「一時要因(Canton Coin)」の影響を受けうる、と経営陣も示唆。
質疑応答ハイライト
トピック:AIエージェント経済とArcの立ち位置(Devin Ryan)
Q: AIエージェントの普及はどの順序で進むか(流動性→決済→貸借など)/ USDCを真ん中に置くには?/ Arcの技術性能は他L1に対抗できる?
A: Arcは当初から「エージェント経済活動」を設計中心に置いた。エージェント同士の取引には信頼できる低コストの交換媒体が必要で、現状その多くがブロックチェーン上のUSDCで起きている。標準化(例:エージェント決済標準への関与)とプロダクト準備を進め、需要の立ち上がりを取り込む。
分析:
・経営陣の本音:AI×ステーブルの「需要爆発」を強く見込んでおり、Arcはその受け皿(高スループット/低コスト/USDC中心)として差別化したい。
・強気材料:標準・実装・流通の“既に張ってある網”を武器に先行者利得を狙う。
・弱気材料:AIエージェント需要の立ち上がり時期は「未知」。立ち上がりが遅いと投資回収が後ろ倒し。
・潜在リスク:競合L1/他ステーブルが標準側で巻き返す、または規制でエージェント決済の実装が制約。
トピック:Arcトークンの有無とタイミング(Devin Ryanフォローアップ)
Q: Arcトークンの検討状況と、ローンチ判断の時期は?
A: インセンティブ/ガバナンス/セキュリティ/ユーティリティ面で有用性を探索中。具体的タイムラインは未提示。
分析:
・本音:トークンは「必要なら出す」が、規制・市場環境・設計の最適化が先。
・強気:トークンを出さずともPOAで立ち上げ→信頼性を優先できる。
・弱気:トークン設計が曖昧なままだと、エコシステム拡大のインセンティブ設計で後れ。
トピック:規制(GENIUS / CLARITY)と事業加速(Joseph Vafi)
Q: GENIUS施行後の具体的な追い風は? CLARITYの状況と見立ては?
A: GENIUSは大手機関参入の法的土台となり追い風。SEC/CFTC等の追加ガイダンスで「担保利用」や「ブローカーディーラーのヘアカット扱い」などが前進。CLARITYは「かなりゴールに近い」としつつ、業界/銀行/政府間で妥協文言を詰めている段階との認識。
分析:
・本音:規制明確化=大手機関の採用が進み、USDCの“正統性”が増すのが最大の勝ち筋。
・強気:担保・資本市場ユースが開けると、USDC残高と回転率が同時に伸びうる。
・弱気:最終文言次第で「報酬/リワード」扱いが制約されると、商品設計に跳ね返る。
・リスク:規制の適用範囲が国際的にズレると、海外展開でコスト増。
トピック:Arcの長期ビジョン(資産トークナイズ基盤化)とCCTP(John Todaro)
Q: Arc/CCTPは将来的に資産アグノスティックなトークナイズ基盤(株式等の発行)へ進化しうる?
A: Arcは「分散型の経済OS」。既知の金融インフラ企業が運営し、健全な金融活動に耐える設計。USDC流動性を最も資本効率よく提供しつつ、他アセット発行体の流動性/配布ハブにもなり得る。
分析:
・本音:まず“金融インフラらしさ(信頼/運営主体)”で差別化し、トークナイズ需要を取り込みたい。
・強気:L1を「機関向け」仕様で作り込めれば、手数料/利用料の新たな柱に。
・弱気:機関向け要件は導入が遅く、成長が読みにくい。
トピック:CPNのオンボーディング/フローと「エージェント商取引」の収益化(Peter Christiansen)
Q: CPNの加盟/フロー/ユースケース/粘着性は? そして“エージェント商取引”は収益モデルをどう変える?
A: CPNは加盟55社、年換算TPV約5.7B(前回比+68%)。ユースケースはB2B越境のマーチャント決済が中心で、南南/北南の送金系も見え始めた。エージェント需要はUSDC取引量/残高を押し上げ、Arc上のトラフィック増につながり、将来的にArc起点のトランザクション収益機会になり得る。
分析:
・本音:CPNは今は“規模作り”、スケール後にマネタイズ。
・強気:決済ネットワークは一度張ると粘着性が出やすく、USDC残高増→準備金収益にも寄与。
・弱気:大口フローを持つFIの獲得がボトルネックになり得る。
・リスク:決済は規制・コンプラ・制裁対応の運用コストが増えやすい。
トピック:予測市場(Polymarket)とUSDCの必然性(Dan Dolev)
Q: 予測市場でUSDCが重要な理由と、Polymarket提携の今後は?
A: 予測市場は新たなキラーアプリの一つ。USDCはオンチェーンアプリの“基軸決済/担保”として既に深く組み込まれており、ユーザーが素早く入出金しやすい。Polymarketと協業しUX改善などを進め、成長市場でUSDC採用を深めたい。
分析:
・本音:成長が速い“実需オンチェーン”の勝ち組にUSDCを標準搭載させるのがネットワーク強化策。
・強気:市場拡大=取引量増でUSDC回転率が上がる。
・弱気:規制(賭博/デリバティブ)側の論点で成長が止まる可能性。
トピック:On-platform USDC(17%)をどう伸ばすか(Ken Worthington)
Q: 2026年にon-platform比率はどこまで伸びる? 何がドライバー?
A: Wallet/Mint/Gatewayなどのインフラを拡充し、機関がCircleのスタック上でUSDCを保有・利用しやすくする。ArcはCircleスタックと深く結線され、アプリ/フロー/ストックを押し上げる。条件付きで全米信託銀行(国法信託)の承認も得ており、準備金/カストディ面の強化にもつながる。数値目標はガイドしない。
分析:
・本音:USDCの“配布”だけでなく、保管・決済・カストディを取り込み、継続収益とスイッチングコストを上げる。
・強気:信託銀行化で「機関が安心して置ける」土台が厚くなる。
・弱気:規制・認可・運用整備に時間がかかり、短期では数字に出にくい。
トピック:Other revenue(150–170M)の内訳とArc→CPN統合(Jeff Cantwell)
Q: Other revenueガイダンス(150–170M)の積み上げ要因は? Arcメインネット後の展開と、Arc×CPNの統合は?
A: Other revenueはS&S(ネットワーク提携:前金+リカーリング)とTransaction(CCTP高速移転、CPNの手数料要素、バリデータ報酬等)の複合で、立ち上げ期で四半期ブレもあり得る。ArcはPOAで信頼できる運営主体を揃え、エコシステム(カストディ/ウォレット/取引所等)をDay1対応させる。ArcはCPNの基盤になり、相互運用で他ネットワーク接続も容易にする。StableFXも含め「Arc/StableFX/CPN/Mint」を一体で回す構想。
分析:
・本音:Other revenueは“第2の柱”だが、まだ初期でブレやすいことも織り込ませたい。
・強気:Arc×CPN×FXが繋がると、決済/為替の“ネットワーク課金”が見えてくる。
・弱気:PoA→将来のガバナンス移行、マネタイズ設計が複雑。
トピック:Coinbase以外のディストリビューションコスト(Ken Suchoski)
Q: Coinbase以外の分配コストの状況と交渉は?(非Coinbase分がここ数四半期安定)
A: USDCのネットワーク効果で“自然流入”が増え、必ずしもインセンティブ契約が必要でない先が多い。インセンティブは「実需成長を確実に作れる先」に絞り、ユニットエコノミクス(RLDC)維持に規律的。ディストリビューション契約はネットワーク効果を強め、結果としてRLDCにも寄与する。
分析:
・本音:コストを払って買う成長から、ネットワーク効果で“勝手に増える”成長へ寄せたい。
・強気:分配コスト比率が下がれば、金利が下がる局面でも利益耐性が上がる。
・弱気:成長が鈍ると再びインセンティブ依存が増える恐れ。
トピック:エージェント世界での差別化ToDo(James Faucette)
Q: エージェント決済ネットワークで中核になるためのToDoは? 他の暗号ソリューションとの優劣は?
A: 30以上のチェーンにUSDCの配管(流通/流動性/決済)を敷設済みで、エージェントがどのチェーンに居ても対応できる。主要なエージェント決済標準に関与し、API/プロトコルをエージェント開発ツール側(スキル/サーバー)に統合しやすくしている。加えてマーケ/実験(AIエージェント同士のハッカソン等)で認知と利用を促進。ArcはUSDC中心・資本効率・相互運用・低コストで高スループット基盤になれる。
分析:
・本音:標準×配管×開発者体験で“選ばれる既定路線”を取りに行く。
・強気:チェーン断片化が進むほど「どこでも動くUSDC」の価値が上がる。
・弱気:エージェント標準は覇権が変わりやすく、継続投資が必要。
総括
強み:
- USDC残高と利用量の伸びが強く、準備金収益モデルが依然として高収益。RLDCが約40%まで改善。
- Arc/CPN/StableFXといった“インフラ束ね”で、ネットワーク課金(Other revenue)を伸ばす設計が明確。
弱み:
- 収益構造が金利とUSDC平均残高に強く連動(SOFR低下の逆風)。
最大リスク:
- 規制の最終形(特に報酬/リワード周り)と、予測市場など一部ユースケースの規制リスク。
株価影響:
- 目先は「USDC成長+RLDC改善+Other revenue成長見通し」で強いポジティブ。一方で、金利低下局面で準備金収益が鈍化した際に“Other revenueがどれだけ穴埋めできるか”が次の評価軸になりやすい。

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