Zスケーラー(ティッカー:$ZS)の2026年第2四半期決算についてまとめます
- 今期実績
- ガイダンス
- 業績ハイライト
- 質疑応答ハイライト
- トピック:競争環境・勝ち筋
- トピック:通年ARR引き上げの内訳(季節性・買収)
- トピック:非シート型(メーター/消費)と将来の成長アルゴリズム
- トピック:AI予算の付き方(“AIラベル”案件の実態)
- トピック:AIを含む案件のセールスサイクル・モジュール拡張
- トピック:買収先(高いchurnと貢献上振れの整合)
- トピック:営業生産性(GTM改革の進捗)
- トピック:コアZIA/ZPAの成長率(安定性の確認)
- トピック:ZFlexのARRランプと成熟時の規模
- トピック:SquareX(ブラウザ層)— 拡張 vs 専用ブラウザ
- トピック:AIエージェントの収益化(モデルへの影響)
- トピック:通年ARR引き上げの“有機的”部分の確認
- トピック:Zero Trust Everywhereの経済性(ARR upliftと到達可能性)
- 総括
今期実績
| 項目 | 予想 | 実績 | 差異 |
|---|---|---|---|
| EPS(調整後) | 0.89 (YoY +14.1%) | 1.01 (YoY +29.0%) | 🚀🟢 +13.5% |
| 売上 | 798.3M (YoY +23.2%) | 815.8M (YoY +26.0%) | 🟢 +2.2% |
(参考:ARR 3,359M(+25% YoY)、ネット新規ARR 155.5M)
ガイダンス
| 項目 | 予想 | 会社見通し |
|---|---|---|
| 次期EPS(調整後) | 0.95 | 1.00–1.01 (YoY +19.6% / 🟢 +5.8%) |
| 次期売上 | 831.9M | 834–836M (YoY +23.1% / ⚪ +0.4%) |
| 通年EPS(調整後) | 3.83 | 3.99–4.02 (YoY +22.5% / 🟢 +4.6%) |
| 通年売上 | 3.30B | 3.309–3.322B (YoY +24.0% / ⚪ +0.5%) |
(参考:通年ARR見通し 3.73–3.745B(+約24% YoY))
業績ハイライト
全体サマリー:
- EPS/売上はともに上振れ。一方で市場の視線は「有機的なARR成長」と「買収要因を除いた実力」に集中。
- 経営陣は下期で季節性+パイプラインの強さを示し、通年ガイダンスを引き上げ。
セグメント動向:
- コア(ZIA/ZPA)は「10%台半ば成長で安定」との説明。
- 拡張領域は「AI Security」「Zero Trust Everywhere」「Data Security」を成長柱として強調。
ガイダンスのポイント:
- 通年の“有機的な”ネット新規ARR成長を 9.5% へ引き上げ、と明確に言及(買収による上乗せと切り分け)。
- 買収先については「更新時の上振れ(ARR押し上げ)と、相対的に高い解約率(churn)を併存」と説明。
良い点:
- 大型案件($1M+ ARR)とパイプライン転換が強い、とのコメント。
- Zero Trust Everywhere顧客が 550(前年130)へ拡大、移行時にARRが 2–3倍になり得ると示唆。
- メーター/消費型(非シート型)が新規ACVの25%超。AIエージェント増で伸びる絵を提示。
懸念点:
- 市場は「ARR成長の質(オーガニック)」を厳しく見ており、買収影響のノイズが評価面で残りやすい。
質疑応答ハイライト
(全質問を網羅/質問文は省略せず掲載)
トピック:競争環境・勝ち筋
Q: 「背景と競争勝率。どこで勝っていて、競合の影響は?」
A: 「競争環境はここ数四半期で大きな変化なし。Q2はパイプライン転換が記録的で、$1M超の大型勝ちも記録。『SASE』より『Zero Trust』を訴求すると“ほぼ勝つ”。」
分析:
・経営陣の本音:競争の話を“価格/機能比較”に持ち込まず、概念(Zero Trust)優位で押し切りたい。
・強気材料:大型案件・転換率を前面に出し、需要の強さを強調。
・弱気材料:勝率の定量(%)は出さず、体感コメント中心。
・潜在リスク:競合が「Zero Trust」語彙を取り込み、差別化がマーケ論争化する可能性。
トピック:通年ARR引き上げの内訳(季節性・買収)
Q: 「通年ARR見通しをQ2の上振れ以上に上げている。買収要因は?季節性やQ2からのスリップは?」
A: 「季節性は下期寄り。下期のパイプラインが強く、自信。買収を除いても強さ+季節性が背景。」
分析:
・経営陣の本音:上方修正の“源泉”を、買収ではなく本体パイプラインに置きたい。
・強気材料:下期偏重モデルを明示し、先行きの不確実性を薄める。
・弱気材料:具体的なスリップ有無は明言せず(疑念は残る)。
・潜在リスク:下期前提が崩れる(大型案件遅延)と、説明の逃げ道が減る。
トピック:非シート型(メーター/消費)と将来の成長アルゴリズム
Q: 「非シート型メーターが新規ACVの25%超、関連ARRがYoY倍以上。何が響いていて、今後何に最も期待?」
A: 「従来はシート中心だったが、ワークロード/ブランチ/デバイス/AIエージェントへ拡張。新規の1/4がメーターで、AIエージェント増に伴い拡大を見込む。AIエージェントの通信を守るにはスケールするZero Trust Exchangeが必要。」
分析:
・経営陣の本音:売り方を“席数×単価”から“利用量×価値”へ寄せたい。
・強気材料:AIエージェントという構造的増加(トラフィック増)を追い風にできる。
・弱気材料:メーター比率が上がるほど、利用量の景気感応度/予見性が下がる面も。
・潜在リスク:顧客側が「利用量課金の上振れ」を嫌い、上限設定や代替設計に動く。
トピック:AI予算の付き方(“AIラベル”案件の実態)
Q: 「DXの時代のように、AIを冠して予算を取りにいく案件が増えている。AIセキュリティ案件の予算の出所や実態は?」
A: 「AIセキュリティは予算が問題になっていない。Cレベル関与が必要で、Fortune 500での関係性/信頼が効く。予算はセキュリティ側か、AIプロジェクト側から出る。」
分析:
・経営陣の本音:AIは“新規財布”になり得る(既存IT予算の奪い合いにしない)。
・強気材料:Cレベル直結で単価を上げやすい。
・弱気材料:Cレベル起点は営業難度が上がる(勝ち筋が限定される)。
・潜在リスク:AI投資ブームの減速局面で、優先順位が下がる可能性。
トピック:AIを含む案件のセールスサイクル・モジュール拡張
Q: 「AIを含むと、よりホリスティックな提案やモジュール追加が必要?セールスサイクルはどう変わる?」
A: 「スコープ次第。まずAI資産管理(シャドーAI含む)→脆弱性評価/レッドチーミング→展開でガードレール。統合ベンダーに乗り換える“つなぎ需要”もあり、開始は小さくても消費型(トークン等)で利用増に伴い拡大。サイクルは速い面もある。」
分析:
・経営陣の本音:入口は軽く、後から拡張してNRR/ARPAを伸ばす設計。
・強気材料:“統合への回帰”が起これば、ポイント製品を置き換えやすい。
・弱気材料:小口スタートが増えると、短期のARR押し上げは限定。
・潜在リスク:PoC疲れ・ツール乱立で、入口が無料/低単価に寄る。
トピック:買収先(高いchurnと貢献上振れの整合)
Q: 「解約率が高いと言いながら、ARR/売上の貢献見込みを約30%引き上げた。この整合は?」
A: 「更新を確保するとARRにプラスが出る。churn水準の“現状の色”を示すためのコメント。技術・人材獲得で、agentic SOCの中核。統合は次フェーズへ進んでいる。」
分析:
・経営陣の本音:短期PLより“製品戦略(agentic SOC)”で正当化したい。
・強気材料:更新確保ができれば、買収分のARR押し上げは起こる。
・弱気材料:質評価にノイズ(買収の当たり外れ論争)が残る。
・潜在リスク:統合が進むほど、解約要因が顕在化する可能性。
トピック:営業生産性(GTM改革の進捗)
Q: 「GTMを変えて変革型案件へ誘導してきた。今後の営業生産性のランプは?アップサイド余地は?」
A: 「変革型案件・ZFlexなど大きい取引が増え、生産性は2桁成長。変革は完了、これからは執行。アカウント中心の関与が続くことで、今後も改善余地。」
分析:
・経営陣の本音:“組織改造は終わった”と言い切り、実行フェーズにフォーカスさせたい。
・強気材料:生産性改善は利益率・FCFにも直結。
・弱気材料:大口化は四半期の振れも大きくする。
・潜在リスク:トップ営業依存・案件集中が進むと、再現性が落ちる。
トピック:コアZIA/ZPAの成長率(安定性の確認)
Q: 「コアZIA成長は10%台半ばと言及。直近2〜3四半期の推移や今後2〜3四半期の見方は?」
A: 「ZIA/ZPAは一貫して安定。これが基盤で、未開拓の潜在顧客(ターゲット2万社、現状約4,400社)も大きい。既存のZIA/ZPA顧客をZero Trust Everywhereへ、さらにData/AIへアップセル余地。顧客は平均で4年で初期購入の約3倍に拡大する、との示唆。」
分析:
・経営陣の本音:市場が不安視する“成熟/減速”に対し、安定+未浸透TAMで反証したい。
・強気材料:基盤が崩れなければ、拡張柱の上積みが効く。
・弱気材料:10%台半ばは高成長期待としては物足りない受け止めもあり得る。
・潜在リスク:基盤が鈍化すると、上位柱の成長でも補いづらい。
トピック:ZFlexのARRランプと成熟時の規模
Q: 「ZFlexがRPOブッキングの30%超に見える。ZFlexのARRランプは従来契約と比べて?成熟時の規模感は?」
A: 「ZFlexは柔軟性を提供し、長期パートナー型の関与を可能にする。ARRの見え方自体は(構造が同じなら)ZFlexか否かで本質的に同じ。ZFlexは多製品・長期なので、導入計画に合わせて6〜12カ月のランプが入り得る。平均は8桁TCV、期間は平均4年(3〜5年が中心)。」
分析:
・経営陣の本音:ZFlexを“割引の道具”ではなく、長期拡張の器として位置づけたい。
・強気材料:多製品化・長期化でスイッチングコストを上げやすい。
・弱気材料:ランプが増えると、短期ARRの立ち上がりは遅く見える。
・潜在リスク:柔軟性が高いほど、顧客が価格交渉を強める。
トピック:SquareX(ブラウザ層)— 拡張 vs 専用ブラウザ
Q: 「SquareXは専用セキュアブラウザではなく拡張で組み込む理解。制御/機能のトレードオフは?ブラウザ層は今後のZero Trust案件でどれだけ重要?」
A: 「従来から標準ブラウザでの分離(isolation)を提供。未管理端末で“端末姿勢チェック”を求める声があり、専用ブラウザ買収も検討したが好まなかった(追加の大型エージェントや脆弱性の懸念)。拡張でギャップを埋め、TAM拡大に寄与。初期反応は良い。」
分析:
・経営陣の本音:専用ブラウザ市場に正面参入するより、既存基盤に“軽く足す”方が勝ち筋。
・強気材料:サードパーティアクセス等の具体ユースケースを取り込める。
・弱気材料:専用ブラウザ勢の「深い制御」を求める顧客層は残る。
・潜在リスク:拡張の権限設計やブラウザ仕様変更に依存しやすい。
トピック:AIエージェントの収益化(モデルへの影響)
Q: 「AIエージェントでネットワークトラフィックが増える。増えたトラフィックをどう収益化し、長期モデルにどう効く?」
A: 「エージェント同士/アプリへの通信を安全にするにはZero Trust Exchangeを通すのが最適。エージェント/トラフィックが増えるほど提供価値が上がり、収益機会も増える。最大の成長アップサイドになり得る。」
分析:
・経営陣の本音:AIエージェント時代の“課金単位=トラフィック/処理”へモデル転換を狙う。
・強気材料:構造的にトラフィックが増えるなら、TAMが拡張しやすい。
・弱気材料:顧客がコスト上限を求めると、単価よりも“上限交渉”の世界になり得る。
・潜在リスク:エージェント通信の一部が閉域で完結し、インライン検査が限定されるケース。
トピック:通年ARR引き上げの“有機的”部分の確認
Q: 「ARRガイダンスの引き上げ、買収要因と整合しないように見える。有機的な上げはどれくらい?」
A: 「有機ベースのネット新規ARR成長を年初の6.7%から9.5%へ引き上げ。買収要因は機械的にあるが、根本は本体の強さ。買収除きでも、上期のネット新規ARR成長は10%(前年同期は1%)。」
分析:
・経営陣の本音:“買収で盛っている”疑念を最優先で潰したい。
・強気材料:オーガニック指標を明示し、改善トレンドを提示。
・弱気材料:改善でも高成長レンジへ完全回帰かは別問題。
・潜在リスク:前年が低い反動で、来期以降のハードルが上がる。
トピック:Zero Trust Everywhereの経済性(ARR upliftと到達可能性)
Q: 「Zero Trust Everywhereはどれだけ重要?顧客は550(前年130)。移行時の平均ARR upliftは?既存ベースでどこまで深掘りできる?」
A: 「顧客の増加に満足。移行時のARRは2〜3倍の動きが見えている。Branch(SD-WAN置き換え)もCloudも関心が強く、顧客はコストとセキュリティで置き換え意欲。Branch/Cloudともに強気。」
分析:
・経営陣の本音:最大のアップセルレバーは“Zero Trust Everywhere化”であると印象づけたい。
・強気材料:2〜3倍upliftは、既存顧客からの成長(拡張)ストーリーを補強。
・弱気材料:平均ではなくレンジ示唆。移行条件(期間/規模/構成)は不明。
・潜在リスク:Branch/Cloudは更改案件と絡み、意思決定が長期化しやすい。
総括
強み:
- “基盤(ZIA/ZPA)の安定”を土台に、Zero Trust Everywhere・AI Security・消費型(メーター)で上振れ余地を作りにいく設計が明確。
弱み:
- 投資家が気にするのは「買収除きのオーガニック成長」。買収先のchurn論点が評価ディスカウント要因として残り得る。
最大リスク:
- 下期季節性+大型案件前提が崩れる(遅延/縮小)と、上方修正の根拠が弱まる。
株価への影響(推測):
- 短期は「数字のビート」よりも、「オーガニックARRの持続性」「消費型の伸びが“予見性を落とさず”成長率を押し上げるか」に評価が寄りやすい。

コメント