決算:WMT 2026Q3

決算

ウォルマート(ティッカー:$WMT)の2026年第3四半期決算についてまとめます

finviz dynamic chart for WMT

決算概要

アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。

結果予想判定
EPS$0.62$0.60
売上高$179.5B
(YoY +5.8%)
$174.17B
ガイダンス
2026Q4EPS
$0.695
($0.67~$0.72)
$0.73×
ガイダンス
2026Q4売上高
$185.41B
($184.4B~$186.42B)
$186.87B×
ガイダンス
通年EPS
$2.605
($2.58~$2.63)
$2.61×
ガイダンス
通年売上高
$707.93B
($706.91B~$708.94B)
$701.24B

業績ハイライト

売上/成長率

項目内容
売上成長(通貨一定ベース)+5.9%(全社)
事業セグメント別 高成長‑ ―国際事業:+11.4%(定率)
‑ ―米国:コンスタントカンパレート(comp sales)+4.5%
電子商取引(e‑commerce)成長全社:+27%
国際:+26%
米国:+28%(マーケットプレイス成長17%)
広告/会員収入成長広告:+53%(グローバル、VIZIO含む)
会員収入:+17%(国際が主導)

利益/収益性

項目内容
調整後営業利益成長(定率)全社:+8%
国際:+16.9%
調整後1株当たり利益(EPS)約 $0.62(前年同期比 +7%)
在庫増加全社:約 +3%
米国:+2.6%
営業キャッシュフロー(YTD)約 $27 B(前年同期比+$4.5 B)
株主還元(YTD)約 $13 B(配当+自社株買い)

セグメント動向ハイライト

  • 米国(Walmart U.S.):コンスタントベースの同店売上(comp sales)+4.5%。e‑コマース28%成長、店舗受注からの3時間以内配送の比率35%。
  • 国際(Walmart International):成長率11.4%、e‑コマース26%。インドのFlipkart、中国で特に強く、e‑コマース比率が約30%を超えている模様。
  • 米国クラブ業態(Sam’s Club U.S.):comp sales +3.8%、e‑コマース22%成長。会員数・更新率・上位会員比率すべて成長。
  • 粗利益率/商品ミックス:全社粗利益率ほぼ横ばい。米国で+19ベーシスポイントと改善したが、国際部門でチャネル・フォーマット・価格投資が圧迫。

ガイダンス(見通し)

  • 通貨一定ベース/通期売上成長見通し:4.8%~5.1%(従来3.75%~4.75%から引き上げ)
  • Q4 売上成長見通し:3.75%~4.75%。為替が現在水準で推移すれば、約 $1.1 B の報告売上成長ベネフィットあり。
  • 通期営業利益成長(定率)見通し:4.8%~5.5%。Q4では8%~11%の成長を見込む。為替で約100ベーシスポイントの効果を想定。
  • 調整後EPS(通期)見通し:$2.58~$2.63。Q4は$0.67~$0.72を想定。
  • 引当・リスク備え:インドの子会社PhonePeに関する約 $0.7 B(70 億ドルではなく7 億ドル)の非現金チャージあり。

経営陣コメント

  • CEO Doug McMillon:「この会社は、お客様がよりお金を持っている時も、厳しい時も来てくれる。今はより価値・便利さ・広い品揃えで応えられる状態に進化している。」
  • 新CEO John Furner(2 月1日就任予定):「私はこの会社とアソシエイト(従業員)を愛しており、成長のための準備ができていると信じている。」
  • CFO John David Rainey:「当社の利益成長が売上成長を上回るという財務フレームワークを順守してる。このモデルをグローバルに展開していく。」

ポジティブ/ネガティブ整理

✅ ポジティブ

  • 売上・利益共に成長。特に国際部門の成長が強力。
  • e‑コマース、広告、会員収入という高マージン収益源の拡大。
  • 在庫管理・供給網(サプライチェーン)・オートメーション・AI活用で効率化進行。
  • 売上ガイダンス引き上げ。成長ドライバーが明確。
  • 上位所得層やファッションカテゴリでの強さ。

⚠️ ネガティブ/リスク要素

  • 商品ミックスの逆風(特にグロッサリー・ヘルス&ウェルネスが商品ミックスを押し下げる)を指摘。
  • 国際部門での粗利益率圧迫(チャネル/フォーマット/価格投資)あり。
  • 消費者低所得層の支出モデレーションが確認されており、マクロ環境の不確実性残る。
  • 発表された見通しには為替や新制度(最大公正価格法=maximum fair pricing legislation)といった非統制要因のリスクがある。
  • インド子会社PhonePeのチャージに示されるように、海外での投資・再編リスクも。

質疑応答ハイライト

Q 1. OpenAIとの提携/エージェント型AIによるeコマース加速効果

質問(Simeon Gutman):エージェント型AI(agentic AI)はWalmartのe‑コマース成長をどのように後押しするか。また、Q3およびQ4の時点でホリデー期の消費者動向はどうみているか。
回答(Doug McMillon/John Furnerほか)

  • McMillon:「われわれの強み=幅広い品揃え+最寄り店舗網+低価格。そして技術力で「マルチモーダル」「パーソナライズ」「コンテキスト理解」型体験を提供可能。これらを組み合わせてチャネル成長を図る。」
  • Furner:「デジタルエージェント“ Sparky ”がアプリ内で稼働しており、在庫再注文の提案やユーザー体験の改善に活用。物理資産(店舗倉庫配送網)ともシームレスに連携。AIでカタログ精度、品揃えギャップの把握も進展。」
  • McLay(国際):「チリでの実験“Corredo‑Listo”(WhatsApp経由でバスケット提案)など国際市場での実証例あり。e‑コマース比率20%に迫る実績を確認済み。」
  • Rainey(消費者動向):「Q4入りにあたり環境は概ねこれまでと同様。ただし低所得層においてモデレーションの兆候あり。11月ホリデー期は良いスタートを切っており、当社ガイダンスとも整合的。」

Q 2. 会員プログラム Walmart+ の成長/制約要因

質問(Greg Melich):Walmart+の成長加速において、制約となるものは何か?
回答(John Furner)

  • 今期は過去最高の純加入数を記録。
  • 成長ドライバー:①配送・配送スピード(3時間以内配送35%など)②高いNPS(配送・発送)③新クレジットカード「One Pay」で5%還元④ストリーミングオプション追加。
  • 制約となる要因としては、配送対応ネットワーク拡大、会員特典・価格設定・サービス内容の成熟が挙げられるが、現在改善が進行中。

Q 3. インフレ・価格上昇・価格弾力性

質問(Katharine McShane):店内インフレ率1.3%とのことだが、コスト上昇をどのように価格転嫁しており、弾力性の観点ではどう捉えているか?Q4/2026年前半の価格動向も。
回答(John Furner)

  • インフレ率「低1%台」だが、一般雑貨ではやや高め。
  • 在庫管理を徹底(米国在庫+2.6%)し、シーズン末マークダウンリスクを抑制。
  • 買付・ミックス調整も活用。低価格帯・家族向け商品を重視。
  • Q4/2026年前半に関しては明確な価格上昇予告なし。むしろ値下げキャンペーン(ロールバック)を強化。

Q 4. オペレーティングレバレッジ/関税(tariffs)影響

質問(Seth Sigman):Q4に示されたオペレーティングレバレッジ改善の内訳(特にBBDイベントのタイミングずれ)と、関税影響がモデルにどう反映されているか?
回答(John David Rainey/John Furner)

  • Rainey:「この期で利益が売上以上に伸びたのは2年ぶり。主因=サプライチェーンオートメーション。FC(フルフィルメントセンター)出荷量の50%以上が自動化。e‑コマース配送コストが30%超改善。レバレッジ実現している。」
  • Furner:「関税影響は想定より小さい。特に食品カテゴリーではいくつか緩和があり。フード以外ではビーフが唯一目立つ価格上昇要因。値を抑えたローコスト商品(例:50インチVIZIOテレビ$128)提供中。」
  • McLay:「国際部門では前倒し開催のBBD(Big Billion Days)イベントがQ3に入り、利益改善に貢献。Q4のマージン予想にはこのタイミングずれも組み込んである。」

Q 5. 消費者動向の月次ブレ/低所得層の動き

質問(Kelly Bania):月次ベースでの変動状況、および低所得層の支出鈍化が見えるか?価格攻勢等の柔軟性について。
回答(John David Rainey/John Furner)

  • Rainey:「月次では特別な変動月なし。四半期全体として概ね一致。低所得層の支出には抑制傾向あり。賃金成長の格差が過去10年で最大級というマクロと整合。だが、当社の価値訴求力でシェアを獲得中。」
  • Furner:「全所得層において当社の提供価値+利便性が響いている。ファッション、家電、ホメ分野での伸びが中〜高所得層主体ながら、低所得層向けの取組も継続中。」

Q 6. グロッサリー(食品)部門の展望/商品ミックスと粗利圧力

質問(Christopher Horvers):米国グロッサリーが低シングル成長にとどまっているが、復調の可能性と、価格ギャップ(price‑gap)拡大の意図はどうか?
回答(John Furner)

  • 食品価格戦略として「できる限り低価格」を継続。例えば10人分の夕食を$40以下。ターキーは$0.97/lbは2019年以来。
  • ユニット成長=重視指標で、ドル売上よりユニット伸びを先行して注目。
  • 卵価格のデフレ予想あり。ビーフは継続的にインフレ圧力あり。
  • 商品ミックスの影響として、グロッサリー・ヘルス&ウェルネス比率拡大が粗利面では逆風。

Q 7. 商品ミックス逆風の克服条件/何が転機か?

質問(Robert Ohmes):商品ミックスが粗利益にとって逆風とのことだが、これを「逆風でなくす」ためには何が鍵か?
回答(John Furner/John David Rainey)

  • Furner:「ヘルス&ウェルネス部門が強く、ファッションが+5%超成長。ファッション等の成長部門を拡大することでミックス改善を狙う。」
  • Rainey:「ミックス圧力はマクロ環境(高インフレ→必需品比率上昇)に起因する。Walmartとしては品揃え改善・マーケットプレイス活用で成長カテゴリを引き上げていく。」

Q 8. 価格弾力性/マーケットプレイスSKU数/ホリデーシーズンの位置付け

質問(Paul Lejuez):価格を上げた際の弾力性の状況(カテゴリー別)と、マーケットプレイスのSKU数進捗、ホリデー時期での重要性。
回答(John David Rainey/John Furner)

  • Rainey:「価格上昇が特に顕著なのはエレクトロニクス、トイ、季節商品で、平均単価(AUR)は高シングル増、ユニットはフラット。その他のバスケットでは価格転嫁圧小さい。」
  • Furner:「マーケットプレイス(3P:サードパーティ)については‘5 億ドル以上’規模で推移。今後はSKU数を拡充し、AIで品揃えギャップを特定・補填。ホリデー期では当社として特に重要なチャネルと位置付け。」
  • Nicholas(Sam’sクラブ):「配送/価格/商品イノベーション、特に一部の高付加価値商品でボリューム反応を確認。例えばクラブ専用商品で価格を$5.98→$4.98にしたところ、販売量が2倍。」

Q 9. 国際事業のモメンタム持続性

質問(Rupesh Parikh):国際事業が非常に力強いが、主要市場でのトップライン・モメンタムの持続についての見解。
回答(Kathryn McLay)

  • 高成長市場(インド、China)での強みと、メキシコ、カナダ、チリ等でのオムニチャネル成熟化の2軸あり。
  • 上半期に配送・価格・利便性の投資を実施し、下半期からその成果が出ている。従ってモメンタム継続に自信。

Q 10. 関税感応/1月導入予定の「最大公正価格法(maximum fair pricing)」の影響

質問(Charles Grom):ホリデー期向けの品揃え調整はあったか?また、1月施行の最大公正価格法がヘルス&ウェルネス売上に与える影響について。
回答(John Furner/John David Rainey)

  • Furner:「ホリデー向けの品揃えそのものに大きな変更なし。数量や優先カテゴリー(ギフト、子ども向け)を調整した程度。」
  • Rainey:「最大公正価格法の影響範囲(対象薬剤など)の情報がまだ十分でないため、数値想定は現時点では控えたい。とはいえ、ヘルス&ウェルネス部門全体では引き続き成長を見込んでいる。」

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