ウォルマート(ティッカー:$WMT)の2025年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $0.60 | $0.52 | 〇 |
売上高 | $161.5B (YoY +6.0%) | $158.1B | 〇 |
ガイダンス 2025Q2EPS | $0.635 ($0.62~$0.65) | $0.64 | × |
ガイダンス 2025Q2売上高 | $168.1B ($167.3B~$168.9B) | $166.3B | 〇 |
ガイダンス 通年EPS | $2.30 ($2.23~$2.37) | $2.37 | × |
ガイダンス 通年売上高 | $670.75B ($667.5B~$674.0B) | $670.4B | 〇 |
業績ハイライト
売上高の増加
- 第1四半期の総売上高は、為替の影響を除くと5.7%増加し、ガイダンスの4%から5%の成長を上回った
- 国際部門が主導し、為替の影響を除いた売上高は10.7%増加。ウォルメックス、中国、フリップカートが好調だった
- 米国ウォルマートも予想を上回る成長を遂げ、既存店売上高は3.8%増加。eコマースは22%伸びた
営業利益の大幅な伸び
- 連結調整後営業利益は為替の影響を除くと12.9%増加し、売上高成長率を700ベーシスポイント以上上回った
- セグメント全体で、規律あるインベントリー管理による値引きの削減と、有利なビジネスミックスにより、売上高からの強力なマージンのフロースルーを実現
- 米国ウォルマートが業績を牽引したが、全セグメントが売上高以上の営業利益成長に貢献した
広告とメンバーシップの成長
- 広告とメンバーシップは共に24%の増収
- ウォルマート・ルミネートのデータ分析・インサイト製品をメキシコとカナダに拡大すると発表
デジタルトランスフォーメーションの進展
- 生成型AIによる直感的な商品検索など、新しい体験を実現
- マーケットプレイスとデータのプラットフォームを国を超えて構築・改善
- 自動倉庫システムの導入は予定通り進行中
質疑応答ハイライト
コストインフレの影響と価格設定戦略について
- 第1四半期の全体的なインフレ率は前年比で約40ベーシスポイントの上昇にとどまり、昨年の上昇率の半分だった
- 一般商品のデフレ傾向と、消耗品・食品の物価安定から若干のインフレ傾向が混在している
- 今後もこの水準が続くと予想しているが、バスケットによって状況は異なる
- サプライヤーと協力してコストを引き下げ、競合他社との価格差を考慮しながら価格設定を管理。顧客から好意的な反応を得ている
- エブリデー・ロー・プライスに加え、数多くのロールバック(値下げ)を実施。4月のロールバック数は前年比45%増加
一般商品(GM)カテゴリーの機会と改善点
- eコマースでの22%成長がGMを後押し。マーケットプレイスが勢いを増し、新規出品者が大幅に増加、品揃えが4億点を超えた
- アパレル・ファッションのオンライン販売、特に男女・子供服が好調。ハードラインも好調だった
- 3月の早い時期のイースターと好天が追い風となり、好調なスタートとなった
- タイヤの取り付けなど、デジタルからストアまでのオムニサービスが好評
- GMでは長年アパレル・ホームで出遅れていたが、店舗改装とeコマースの進展で改善の兆し
- ソリューション志向の検索や、より予測的なパーソナルアシスタントの構築に注力。生成AIにより検索機能が大きく向上
Walmart+の価値提案と差別化
- Walmart+は二桁の成長を続けており、会員はより頻繁に利用し、他の顧客よりも多くを支出している
- 無制限の配送、時間と費用の節約を提供し、顧客にとって重要な存在
- パーフェクトオーダー(注文通りの商品を期日通りに届けること)の改善に注力
- サプライチェーンが厳しい中でも2020年に立ち上げ、顧客の注文を正確に満たせるよう継続的に改善してきたことが重要
- 会員制・サブスクリプションの競争が激化する中で、Walmart+は重要な差別化要因
International事業の収益性改善の要因と今後の見通し
- 第1四半期は非常に好調で、トップラインが10.7%、ボトムラインが27%伸長。過去6年間で最高の営業利益率を記録
- ただし第1四半期には一時的な要因もあり、この水準は継続しない。しかしボトムラインの伸びがトップラインを上回るという関係は維持する方針
- ウォルメックスではデジタル接続サービスやヘルスケアメンバーシップなど、エコシステムとしての関連性を高める取り組みが奏功
- 中国では、オフラインとオンラインがほぼ半々のサムズクラブが好調。ダークストア活用で広い商圏をカバーしつつ効率的に配送
- フリップカートではMyntraが過去2四半期でEBITDA黒字化。プレミアム化の進展もフリップカートのプロファイルを押し上げている
商品構成の変化がGMの売上高に与える影響
- 消費者の財布が逼迫する中、当社の事業ミックスは約100ベーシスポイント分、GMから他のカテゴリーにシフトしており、今年を通してある程度続くと予想
- しかしGMにおけるマーケットプレイスの進展が本当の話題。GMは横ばい圏だが、ペットや美容ではマーケットプレイスが30%以上、家具やスポーツ用品では20%以上の成長
- 顧客が当社に対して抱くイメージが大きく変化し、これまでにない分野でシェアを獲得していることの表れ
- 第三者の品揃えを提供できるGMにより、顧客はかつてないほど多くの選択肢を得ている
業績への外部要因と内部要因の影響度合い
- 外部環境よりも自社の取り組みと戦略に注力。顧客やメンバーからのビジネスをどう獲得するかに集中
- 当社はずっと低価格で知られてきたが、利便性でも知名度が上がっている
- インフレ・デフレに関わらず、顧客の所得の多寡に関わらず、品揃えと価格、ピックアップや配送によるサービスで優れていれば、シェアを伸ばし続けられる
- 当社のDNAは小売業者であり、テクノロジーとサービスの変化を通じて、その成長を後押しする側面を獲得
- 1年後、2年後の物価動向はあまり心配していない。自分たちの実行力を心配
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