ヴィーオン(ティッカー:$VEON)の2025年度第3四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
| 結果 | 予想 | 判定 | |
|---|---|---|---|
| EPS | $1.91 | – | – |
| 売上高 | $1.115B (YoY +7.5%) | – | – |
業績ハイライト
売上・利益・ガイダンス
| 項目 | 数値 | 前年比 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 売上高(Q3) | $1.115B | +7.5%(実質+10%) | TNS+、Kyrgyzstan等を除くLike-for-likeベース |
| EBITDA(Q3) | $524M | +19.7% | EBITDAマージン:47%(+410bps) |
| EPS(LTM) | $8.89 | +60.2% | 過去12か月 |
| EPS(Q3) | ▲$1.84 | – | 非現金費用による減益 |
| 非現金費用 | $259M | – | SPAC関連:$162M、Kyrgyzstan売却:$97M |
| フリーキャッシュフロー(LTM) | $584M | – | – |
| キャッシュ残高 | $1.67B | – | HQ:$653M保有 |
| 純負債(リース除く) | $1.73B | – | レバレッジ1.13xまで改善 |
| CapExインテンシティ(LTM, Ukraine除く) | 17.7% | – | ガイダンス範囲内 |
通期ガイダンス(FY2025)
| 指標 | ローカル通貨 | USDベース | 備考 |
|---|---|---|---|
| 売上高成長率 | 13%~15% | 7%~8% | 通貨変動除く |
| EBITDA成長率 | 16%~18%(上方修正) | 10%~11% | 旧ガイダンス:14%~16% |
| CapEx比率 | 17%~19% | – | Ukraine除く |
デジタルサービス・マルチプレイ戦略
| 指標 | 数値 | 前年比 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 直接デジタル売上 | $198M | +63% | 売上全体の17.8%(前年同期:11%) |
| 月間アクティブユーザー(MAU) | 143.3M | +39% | うちデジタルのみ:50M(35%) |
| マルチプレイ顧客ARPU | 単体音声ユーザーの3.8倍 | – | マルチプレイ比率:55.4%、YoY+23% |
デジタルサービス内訳(構成比と成長)
| セグメント | 売上構成比 | 成長率(YoY) | 特記事項 |
|---|---|---|---|
| 金融サービス | 54% | +33% | 主にJazzCashが牽引 |
| エンタメ、ライドシェア等 | 残り全体 | 非開示(ただし「堅調」と言及) | 広範な貢献 |
地域別業績(ローカル通貨ベース)
| 市場 | 売上成長 | 備考 |
|---|---|---|
| Beeline Kazakhstan | 表面上:一桁成長 実質:+23.3% | TNS+売却調整後 |
| バングラデシュ | YoYでプラス成長転換 | 14ヶ月ぶりの回復 |
| その他主要市場 | 二桁成長 | ウズベキスタンなど |
JazzCash(パキスタン)ハイライト
| 指標 | 数値 | YoY成長率 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 月間アクティブユーザー | 22M | – | 総口座数:約50M |
| 総取引額(四半期) | $48.8B(LTM) | +50% | 国内GDPの13%に相当 |
| 1日平均ローン数 | 153,000件 | +26% | Nanoローン:平均$30~40 |
| 最多1日融資実績 | PKR 1.1B / 200,000件 | – | – |
| 商業加盟店 | 700,000店 | – | Raast支払いの80%を処理 |
AI戦略(AI1440)・その他注目領域
| 領域 | 主な成果・進展 |
|---|---|
| LLM(大規模言語モデル) | カザフ、ウクライナで国家レベルLLM開発進行中 |
| AIカスタマーサポート | SIMOSAチャットボット:月間100万人処理 |
| AIコンテンツ推薦 | Tamasha等:MAU3,500万、60%のVOD再生をAIが牽引 |
| 教育・HR支援 | AIチューター:月間17,000人利用、履歴書支援など |
株主還元・資産活用
- Kyivstar上場(NASDAQ):SPAC経由で完了。評価額:$2.8B(簿価の2.3倍)
- 保有比率:89.6%($2.5B相当)維持中も、さらなる外部資本受け入れに前向き
- Kyrgyzstan事業売却:完了、非中核資産整理の一環
- 新たな$100M自社株・社債買戻しプログラム:取締役会承認済
質疑応答ハイライト
KyivstarのSPAC上場と今後の保有方針
Q(BTIG – Jesse Sobelson)
SPACを通じた上場の理由と、今後の保有比率について教えてください。
A(Terzioglu)
- SPACは迅速かつ確実な上場手段として選択。
- 上場後評価額:$2.8B、簿価の2.3倍で非常に成功。
- 今後もウクライナ人および国際投資家への開放に前向きで、保有比率引き下げも検討。
Kyivstarのキャッシュ利用と資金移動制限
Q(Edison Group – Nicholas Paton)
本社・Kyivstarのキャッシュ活用方針は?
A(Terzioglu)
- Kyivstarのキャッシュ:$470M。ただし**戦時下の送金制限(Martial Law)**あり。
- 基本方針はウクライナ国内での再投資(Helsi、Uklonなど)を通じて現地貢献。
インフラ事業(UTC)と将来の分離戦略
Q(Emerging & Frontier Capital – Adrian Cundy)
Kyivstarのタワー資産(UTC)について、分離や売却予定は?
A(Terzioglu)
- インフラ事業の独立性を重視。共有インフラを促進する方向。
- 将来的には第三者への売却も視野に。
JazzCashとデジタル金融の拡張可能性
Q(Zero One – Vincent Fernando)
JazzCashとMMBLの知見を他国展開に活かす方針は?
A(Terzioglu)
- 経験を活かしバングラデシュ・ウクライナなどへ拡大意欲。
- ナノローンの信用スコア、技術ノウハウを共通化へ。
- デジタル銀行ライセンスへの移行も模索中(現状はマイクロファイナンス)。
デジタル収益成長とEBITDAマージンの関係
Q(Inam – Ahmed Mostafa)
デジタルサービスの拡大とEBITDA成長の両立は可能か?
A(Terzioglu)
- 当初予想よりもマージン悪化は限定的。
- 厳格なコスト管理と価格戦略(インフレ+GDP成長対応)により高マージンを維持。
ライドシェア事業(Uklon)の展開地域
Q(Inam – Ali Zaidi)
ライドシェア(Uklon)の展開拡大予定は?
A(Terzioglu)
- 現在:28都市(うち27はウクライナ、1はウズベキスタン)。
- 新たな都市/国(カザフスタン、パキスタンなど)への展開を検討中。
利用者拡大戦略とスマホ普及の影響
Q(Benchmark – Matthew Harrigan)
市場全体の成長が鈍化した場合、スイッチングシェアやデバイス進化が成長に貢献するか?
A(Terzioglu)
- 今後4G普及により9000万人規模の新規ユーザー獲得が可能。
- 40Mの音声専用ユーザーをスマホ+デジタルサービス利用者へ転換するポテンシャルは極めて大きい。

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