U.S.バンコープ(ティッカー:$USB)の2024年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $0.90 | $0.87 | 〇 |
売上高 | $6.72B (YoY -6.4%) | $6.71B | 〇 |
業績ハイライト
純利息収入の見通し
- 第2四半期は第1四半期と同水準、下期は緩やかに回復する見通し
- 法人顧客の預金シフト(無利息→利付預金)による預金コスト上昇が継続
- 一方、ローンスプレッドの拡大や証券ポートフォリオの入れ替えで資産利回りが改善
- 金利見通しや顧客行動次第では不確実性も
経費管理の強化
- 純利息収入減少を受け、幅広い分野でコスト削減に着手
- M&Aシナジーに加え、オペレーションの効率化や調達コストの見直しなどを推進
- 通期の経費は前年比減少の見通し
クレジット・コストの動向
- 不良債権比率は商業用不動産(オフィス)の影響で0.48%に上昇
- ネット・チャージオフ率は住宅ローン等の影響で0.53%に上昇
- オフィス関連は引当を厚く積んでおり、損益面の影響は限定的
- 通期のネット・チャージオフ率は0.6%近辺の見通し
手数料収入が減収をカバー
- 非金利収入は前年比+7.7%。金利上昇局面でNII減少を一定程度カバー
- 決済、キャピタルマーケッツ、住宅ローンが牽引し、中期的に中一桁台半ばの伸び続く見通し
- 手数料収入比率は約40%と高水準
自己資本政策
- 普通株式等Tier1(CET1)比率は10.0%まで上昇
- 当面は自社株買いを停止し、資本を着実に積み上げる方針
- バーゼルIII最終化の影響を見極めつつ、中長期的には余剰資本を還元に振り向ける
質疑応答ハイライト
預金シフトと純利息収入(NII)への影響:
- 金利上昇長期化観測から法人顧客の預金シフトが継続。低コスト預金(無利息)から高コスト預金(利付)へのシフトペースは鈍化しているが想定以上に時間がかかっている。
- 無利息預金比率は17%まで低下、今後2-3ポイント程度はさらに低下する可能性。
- 預金コスト上昇圧力はあるが、一方でローンや証券ポートフォリオの入れ替えが進み、資産サイドの利回りが改善。
- 第2四半期のNIIは第1四半期並み、下期は緩やかに回復する見通し。ただし金利・顧客行動次第で不確実性は残る。
- NII下振れリスクに備え、幅広い分野で経費削減に着手。コスト・コントロールを強化する。
クレジット・コストの見通し:
- 不良債権比率は商業用不動産(オフィス)の影響もあり0.48%に上昇。
- ネット・チャージオフ率は季節的要因もあり、住宅ローン等の影響で0.53%に上昇。
- オフィス関連は今後もリスクだが、十分な引当金を積んでおり、損益面での影響は限定的。
- 通期のネット・チャージオフ率は0.5%台半ばからやや上振れて0.6%近辺で着地する可能性。
フィー収入の見通し:
- 決済、キャピタルマーケッツ、住宅ローンを中心に好調を維持。中期的にも中一桁台半ばの伸びを見込む。
- 法人向け決済は前年割れだがフレート関連の影響。基調としては堅調なビジネス投資を背景に高い伸びが続く見込み。
- キャピタルマーケッツは引受案件の拡大を追い風に大幅増収。住宅ローンも利ざやの拡大により増収。
- 高金利下でのフィー収入の伸びはNII減少を一定程度相殺する。フィー比率は約40%。
自己資本の考え方:
- バーゼルIII最終化を見据え、当面は自社株買いを停止し資本を積み上げる方針。
- 配当は最優先事項として位置付ける。中長期的には余剰資本を還元に振り向ける。
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