アップスタート(ティッカー:$UPST)の2025年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | -$0.03 | -$0.19 | 〇 |
売上高 | $213.37M (YoY +66.7%) | $201.26M | 〇 |
ガイダンス 2025Q2EPS | $0.24 | $0.25 | × |
ガイダンス 2025Q2売上高 | $225M | $226.28M | × |
ガイダンス 通年売上高 | $1.01B | $1.01B | 〇 |
業績ハイライト
売上・利益・主要指標
指標 | 数値 | 前年同期比 | 前四半期比 | 備考 |
---|---|---|---|---|
総売上高 | $213百万 | +67% | – | ガイダンスを上回る |
手数料収入 | $185百万 | +34% | – | 売上の約87%を占める |
純利息収入 | $28百万 | – | +$13百万上振れ | 予想を上回る、金利スプレッド拡大等に起因 |
GAAP純損失 | -$2百万 | 改善 | – | 予想を上回る、損失縮小 |
調整後EBITDA | $43百万 | – | – | 約20%のマージン |
調整後EPS(希薄化後) | $0.30 | – | – | 株式数:1.04億株 |
保有ローン残高 | $726百万 | -21%(前年比) | +$23百万 | R&D製品の拡大による |
現金残高(非制限) | $600百万 | – | – | 前四半期から$188百万減少(賞与等) |
プラットフォーム上のローン件数 | 241,000件 | +102% | -2% | 新規借入者:163,000件 |
平均ローン金額 | $8,865 | 小幅増加 | $8,580(前四半期) | Super Prime構成比増加が主因 |
プロダクト別の進捗
個人ローン(Core Personal Loan)
- オリジネーション:前年同期比 +83%、前四半期比 フラット
- コンバージョン率:14% → 19%
- 自動化率:92%(完全AIによる自動処理)
- Super Prime層(FICO > 720):全体の32%
- 新技術導入:Embeddings(特徴量強化)、リスク分離向上を実現
オートローン(Auto Refinance)
- オリジネーション:前四半期比 +42%、前年比 約5倍
- CAC(顧客獲得コスト):前四半期比 -57%
- 即時承認:初の“9分”即時承認ケースを達成
- 回収率:前年比で2倍に改善
HELOC(住宅担保ローン)
- オリジネーション:前四半期比 +52%、前年比 6倍超
- 即時収入/本人確認成功率:Q4比で半数未満→2/3へ上昇
- 提携金融機関:3行と提携済み、オフバランス化を進行中
- 州展開:カリフォルニア参入によりカバレッジは37州 + D.C.(全米人口の約75%)
小口ローン(STL)
- オリジネーション:前四半期比 +7%、前年比で3倍
- 新規顧客への貢献:全体の16%
- 個人ローンと共通のAIモデルを活用開始(embeddingなど)
サービシング(債権回収)
- Hardship対応:90%自動化
- 債務整理の同意率:+50%(リスク顧客への条件延長施策)
- MLモデルによるサービシング自動化:初のローンチ目前
- 将来的なSaaS提供を目指す
ガイダンス(業績見通し)
2025年Q2見通し
指標 | 見通し値 |
---|---|
総売上高 | $225百万 |
手数料収入 | $210百万 |
純利息収入 | $15百万 |
調整後EBITDA | $37百万 |
調整後純利益 | $25百万 |
GAAP純損失 | -$10百万 |
通期見通し(2025年)
指標 | 見通し値 |
---|---|
総売上高 | $1.01B |
手数料収入 | $920百万 |
純利息収入 | $90百万 |
調整後EBITDAマージン | 約19% |
GAAP純利益(通期) | プラスに転換予定 |
経営陣コメント要約
- AI技術でのリーダーシップを10倍に強化:Embedding等による構造的差別化が進展。
- ファンディング体制を急成長に備えて強化:Fortressと初のコミット型契約締結。
- GAAP純利益への回帰:H2に黒字化見込み。
- 「ベストレート・ベストプロセス」への全面シフト:商品別で競合優位を達成中。
- Walmart傘下OnePayとの提携:初期段階ながら、潜在的な高い成長性あり。
質疑応答ハイライト
Walmart(OnePay)との提携について
Q: 提携の内容は?
A(CEO Dave):
- Walmart傘下OnePayと1年間の契約を締結。UpstartのプロダクトをWalmart顧客に提供。
- すでにローンチ済。
- Upstart側のAI・信用モデルを使用。融資判断はUpstart主導。
- 経済条件も共有されているが、双方にとってメリットが大きい。
- 2025年通期ガイダンスには業績影響は織り込まず。将来的に拡張可能性あり。
コンバージョン率とモデル精度
Q: モデル改善によりコンバージョン率はどう変化?
A(CEO):
- 昨年の14% → Q1は19%に上昇。
- 今後もモデル進化・オートメーションにより上昇期待。
- 「未充足のリクエスト」が多く残っており、改善余地は大。
Contribution Margin(貢献利益率)
Q: 今後のトレンドは?
A(CFO):
- Q1は55%、前四半期から6ポイント低下。
- Super Prime比率の増加によるTake Rateの低下が要因。
- HELOCやAutoなどの新製品はまだ利益率が成熟していないため、平均を押し下げ。
融資需要と市場環境
Q: 高金利での借換え需要は?
A(CEO):
- 依然として需要は強い。
- 季節的にもQ1後に強含み、税金シーズン終了後に需要回復。
- 特に債務統合ニーズは依然旺盛。
ファンディング体制とリスク耐性
Q: Fortressとの提携、銀行・クレジットユニオンの反応は?
A(CFO):
- Fortressとの契約は長期的かつコミット型で、現在の不安定な市場においても機能。
- 銀行・信用組合からのプルバックは一切なし。
- 融資成長はファンディングより顧客獲得効率に依存。資金制約ではなく、需要サイドが成長制約要因。
ABS市場について
Q: 最近の$320M ABS取引の反響は?
A(CFO):
- 高い需要でオーバーサブスクライブ(過剰申し込み)。
- スプレッドは若干拡大も、機能性は良好。
- ABS市場はあくまで「オポチュニスティック」で、基幹資金ではない。
Take Rateとマーケティング効率
Q: Super Prime増加でのTake RateやCACの変化は?
A(CFO):
- Super Primeは競争が激しく、Take Rateは低い。
- CAC(顧客獲得コスト)は大差なく、マージンは小さくなる。
- 総利益としてはプラス要素で、戦略的には歓迎。
コメント