ユナイテッド航空(ティッカー:$UAL)の2025年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $0.91 | $0.74 | 〇 |
売上高 | $13.2B (YoY +5.3%) | $13.18B | 〇 |
ガイダンス 2025Q2EPS | $3.75 ($3.25~4.25) | $3.97 | × |
業績ハイライト
売上高と収益状況
指標 | 数値 | 前年同期比 | コメント |
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売上高(Revenue) | $13.2B(132億ドル) | +5.4% | 会社過去最高の第1四半期売上 |
税引前利益率(Pretax margin) | 3.0% | +3.6pt | COVID以降で最高の1Q税引前利益率 |
EPS(1株当たり利益) | $0.91 | 非開示(前年不明) | ガイダンス内で着地 |
プレミアムキャビン収益 | +1桁中盤成長 | – | 国際線PolarisのASM+8%、Premium Plus RASM+5%超 |
忠誠プログラム収益 | $1.5B(15億ドル) | +9% | コブランドカード支出も+9% |
✅ ポジティブな点:
- 国際線プレミアム収益が堅調(特に日本路線)。
- 忠誠顧客基盤の拡大が継続、NPSスコア最高水準。
- 業界で最も高いブランドロイヤリティを6つの拠点で獲得(例:シカゴで乗客シェア22pt差で1位)。
🔻 ネガティブな点:
- 米国内メインキャビンRASMは前年比▲5%。
- オフピーク(早朝・深夜)の便での収益が40%下落(平時は30%下落)。
コスト・キャッシュフロー・財務状態
指標 | 数値 | コメント |
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CASM ex(座席単位コスト) | +0.3% YoY | メンテコストの一部繰延により良好な着地 |
フリーキャッシュフロー(FCF) | $2B+(四半期) | 過去12ヶ月で$5B超、130%の純利益換算 |
純負債倍率(Net leverage) | 2.0倍(前年末2.2倍) | 投資適格格付けに近づく |
自社株買い | 約560万株($80平均) | 残り約$10億の買戻し枠あり |
✅ ポジティブな点:
- 運航効率の改善と支出管理で好調なコストパフォーマンス。
- 株価低迷を機に自社株買いを加速、20%超のFCF利回り。
ガイダンス(業績見通し)
項目 | 数値 | コメント |
---|---|---|
Q2 EPSガイダンス | $3.25〜$4.25 | 変動幅大きめで柔軟性を確保 |
通期EPSベースケース | $11.50〜$13.50 | 現在の需要水準が安定前提 |
通期EPSリセッションシナリオ | $7〜$9 | 追加で収益▲5ptを想定した悲観ケースでも黒字確保 |
通期FCF見通し | 約$3B(ベースケース) | 減速シナリオでも黒字維持見込み |
✅ ポジティブな点:
- 厳しい経済環境下でも通期黒字を維持可能な体制。
- 構造的なコスト削減+ブランド顧客維持によりマージン耐性強化。
質疑応答ハイライト
EPSガイダンスと2026年見通し(JPMorgan)
Q(Jamie Baker): もし景気が悪化してリセッション入りした場合、2026年の利益見通しは下がるか?
A(Scott Kirby): 12ヶ月以内に経済が正常化すれば、「マージンはむしろ上昇する」。ブランドロイヤルティ構築、コスト収束、収益多様化など、過去5年間の戦略が今こそ実を結んでいる。リセッションは「差が広がる」タイミング。
→ ✅ 長期的な収益性に自信あり。
自社株買いの方針(JPMorgan)
Q: 株価が割安な中での買戻しは、レバレッジ目標との整合性は?
A(Mike Leskinen): ・買戻しはFCFから賄い、借入での実施は一切ない。 ・レバレッジ2.0x未満にする目標も維持。 ・株価が割安な今が「正しい買戻しのタイミング」。
→ ✅ 株主還元と健全財務を両立。
コスト管理とリセッション時の対応(BofA)
Q: 1QのCASM exが非常に低いが、今後も継続可能か?
A: ・1Qはベストパフォーマンス。メンテ繰延のタイミング効果もある。 ・しかし通期でも想定よりコスト改善が進んでおり上振れ期待あり。
→ ✅ コスト制御に継続的な改善の余地。
需要悪化時のレバー(Melius)
Q: 今はスピルキャリア(価格で客を奪う側)を排除するタイミングでは?
A(Scott): 「Unitedは顧客にとって“選ばれるエアライン”であり、我々は自社の顧客を満足させることだけに集中している。他社を排除しようとは考えていない。」
EPS見通しの下半期改善要因(Melius)
A(Mike): ・2Qガイダンスはまだコンティンジェンシーあり。 ・下期は追加の燃料価格下落($0.20/ガロン)、利用率削減の効果などが寄与。
→ ✅ ガイダンス達成には安定したブッキングと追加の改善が必要。
国際線・ロイヤル顧客動向(複数)
- 日本・南太平洋路線が絶好調。
- 国際線の80%以上が米国発需要で、非米国発は一部減(欧州▲6%、カナダ▲9%)だが全体には影響なし。
- プレミアム旅客は堅調、ビジネス旅客は2024Q4→2025Q1で+15%→+7%とやや鈍化。
- ロイヤリティ収入は安定しており、将来的な下振れリスクは限定的。
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