台湾セミコンダクター(ティッカー:$TSM)の2025年度第4四半期決算についてまとめます
- 決算概要
- 業績ハイライト
- 質疑応答ハイライト
- 1) AI需要はバブルか?需要の“確度”の裏付け(JPMorgan:Gokul)
- 2) 米国拡張(アリゾナ)と将来規模(JPMorgan:Gokul)
- 3) AIインフラの制約(電力・設備)をどう評価?(Citi:Chia Yi/Laura)
- 4) 先端パッケージの売上寄与と投資領域(Citi:Chia Yi/Laura → CFO)
- 5) 非AI(スマホ/PC等)の見通し、メモリ高の影響(Morgan Stanley:Charlie)
- 6) Intel Foundry競争・米国政治的追い風への懸念(Morgan Stanley:Charlie)
- 7) 8インチ/成熟ノード撤退やパッケージ転用報道(Macquarie:Yu Jang Lai)
- 8) メモリ逼迫・価格上昇は2027需要に悪影響か?(Macquarie:Yu Jang Lai)
- 9) 供給逼迫はいつ緩和?人材不足は?(Arete:Brett)
- 10) 価格(ASP)上昇は“新常態”か?(Arete:Brett → CFO)
- 11) ノード寿命が長期化(4~5年でも高売上)=財務インプリケーション(UBS:Sunny)
- 12) N2の2026売上寄与は? なぜスマホ/PCがN2へ移行加速?(UBS:Sunny)
- 13) AI成長(トークン/電力=GW)前提は?(Goldman:Zheng/Bruce)
- 14) 次の3年で“0B CapEx”はあり得る?(Goldman:Zheng/Bruce → CFO)
- 総括(最大限に厳しい視点・妥協なし)
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
| 結果 | 予想 | 判定 | |
|---|---|---|---|
| EPS | $3.14 | $2.90 | 〇 |
| 売上高 | $33.73B (YoY +25.5%) | $33.00B | 〇 |
| ガイダンス 2026Q1売上高 | $35.2B ($34.6B~$35.8B) | $33.2B | 〇 |
業績ハイライト
4Q25(四半期)実績サマリー
※通貨・単位は発言どおり。本文には一部「USD換算なのにTWD表記」など混在があるため、**“発言に忠実”**に整理しています。
| 指標 | 4Q25 | QoQ | コメント(会社説明) |
|---|---|---|---|
| 売上高(NT$) | (金額未提示) | +5.7% | 先端ノード需要が牽引 |
| 売上高(US$) | “TWD 33.7 billion” | +1.9% | 会社発言のまま記載(表記混在)/ガイダンスをやや上回り |
| 粗利率 | 62.3% | +2.8pt | コスト改善、為替、稼働率上昇 |
| 営業費用比率 | 8.4% | ▲0.5pt | レバレッジ効果 |
| 営業利益率 | 54.0% | +3.4pt | 〃 |
| EPS | TWD 19.5 | ー | |
| ROE | 38.8% | ー |
✅ポジティブ(視覚強調)
- 粗利率+280bp(QoQ)、**営業利益率+340bp(QoQ)**と、利益面の伸びが大きい
- ガイダンス粗利率上限を+130bp上回り(コスト改善が想定超)
⚠️ネガティブ/リスク(視覚強調)
- 海外工場(海外Fab)立上げが継続的に粗利率を希薄化(後述、年単位で2~4%の希薄化見込み)
- 為替はコントロール不能(利益変動要因として明言)
4Q25 技術別売上構成(Wafer Revenue)
| ノード | 4Q25 構成比 |
|---|---|
| 3nm | 28% |
| 5nm | 35% |
| 7nm | 14% |
| 先端(7nm以下)合計 | 77% |
FY25(通期)技術別売上構成(Wafer Revenue)
| ノード | FY25 構成比 |
|---|---|
| 3nm | 24% |
| 5nm | 36% |
| 7nm | 14% |
| 先端(7nm以下)合計 | 74%(2024年の69%から上昇) |
✅ポジティブ
- 先端比率がさらに上昇(ミックス改善が継続)
⚠️注意点
- 先端比率が高いほど、装置・プロセス複雑化によるコスト上昇と常に背中合わせ(会社も明言)
4Q25 プラットフォーム別売上構成
| プラットフォーム | 4Q25 構成比 | QoQ |
|---|---|---|
| HPC | 55% | +4% |
| Smartphone | 32% | +11% |
| IoT | 5% | +3% |
| Automotive | 5% | ▲1% |
| DCE | 1% | ▲22% |
FY25 プラットフォーム別
- HPC:+48% YoY、構成比 58%
- Smartphone:+11% YoY、構成比 29%
- IoT:+15% YoY、構成比 5%
- Automotive:+34% YoY、構成比 5%
- DCE:フラット、構成比 1%
✅ポジティブ
- **HPCが通期で+48%**と構造的な強さ(AI需要の反映)
⚠️ネガティブ
- DCEが4Qで▲22%QoQと急減(規模は小さいが方向性は悪い)
財務状態・キャッシュフロー
| 項目 | 4Q25 |
|---|---|
| 現金・有価証券 | TWD 3.1兆(USD 98B) |
| 流動負債 | +TWD 182B QoQ(未払費用等+95B、社債の流動化+61B) |
| 売掛金日数 | 26日(+1日) |
| 在庫日数 | 74日(横ばい) |
| 営業CF | TWD 726B |
| 設備投資(CapEx) | TWD 357B(※USD表記は本文混在あり) |
| 配当支払 | TWD 130B(1Q25現金配当) |
| フリーCF(4Q) | (営業CF-CapExの概算でプラス) |
| 期末現金残高 | TWD 2.8兆(+TWD 297B) |
FY25(通期)実績
| 指標 | FY25 | YoY | コメント |
|---|---|---|---|
| 売上高(US$) | “TWD 122 billion” | +35.9% | 表記混在のまま記載 |
| 売上高(NT$) | TWD 3.8兆 | +31.6% | |
| 粗利率 | 59.9% | +3.8pt | 稼働率・コスト改善、海外Fab希薄化&為替逆風が一部相殺 |
| 営業利益率 | 50.8% | +5.1pt | |
| EPS | TWD 66.25 | +46.4% | |
| ROE | 35.4% | +5.1pt | |
| 営業CF | TWD 2.3兆 | ー | |
| CapEx | TWD 1.3兆(USD 40.9B) | ー | |
| フリーCF | TWD 1兆 | +15.2% | |
| 配当総額 | TWD 467B | +28.6% | |
| 1株配当(年間) | TWD 18 | (前年差+4) | 2026年は少なくともTWD 23を示唆 |
✅ポジティブ
- 売上+35.9%(US$ベース)、**EPS+46.4%**の高成長
- FCF TWD 1兆、配当も増額基調
⚠️ネガティブ/リスク
- 粗利率の上振れ要因(稼働・為替・コスト改善)が、今後も同じ強さで続く保証はない
- 海外Fab希薄化とN2立上げ希薄化が2026年から強く出る(会社が具体的に数値提示)
1Q26 ガイダンス
| 指標 | ガイダンス | コメント |
|---|---|---|
| 売上高 | USD 34.6B~35.8B | 中央値でQoQ +4% / YoY +38% |
| 為替前提 | USD1= TWD31.6 | |
| 粗利率 | 63%~65% | 中央値64%(4Q比+170bp) |
| 営業利益率 | 54%~56% | |
| 実効税率 | 2026年 17%~18% | 2025年実績16% |
✅ポジティブ
- **1Qでも増収(QoQ+4%)**を想定し、粗利率もさらに改善見込み
⚠️注意点
- 税率上昇(16%→17~18%)は純利益の逆風
- 粗利率見通しは「コスト改善&稼働率」頼みが大きく、需要が崩れると下振れしやすい構造
2026年の主要メッセージ
利益ドライバー(2026年の“プラス要因”)
- 全体稼働率:緩やかに上昇見込み
- N3の粗利率が2026年中に全社平均を超える見込み
- 生産性向上でウェハーアウト増
- **クロスノード最適化(N7/N5/N3の柔軟運用、N5→N3転用含む)**で収益性支援
利益の“マイナス要因(希薄化)”=会社が明確に数値提示
- 海外Fab立上げ希薄化:
- 早期:粗利率▲2~3%
- 後期:**粗利率▲3~4%**へ拡大
- N2立上げ希薄化:
- 2026年後半から影響、通期で▲2~3%希薄化見込み
- 為替:コントロール不能
2026年CapEx(超重要)
| 項目 | 2026年 |
|---|---|
| CapEx総額 | USD 52B~56B |
| 配分:先端プロセス | 70%~80% |
| 配分:特殊プロセス | 約10% |
| 配分:先端パッケージ/テスト/マスク等 | 10%~20% |
| 減価償却 | 前年比ハイティーンズ%増(N2立上げが主因) |
長期収益性目標
- サイクルを通じた長期粗利率:56%以上が達成可能
- サイクルを通じたROE:高20%台
- 価格は「戦略的(opportunisticではない)」に“価値を取る”
CEO(C.C. Wei)による2026アウトルック要点
- 2025:AI需要が通年で強い/非AIは底打ち→緩やか回復
- Foundry 2.0業界成長:2025年 +16% YoY
- TSMC売上成長:**2025年 +35.9% YoY(US$)**で業界アウトパフォーム
- 2026:関税政策・部品価格上昇の不確実性(特に消費系、価格敏感セグメント)を警戒しつつも
- Foundry 2.0業界:2026年 +14% YoY予想(AIが支え)
- TSMC:**2026年 売上“US$で約+30%”**予想(再び業界超過)
AI関連の長期成長(最重要ガイダンス)
- 2025年:AIアクセラレータ売上が総売上の“high teens%”
- 2024~2029年(5年):AIアクセラレータ売上成長率を**“mid- to high 50s% CAGR”**へ引き上げ
- 2024起点5年:TSMC全社売上成長率を**“約25% CAGR”**へ引き上げ
グローバル製造(海外展開)アップデート(具体日程)
米国(アリゾナ)
- Fab1:4Q24にHVM(量産)入り、歩留まり/欠陥密度は「台湾とほぼ同等」
- Fab2:建屋完成、2026年に搬入・据付、HVMは2H27へ前倒し
- Fab3:建設開始
- Fab4+先端パッケージFab:許認可申請プロセス
- 近隣で第2の大規模用地を購入(AI需要の強さを示唆)
日本(熊本)
- Fab1:2024年後半に量産開始、歩留まり良好
- Fab2:建設開始(技術・立上げは顧客需要と市況次第)
欧州(ドレスデン)
- 特殊プロセスFab:計画どおり進行(立上げは需要・市況次第)
台湾
- 新竹・高雄でN2複数Fabを準備、先端+先端パッケージ投資を継続
N2 / A16の状況(技術・量産時期)
- N2:4Q25にHVM入り(新竹・高雄、歩留まり良好)
- 2026年:スマホ、HPC/AIで需要強く**“fast ramp”**見込み
- N2P:2H26に量産予定(N2の拡張)
- A16(SPR:Super Power Rail):2H26に量産予定(特定HPC向け)
質疑応答ハイライト
1) AI需要はバブルか?需要の“確度”の裏付け(JPMorgan:Gokul)
Q: AI需要にバブル懸念。CapExを大幅に積むが、顧客・顧客の顧客から何を確認した?サイクルはどれくらい続く?
A(CEO):
- 「自分も非常に nervous」だが、過去3~4か月で顧客と“エンド顧客(CSP/hyperscaler)”全員に直接確認
- 彼らは**AIがビジネスに効いている“証拠”**を提示し、財務も健全で“非常にリッチ”
- 具体例:AIがソーシャルメディアの事業成長に寄与
- TSMC自身もAIで生産性改善(1~2%の改善は“タダ”)
- サイクルが3~5年連続で良いかは「正直わからない」が、AIは「endless」に見える
- それでもTSMCは技術・製造・信頼の基本に立脚し、25% CAGR見通しを維持(従来保守的だったとも言及)
✅ポジティブ
- “顧客の顧客”までの需要検証を強調し、CapEx拡大の合理性を主張
⚠️ネガティブ
- 「サイクルが続くかは分からない」と明言=マクロ・需給の不確実性を否定できていない
2) 米国拡張(アリゾナ)と将来規模(JPMorgan:Gokul)
Q: Fab2前倒し、Fab4検討。米国で2nm能力の20~30%という過去発言の進捗と時期は?
A(CEO):
- アリゾナFabの歩留まり/欠陥密度は台湾とほぼ同等
- AI需要が強く、米国顧客が米国Fabからの供給を強く要請
- 台湾でも能力増強、米国でも許認可等を満たしつつ加速
- 「容量は非常にタイト」「今年・来年はギャップを狭めるため極めてハードに働く」
- 第2用地購入は将来のさらなる拡張の“ヒント”
✅ポジティブ
- 米国Fabの立上げ品質が台湾並みという強いメッセージ
⚠️ネガティブ
- 20~30%の“時期”は具体化せず、需要逼迫の言及が中心
3) AIインフラの制約(電力・設備)をどう評価?(Citi:Chia Yi/Laura)
Q: データセンターの電力供給など、AIインフラの制約をどう織り込む?
A(CEO):
- まず台湾の電力を心配(自社増産に必要)
- hyperscalerは電力計画を5~6年前から準備していると説明を受けた
- 「ボトルネックはTSMCのシリコン(供給)」と言われ、まずそこを解消してほしい、と
- ただしTSMCも、電力だけでなくタービン・原発等、ラック、冷却等のサプライチェーンまで確認しており「今のところ順調」
✅ポジティブ
- インフラ面の検証範囲が広い(電力・設備・冷却等)
⚠️ネガティブ
- “今のところ順調”は定性的。電力が世界的制約になるリスクを完全には排除できない
4) 先端パッケージの売上寄与と投資領域(Citi:Chia Yi/Laura → CFO)
Q: 先端パッケージ(バックエンド)の売上寄与は?投資は3DIC/SoIC/パネル等どこに重点?
A(CFO):
- 2025年の先端パッケージ売上寄与:約8%(10%近い)
- 2026年:10%をやや上回る見込み
- 今後5年:会社平均より速く成長見込み
- CapEx配分(先端パッケージ等含む)は**10~20%**と投資額増
- 投資領域は「顧客ニーズに応じて」で、挙げられた領域へ継続投資(詳細は深掘りせず)
✅ポジティブ
- 売上寄与が明確に拡大トレンド(8%→10%超)
⚠️ネガティブ
- 重点領域(3DIC/SoIC/パネル等)の優先順位や定量投資配分は開示せず=見通しの透明性は低い
5) 非AI(スマホ/PC等)の見通し、メモリ高の影響(Morgan Stanley:Charlie)
Q: メモリ価格上昇など部材高の中、PC/スマホ出荷の前提は?HPC内のネットワーク/汎用サーバは?
A(CEO):
- ネットワーク系はAIデータのスケールアウト/スケールアップに必要で「非常に強い成長」
- PC/スマホはメモリ高でユニット成長は最小限見込み
- ただしTSMCの顧客行動は変わらず。TSMCはハイエンドスマホ中心でメモリ価格に感応度が低く需要は強い
- 「ギャップを狭めるため非常に努力している」(供給逼迫を示唆)
✅ポジティブ
- “ハイエンド中心”で需要耐性を主張
⚠️ネガティブ
- ユニット成長は最小限=数量面の成長鈍化を明言
- 需要は強いと言いながら“供給ギャップ”連呼=供給制約で機会損失が続く可能性
6) Intel Foundry競争・米国政治的追い風への懸念(Morgan Stanley:Charlie)
Q: Intel Foundryが進展、米国大統領も称賛。NVIDIA/Appleの名前も。市場シェア喪失リスクは?
A(CEO):
- 結論「No」
- 先端技術は複雑で、設計~活用に2~3年、量産立上げにさらに1~2年かかる=時間が必要
- 競争相手は強力で進捗も侮らないが、TSMCは30年以上競争してきた、成長見通しに自信
✅ポジティブ
- 競争を軽視せず、時間軸の現実を提示
⚠️ネガティブ
- “時間がかかる”はリスクの先送りでもある。顧客が長期で分散を進めれば影響は遅れて顕在化しうる
7) 8インチ/成熟ノード撤退やパッケージ転用報道(Macquarie:Yu Jang Lai)
Q: 8インチ撤退・成熟ノードを先端パッケージへ転用の報道は本当か?理由は電力/ROI?
A(CEO):
- 6インチ/8インチ能力は削減した
- ただし顧客と議論し、資源をより柔軟に最適化するため
- 「顧客を見捨てない。良いビジネスなら8インチでも支える」と明言
✅ポジティブ
- 成熟ノードでも顧客コミットを明言し、信頼を維持
⚠️ネガティブ
- “削減は事実”=成熟ノード供給のタイト化リスク
- どの程度削減・どの程度転用かは不透明
8) メモリ逼迫・価格上昇は2027需要に悪影響か?(Macquarie:Yu Jang Lai)
Q: メモリ高で消費電子の需要軟化が2027にも及ぶのでは?顧客はどう対処?
A(CEO):
- 「TSMCへの影響はない」
- 顧客は高級スマホ/PCに注力しており部材高に鈍感
- 今年・来年のフォーキャストは健全
✅ポジティブ
- 影響なしと言い切り
⚠️ネガティブ
- “影響なし”は過度に断定的。消費需要が崩れた場合の二次影響(在庫調整等)への備えは語られず
9) 供給逼迫はいつ緩和?人材不足は?(Arete:Brett)
Q: 2026も供給制約。CapEx拡大で2027に需給は均衡へ? エンジニア不足の規模は?
A(CEO):
- 新工場は建設に2~3年。今年のCapEx増の寄与は今年ほぼゼロ、2027は少し、主に2028~2029向け
- 2026~2027は短期的に生産性改善でアウトプット増に集中
- 目的は利益ではなく「顧客を満足させ信頼を得ること」と強調
- ※人材不足の“規模”には具体回答なし(話題は生産性へ寄った)
✅ポジティブ
- 容量増強の時間e2Eタイムラインを明確化(2028~2029の供給増を示唆)
⚠️ネガティブ
- 2026~2027の供給制約が続く前提=機会損失が長期化
- 人材不足の定量・対策の具体性が乏しい
10) 価格(ASP)上昇は“新常態”か?(Arete:Brett → CFO)
Q: 2025まで2年連続でウェハASP+約20%(推計)。海外Fabコスト上昇もある中、20%上昇が新常態? 1Qガイダンスに値上げ織り込み?
A(CFO):
- 新ノードには価格があり、ブレンドASPは過去も上がってきたし今後も上がる
- ただし利益は6要因。価格効果は近年、装置・材料・労務等のインフレコストをカバーする程度
- 高稼働率、製造卓越性、生産性向上、クロスノード最適化(N5→N3転用等)が重要
- これらで持続的収益性を確保し投資を継続する
✅ポジティブ
- 値上げ頼みではなくオペレーションで稼ぐ姿勢を強調
⚠️ネガティブ
- “価格効果はインフレ相殺程度”なら、**海外Fabコスト増(構造的)**を価格だけで吸収できない可能性が残る
11) ノード寿命が長期化(4~5年でも高売上)=財務インプリケーション(UBS:Sunny)
Q: 新ノードが年4~5でも売上が高い。財務的含意と競争の変化は?
A(CEO):
- 半導体製品は低消費電力+高性能が必須、TSMCが両方提供
- “第1波、第2波、第3波”と顧客が継続参入し、ノード需要が長期化
- 継続的な改良(N2→N2P→…)で顧客の競争力を支える
✅ポジティブ
- ノードの“長寿命化”が需要の厚みを作るという説明
⚠️ネガティブ
- 長寿命化は同時に減価償却・CapEx負担の長期化も招くが、その負担の定量は語られず
12) N2の2026売上寄与は? なぜスマホ/PCがN2へ移行加速?(UBS:Sunny)
Q: 2026年のN2売上比率は? さらに、なぜN2への移行が再加速?
A(CFO):
- N2は開始時点から3nmより大きいノードになる(売上ドルベース)
- ただし会社規模が大きくなり、売上“比率”で語るのは意味が薄い
A(CEO): - 低消費電力+高性能の価値
- “コスト/トランジスタは上がっても、性能対価値(CP value)は改善している”
- 課題は需要と供給ギャップで、ギャップ縮小に注力
13) AI成長(トークン/電力=GW)前提は?(Goldman:Zheng/Bruce)
Q: 5年でAI売上CAGR mid-high50%の前提として、トークン成長やGW換算の供給可能量は?
A(CEO):
- トークン成長は自分も追い切れない
- 顧客製品はHopper→Blackwell→Rubinで性能が倍・三倍級に伸び、計算能力は莫大
- 現時点のボトルネックは電力ではなくTSMCのウェハ供給
- 米国の電力供給はまだ豊富との認識
⚠️ネガティブ(重要)
- AI成長前提をトークン/GWで定量化できていない=投資判断の説明としては弱い
- “ボトルネックはウェハ”と言うが、どこまで・いつ解消できるかは別問題(2028~2029が中心)
14) 次の3年で“0B CapEx”はあり得る?(Goldman:Zheng/Bruce → CFO)
Q: 2021年に3年$100Bを掲げた。需要はさらに強い。次の3年で$200Bも可能では?
A(CFO):
- C.C.の意図は、26~27は生産性、投資の成果は28~29に出るということ
- 過去3年CapExは**$101B**、次の3年は「significantly higher」だが数値は非開示
✅ポジティブ
- “次の3年は大きく増える”方向性は明確
⚠️ネガティブ
- 具体額を出さず、投資家の最大関心(CapExの天井感)には答えていない
総括(最大限に厳しい視点・妥協なし)
✅ポジティブ材料
- 業績は文句なしに強い:4Q粗利率62.3%、営業利益率54%、FY25 EPS+46.4%、売上+35.9%(US$)と、数字は圧倒的。
- ガイダンスも強い:1Q26で増収・粗利率さらに改善を提示。
- AIの“需要検証”を強調:CSPに直接当たり、投資の正当性を主張。
- N2が4Q25にHVM入り、N2P/A16も2H26量産予定で、技術ロードマップは前進。
⚠️ネガティブ材料
- “供給制約の長期化”を自ら認めている
- CapEx拡大の効果は主に2028~2029。
- つまり2026~2027は供給制約が続く前提であり、短期は生産性改善頼み。
- ここが最悪の落とし穴:需要が強い時に供給できない=取りこぼしか、あるいは顧客が代替供給源を育てる動機になる。
- 粗利率に“確定的な希薄化”要因が複数、しかも数値が大きい
- 海外Fab:早期▲2~3%、後期▲3~4%
- N2立上げ:2026通期▲2~3%
- これらは合算すると粗利率に対してかなりの重し。
- 会社は「コスト改善・稼働率・最適化」で相殺できると主張するが、これは実行リスクの塊。特に景気後退やAI投資減速が起きれば、稼働率が崩れた瞬間に論理が破綻する。
- AI成長の“前提の定量性”が弱い(説明責任の欠落)
- トークン/GWの質問に対しCEOが「追い切れない」と回答。
- “顧客が強いと言っている”は事実でも、供給能力・需要見通しの整合(物理制約)を数式で示せていない。
- 巨額CapEx($52~56B/年)を正当化する説明としては、投資家目線では不十分。
- 人材不足の論点を“回避”した形
- エンジニア不足の規模や打ち手の定量が出ていない。
- グローバル拡張の最大のボトルネックは、往々にして装置でも資金でもなく人と立上げ能力。ここを曖昧にしたのは不安要素。
- 競争(Intel Foundry等)を“時間がかかる”で片付けている
- 確かに時間はかかるが、顧客は2~3年先を見て動く。
- 供給制約が続くほど、顧客がマルチソース化を進める合理性は増す。
- CEOの「No」は自信表明としては良いが、構造的リスクへの備えの説明が足りない。
株価への示唆
✅上方向(ポジティブ)に効きやすい材料
- FY25の圧倒的決算+1Q26強いガイダンス
- 2026年“US$で約+30%”という強気な通期見通し
- AIアクセラレータCAGR(mid-high50%)引き上げ、全社25%CAGR見通し
- N2が既にHVM入り、N2P/A16も年内量産計画
- アリゾナFabの品質が台湾並みというメッセージ
⚠️下方向(ネガティブ)に効きやすい材料
- 供給制約が2027まで続くニュアンス(取りこぼし・顧客分散の誘因)
- 海外Fab+N2立上げの粗利率希薄化が“数%単位”で確定的
- AI需要の定量前提が弱く、CapExの上振れ余地(次の3年“significantly higher”)が利益率/FCFを圧迫し得る
- 税率上昇(16%→17~18%)は地味だが確実な逆風

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