台湾セミコンダクター(ティッカー:$TSM)の2024年度第3四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $1.94 | $1.79 | 〇 |
売上高 | $23.5B (YoY +36%) | $23.3B | 〇 |
ガイダンス 2024Q3売上高 | $26.50B ($26.1B~$26.9B) | $24.94B | 〇 |
業績ハイライト
2024年第3四半期の財務実績
- 売上高は前四半期比12.8%増
- 粗利益率は前四半期比4.6ポイント増の57.8%
- EPSは12.54台湾ドル、ROEは33.4%
技術別売上高構成比
- 3nm:20%
- 5nm:32%
- 7nm:17%
- 先端技術(7nm以下)合計:69%
プラットフォーム別売上高構成比
- HPC:51%(前期比11%増)
- スマートフォン:34%(前期比16%増)
- IoT:7%(前期比35%増)
- 自動車:5%(前期比6%増)
2024年第4四半期見通し
- 売上高:261億~269億ドル(前期比13%増、前年同期比35%増の見込み)
- 粗利益率:57~59%
- 営業利益率:46.5~48.5%
2024年設備投資計画
- 300億ドルをやや上回る見込み
- 70~80%を先端プロセス技術に配分
- 10~20%を特殊技術に配分
- 10%を先端パッケージング、テスト、マスク製造等に配分
質疑応答ハイライト
AI需要の持続可能性について
- AI需要は実需であり、始まったばかりと認識
- TSMCは自社の生産性向上にAIを活用し、tangibleなROIを実現
- 多くの企業がAIを活用して生産性や効率を向上させていると考える
- サーバーAIプロセッサの売上は2024年に3倍以上に増加し、総売上の10%台半ばを占める見込み
長期的な成長見通しについて
- 2021年から2026年までの長期売上高成長率CAGRは15~20%を維持
- 2026年以降の具体的な長期CAGR目標は現時点で提示できないが、健全な成長を継続する見込み
- AI関連需要の強さにより、従来以上の成長が期待される
2nmプロセスと先端パッケージングについて
- チップレット化により2nmの需要が減少することはなく、むしろ3nmよりも多くの需要が見込まれる
- A16(2nmの次世代プロセス)もAIサーバーチップ向けに非常に魅力的で需要が高い
- 2nmとA16の両方で多くの能力を準備中
海外ファブの収益性について
- 海外ファブは台湾のファブよりも収益性が低い見込み
- 主な理由は小規模生産と初期立ち上げコストの高さ
- 今後数年間で毎年2~3ポイントの利益率希薄化が予想される
- 収益性は徐々に改善するが、新しいフェーズの立ち上げにより希薄化が継続
先端パッケージングの成長見通しについて
- 今後5年間は企業平均を上回る成長率を見込む
- 現在は売上高の1桁台後半を占める
- 収益性は改善傾向にあるが、まだ全社平均には届いていない
電力供給の課題と対策について
- 台湾政府と緊密に連携し、電力、水、土地の確保に取り組んでいる
- 政府からTSMCの成長を支援する保証を得ている
- 具体的な電力調達方法(原子力発電所や再生可能エネルギーなど)は未定だが、十分な電力供給を受けられる見込み
Foundry 2.0モデルの実装状況について
- 先端プロセスノードと先端パッケージングが強い成長を示している
- 成熟ノードと従来型パッケージングの成長は相対的に低い
CoWoS(チップレット)生産能力の拡大計画について
- 顧客需要が供給能力を大きく上回っている状況
- 2024年は前年比2倍以上の生産能力を計画
- 2025年もさらに2倍程度の拡大を目指すが、需要に追いつかない見込み
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