ブロック(ティッカー:$SQ)の2024年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $0.85 | $0.72 | 〇 |
売上高 | $5.96B (YoY +19%) | $5.82B | 〇 |
業績ハイライト
2024年第1四半期の業績
- 総利益は前年同期比22%増の20億9,000万ドル
- 調整後EBITDAは前年同期比ほぼ2倍の7億500万ドル
- 調整後営業利益は前年同期比7倍の3億6,400万ドル
- Cash Appの総利益は前年同期比25%増の12億6,000万ドル
- Squareの総利益は前年同期比19%増の8億2,000万ドル
2024年通期の見通し
- 総利益見通しを87億8,000万ドル以上に上方修正(前年比17%増)
- Cash Appの総利益成長率は第1四半期の25%から若干減速する見込み
- Squareの総利益成長率は第1四半期の19%から減速する見込み
- 調整後営業利益見通しを13億ドル以上に上方修正(総利益の15%のマージン)
- 総利益成長率と調整後営業利益率の合計であるRule of 40は32を見込む(2023年実績および従来見通しの29から上昇)
戦略的取り組み
- Cash Appでは、Afterpayとの統合を進め、Cash App CardでのBuy Now Pay Later機能のテストと展開を行う
- Squareでは、注文管理システムの移行を今夏に完了し、年内にシングルアプリへ移行する
- これらの取り組みは順調に進捗しており、2025年以降の成長に寄与すると期待
質疑応答ハイライト
製品開発の速度と方向性について
- エンジニアリングとデザインの強化、優先事項への集中により製品開発速度を向上
- Squareでは信頼性向上、ローカル・飲食店への注力、シングルアプリ化、オンボーディングの簡素化などに取り組む
- 新製品の開発も行うが、競合他社と同等の機能を提供することも重要
- AfterPayのCash Card統合など、既存の機能を多くのユーザーに提供することで新規顧客の獲得にもつながる
Cash Appの給与直接入金について
- 給与直接入金の獲得は、Cash Appのトップ戦略
- 3月の給与直接入金アクティブユーザー数は前四半期比で増加、給与の入金額は全体の入金額よりも高い伸び
- 製品面では、銀行以上の魅力的なサービス提供を優先。請求書払い、ウェブ版の提供など、ユーザーニーズに応える機能を拡充
- マーケティング面では、アプリ内でのサービスのパッケージ化、インセンティブ施策などによる給与直接入金への誘導を図る
- Cash App CardやCash App Borrowのように、数年かけてスケールさせていく方針
EBITDAの改善と効率化について
- 第1四半期は過去最高の収益性。調整後営業利益は前年同期比7倍の3億6,400万ドル、調整後EBITDAは前年同期比2倍近くの7億500万ドル
- 要因は、SquareとCash Appの高い成長に加え、①1.2万人の人員キャップ、②経費管理の徹底、③構造コストの改善
- 通期の収益性見通しを上方修正。効率化を進める一方、下期には将来の成長に向けたセールス&マーケティング投資も予定
2024年通期の総利益成長率見通しについて
- 2024年通期の総利益成長率見通しを17%(87億8,000万ドル以上)に上方修正
- 第1四半期の上振れ(主にCash App)と、通期の見通し改善を反映
- Cash Appは第2四半期以降、構造コストの改善や価格改定の反動で第1四半期(25%)から若干減速する見込み
- Squareは第1四半期(19%)から減速する見込み。下期にかけてGPV成長率は安定~改善の見通し
- 主要な成長戦略は2024年よりも2025年以降の成長に寄与する見込み
AfterPayのCash App Cardとの統合について
- Cash App Cardの2,400万人の月間アクティブユーザーにAfterPayを提供できる大きな機会
- 他のレンディング商品と同様、少額からスタートし信用状況に応じて拡大していく方針
- すでにテストを開始しており、今後数カ月でスケールしていく予定
- Cash App Pay経由の取引高も直近3四半期で四半期100万人ずつ増加。AfterPayの加盟店ネットワークのおかげ
Squareのソフトウェア・金融サービス事業の伸びについて
- 第1四半期のSquare金融サービスの総利益は前年同期比36%増。GPV成長率との差を生んだ主因
- Square Loansの融資額は前年同期比17%増の13.2億ドル。Instant Transferも価格改定の反動が一巡
- 日本でのローン提供開始(1月)は期初の想定を大きく上回る好調なスタート
- 国際市場の総利益は前年同期比38%増。依然、米国以外でのシェアは1%未満で大きな成長余地あり
- 小売、飲食、予約などの主要業種向けソフトウェアの総利益は前年同期比24%増
AfterPayの業績改善の要因について
- 取扱高は第4四半期と同水準の前年同期比25%増。総利益は32%増と第4四半期から伸び率が加速
- 単一利用型の後払いとギフトカード事業が成長をけん引
- 単一利用型後払いはAfterPayアプリ経由でAfterPayと提携していない幅広い加盟店でも利用可能。パーソナライズされたレコメンドと柔軟な支払い方法の提供でエンゲージユーザーにアプローチ
- ギフトカードはAfterPay経由で大手小売業者のオンラインギフトカードを購入し、4回の分割払いが可能
- AfterPayの法人営業チームによる加盟店開拓が順調に進展
- 単一利用型後払いやギフトカードは従来のBNPLより収益性が高いことも総利益率の改善に寄与
- AfterPayチームがCash AppやCash App Payとのシナジー創出に注力。戦略をリセットし、組織体制も整備された
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