決算:SMCI 2026Q2

決算

スーパーマイクロコンピューター(ティッカー:$SMCI)の2026年度第2四半期決算についてまとめます

finviz dynamic chart for SMCI

決算概要

アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。

結果予想判定
EPS$0.69$0.49
売上高$12.7B
(YoY +122.8%)
$10.34B
ガイダンス
2026Q3売上高
$12.3B$10.2B
ガイダンス
通年売上高
$40.0B$36.27B

業績ハイライト

1) 連結業績

✅ ポジティブ:売上はガイダンスを大幅超過、EPSも上振れ
⚠️ ネガティブ:粗利率が大きく低下、顧客集中が極めて高い

指標Q2 FY26 実績前四半期(Q1 FY26)前年同期比 / 前四半期比会社ガイダンス(Q2)
売上高$12.7B(言及あり:QoQ +153%)YoY +123% / QoQ +153%$10.0B~$11.0B
売上内訳:遅延出荷分約$1.5B
非GAAP 粗利率6.4%9.5%QoQ -310bp
非GAAP 営業費用(額)$241MQoQ +18% / YoY +6%
非GAAP 営業費用率1.9%4.1%QoQ 改善
非GAAP 営業利益率4.5%5.4%QoQ -90bp
GAAP EPS(希薄化後)$0.60$0.37~$0.45
非GAAP EPS(希薄化後)$0.69$0.46~$0.54
その他損益(純額)+ $26M
税率(GAAP / 非GAAP)19.8% / 20.6%
営業CF– $24M-$918M大幅改善
CapEx$21M
フリーCF– $45M

経営陣の説明(粗利率低下要因)

  • 顧客・製品ミックス(大規模“モデルビルダー”比率上昇で価格交渉力→粗利圧迫)
  • 新プラットフォームの大規模出荷開始に伴う生産/立上げコスト
  • 輸送・エクスペダイト費用増(成熟化で今後低減見込み)
  • 部品不足・価格変動、関税影響

2) セグメント/顧客/地域の集中度

セグメント

セグメントQ2 FY26 売上構成比前四半期 構成比YoY / QoQ
Enterprise Channel$2.0B16%31%YoY +42% / QoQ +29%
OEM/Appliance & Large Data Center$10.7B84%68%YoY +151% / QoQ +210%

顧客集中

  • 大手データセンター顧客1社で売上の約63%(Q2)

地域

地域Q2 FY26 構成比YoYQoQ
米国86%+184%+496%
アジア9%+53%-49%
欧州3%-63%-51%
その他2%+77%+53%

3) AI構成・成長ドライバー

✅ ポジティブ:成長の中心はAIラックスケール、需要は「前例ないほど強い」と強調

  • AI GPUプラットフォームがQ2売上の90%超
  • 成長ドライバー:Rack Scale AIソリューションの急速なランプとデプロイ

4) DCBBS(Data Center Building Block Solution)の位置づけ

✅ ポジティブ:時間価値(TTD/TTO)と総所有コスト最適化で差別化、利益率が高い
⚠️ 注意:売上規模はまだ小さい(会社も明言)

  • FY26上期(直近6か月)で DCBBSが利益の4%を占めた(売上寄与は「小さい」と明言、具体値は非開示)
  • 2026年末(暦年)までに利益寄与が“少なくとも2桁”へ加速見込み
  • 構成要素(約1年で10以上に拡大):CDU、熱交換器、チルドドア、パワーシェルフ、バッテリーバックアップ、水塔/ドライタワー、高速スイッチ、DC管理ソフト/サービス等
  • 追加予定:変圧器、次世代発電機、エネルギーバックアップ/系統代替関連デバイス等

DCBBSのマージン(経営陣コメント)

  • 粗利・純利ともに大幅に高い」「20%超」と説明(※文脈上はDCBBSのマージン水準を指す趣旨)

5) コスト/資本政策・財務体質

✅ ポジティブ:運転資本の回転は改善(CCC大幅短縮)
⚠️ ネガティブ:在庫急増、ネットデット、増資(借入)依存の拡大

  • 期末現金:$4.1B
  • 有利子負債(銀行借入+転換社債):$4.9Bネットデット $787M(前四半期 $579M から悪化)
  • 在庫:$10.6B(Q1の$5.7Bから急増)—「Q3出荷強含みに備える」
  • CCC:123日 → 54日へ大幅改善
    • 在庫日数:105日 → 63日
    • DSO:43日 → 49日
    • DPO:26日 → 58日

資金調達(成長資金)

  • 米国:$2.0Bの担保付きリボルビング(CFベース)
  • 台湾:約$1.8Bの担保付きリボルビング(1月クローズ)
  • 売掛金ファクタリング:Q2中は未使用、その後は使用開始
  • 追加で5B超の資金アクセスがあると説明

6) ガイダンス

✅ ポジティブ:売上ガイダンスを上方(“最低”表現)
⚠️ ネガティブ:通期$40Bは保守的と言うが、供給制約・コスト上昇が前提に入っている

Q3 FY26(会社見通し)

指標ガイダンス
売上高少なくとも $12.3B
GAAP EPS(希薄化後)少なくとも $0.52
非GAAP EPS(希薄化後)少なくとも $0.60
粗利率Q2比 +30bp(= 6.4% → 約6.7%方向)
GAAP Opex約**$354M**(うちSBC $74M
その他損益約 -$22M(純費用)
税率GAAP 19.6% / 非GAAP 20.2%
希薄化株式数GAAP 684M / 非GAAP 699M
CapEx$70M~$90M

FY26通期(会社見通し)

  • 売上高:少なくとも $40B(Charles:保守的。供給逼迫・価格上昇を織り込み)

質疑応答ハイライト

1) 粗利率の底打ちと改善確度(Loop Capital:Baruah)

Q:前回「12月期が粗利率の低水準」と言っていたが、今後は改善するか?顧客ミックス悪化は続く?
A(Charles)

  • 顧客ミックスは「四半期ごとに改善
  • GP300が新しく、エクスペダイト輸送費が大きかったが、成熟化で「劇的に減る
  • 関税影響も改善、DCBBS増加もプラス
  • 粗利率は四半期ごとに改善」見通し

Q(追加):Opex比率が過去にない水準(<2%)。構造的なOpexレバレッジ局面か?
A(Charles)

  • 規模の経済でコスト改善 → 粗利・営業利益率改善
  • DCBBSでサービス/ソフト/インフラサービスも伸び、利益に寄与

2) 通期Bの保守性(JPMorgan代行)

Q:$40Bから逆算すると4Q減速が示唆される。保守的に置いただけか、実際に減速兆候か?
A(Charles)

  • 最低$40Bは保守的
  • DCBBSが顧客獲得を加速、成長は続くという見立て

Q(追加):DCBBSは利益の4%と言うが、売上寄与は?2桁利益寄与は粗利率にどう効く?
A(Charles)

  • 売上は「まだ小さい」が、利益率が高いため利益の4%に寄与
  • 今後急拡大、利益はDCBBSで伸びると説明(数値は非開示)

3) 供給制約と地理別のDCBBS展開(Citi:Merchant)

Q:$40Bは供給制約で抑えられているのか?供給が潤沢なら上振れ余地は?
A(Charles)

  • 部品価格上昇も織り込み保守的に$40B
  • 供給逼迫が改善すれば「$40B超もあり得る」という含意

Q(追加):地域別売上の落ち込みもある中、DCBBSの地域展開は?
A(Charles)

  • DCBBSは「世界中で需要
  • 計算/ストレージ/スイッチ/冷却/バッテリー/エネルギーまで含む“ワンストップ”として評価、支援体制を拡充

4) DCBBS投資・製品拡張(Goldman:Murphy)

Q:DCBBSの浸透に必要な投資とGo-to-marketは?
A(Charles)

  • 開発開始は約12か月前、継続投資済み
  • 現在約10アイテム、今後数か月~数四半期で3~5アイテム追加
  • モジュール化で構築・運用・保守・スケールが容易に

Q(追加):DCBBSのマージンは従来(大規模クラウド/GPUaaS)と比べて?
A(Charles)

  • **「20%超」**で「はるかに高い」と明言(ユニークで先行者、プリデザイン/プリバリデート/最適化が理由)

5) 粗利率悪化要因の“定量化”要求(BofA:Bhattacharya)

Q:輸送、部材コスト、不足、顧客サポート投資などの粗利影響を定量化できるか?Q3に織り込む影響は?
A(David)

  • 内訳は開示しない
  • ただし各項目でコスト上昇はあった、過去1年で新技術の量産準備で増加

Q(追加):不足している部材はどこ?コスト増は需要を壊しているか?DCBBSの顧客像は?
A(Charles)

  • 不足は「需要が強すぎることが原因」(供給能力低下ではない)→むしろ良い兆候
  • コスト影響はあるが「致命的にはならない」というニュアンス
  • DCBBSは規模を問わずデータセンター構築者全員が対象、ワンストップでTTD/TTO改善が価値

6) “NVIDIA参照設計より早い”差別化は続くか(Northland:Chokshi)

Q:DLCやドライ冷却塔など、参照設計より先行した。今後も1世代早く投入し続けるブランド戦略か?
A(Charles)

  • NVIDIAと密接に連携しつつ、強いエンジニアリングで
  • 今後も「6か月早くが難しくても3~4か月先行」は可能、顧客のTTO短縮に大きい

Q(追加):10%超顧客が上振れ要因か?次四半期も続く?Datavault契約の進捗は?
A(Charles)

  • 基盤強化で新規/既存とも拡大、売上は急成長しており「10%超かは予測困難」
  • Datavaultについて明確な進捗回答は実質なし(一般論に留まる)

7) 顧客集中の今後(Needham:Bolton)

Q:Q2は顧客1社で63%。下期は分散するか、それとも継続か?
A(Charles)

  • 顧客の前倒し/後倒しで予測は難しい
  • ただ「大口顧客が増えて分散が進む」という方向性
  • DCBBSやソフトが価値を押し上げる

Q(フォロー確認):見通しでは今後数四半期で分散進む?
A(Charles):Yes(ただし成長資金の確保があればさらに伸ばせる、という資金調達志向も示唆)

Q(追加):Vera Rubin(NVIDIA)/Helios(AMD)の受注状況は?
A(Charles)

  • 強い関心、一部コミットメントあり
  • ただし供給パートナー側の準備次第、可能になり次第迅速に出荷

8) 顧客ミックス(大口 vs 中小)と価格圧力(CJS:Tanwanteng)

Q:将来は小口比率が上がるか?大口は価格交渉力が強い。
A(Charles)

  • 企業(エンタープライズ)を積極拡大し分散を重要方針
  • 大口と多数のエンタープライズの両方を狙う

Q(追加):Vera Rubin/800Vデータセンター化で差別化余地は?
A(Charles)

  • 参照設計をベースに、DCBBSで最適化(構築速度、信頼性、管理容易性、コスト/エネルギー)
  • ただし詳細は「時期尚早」で踏み込まず

9) 急増した売上の背景と長期粗利レンジ(Bernstein:Newman)

Q:売上急増は“注文の追いつき”か、“価格攻勢でシェア奪取”か?長期粗利は低水準が定着?以前の高シングル~低ダブルに戻る?
A(Charles)

  • 大口拡大とエンタープライズ拡大を両睨み
  • 粗利率・純利率をできるだけ早期に2桁へ持っていきたい(目標発言)
    A(David)
  • 最新技術を最速で提供する“プレミア”としての地位が広がり、顧客基盤拡大がマージンに繋がるという論旨

10) 資金繰り・その他損益の上振れ・ファクタリング(KeyCorp:Nispel)

Q:成長に向けた運転資本の考え方は?その他損益がガイドより+$50M程度上振れた要因は?
A(David)

  • 上振れは現金増による利息収入増
  • ただし大量PO(言及:$13B超の発注残の存在)対応で売掛/在庫が増え、資金需要が大きい
  • $2B + $1.8Bのリボルバ、売掛ファクタリング等で**> $5Bの追加資金アクセス**

Q(追加):ファクタリング/証券化は今四半期使った?63%顧客は以前の10%顧客か?
A(David)

  • Q2(12月期)では未使用、その後使用
  • 顧客は繰り返し取引が多い、としか言えず詳細は10-K/10-Q参照
  • 併せて希薄化株式数の訂正:
    • GAAP希薄化株式数 663M → 694M
    • 非GAAP 677M → 709M

総括

結論:売上成長は異常に強いが、収益の質とリスク構造は“非常に危うい”。数字の派手さに騙される局面ではない。

✅ ポジティブ材料

  • 売上$12.7B(YoY+123%)、ガイダンスを大幅超過。需要が強いこと自体は事実。
  • **Opex比率1.9%**まで低下し、規模拡大によるレバレッジが出ている。
  • DCBBSは「利益率>20%」と明言され、うまく伸びれば利益率改善の“数少ない”道筋になり得る。
  • 供給不足の原因を「需要急増」と説明しており、市況の追い風は継続している可能性。

⚠️ ネガティブ材料

  1. 粗利率6.4%は危険水域
  • AIサーバーで売上が爆増しても、粗利がここまで薄いのは「価格交渉力が顧客側にある」ことの裏返し。
  • “輸送費・立上げ・関税”は改善すると言うが、根本は顧客ミックス(大口の値決め)。この構造が続くなら、改善は限定的になり得る。
  1. 顧客集中(1社63%)は異常
  • 1社の調達タイミング、検収、資本政策、在庫方針次第で業績がブレる。
  • 経営陣は「分散する」と言うが、具体的な“いつ/どの程度”の定量がない。投資家はここを最も警戒すべき。
  1. 在庫$10.6Bの急増は“賭け”
  • 「Q3強いから積んだ」という説明だが、需要や顧客のスケジュールが動けば在庫評価・値引き・キャッシュ悪化に直結。
  • 実際、営業CFはまだマイナス(- $24M)。改善したとはいえ、規模に対してキャッシュ創出が弱い。
  1. 成長資金は借入でつないでいる
  • 現金$4.1Bに対し負債$4.9Bでネットデット。
  • リボルバ・ファクタリングで資金アクセスは増えたが、これは裏を返せば運転資本が膨張し続ける前提。需要が少しでも鈍ればレバレッジが効いて悪化する。
  1. DCBBSの“夢”はまだ数字が薄い
  • 利益4%寄与は良いが、「売上は小さい」と明言。
  • “2026年末に利益2桁寄与”も、結局は採用速度・供給能力・競合追随次第。現時点では検証可能な開示が不足

株価

  • 短期:ガイダンス上振れ(Q3売上最低$12.3B、通期最低$40B)と需要の強さが材料になりやすい。一方で粗利率の低さが重し。
  • 中期:焦点は「粗利率が本当に戻るのか」「顧客集中が解けるのか」「在庫と資金繰りが破綻しないか」。この3点のどれかが崩れると下落圧力が一気に強まる。
  • 会社は“2桁マージン”を口にしたが、現状(粗利6.4%)とのギャップが大きすぎ、言葉だけで織り込むのは危険

コメント

Ads Blocker Image Powered by Code Help Pro

広告ブロックを検出しました

ブラウザの拡張機能を使用して広告をブロックしていることが検出されました。 ブラウザの広告ブロッカー等の機能を無効にするか、kgs-invest.comドメインをホワイトリストに追加し、「更新」をクリックしてください。
タイトルとURLをコピーしました