ショッピファイ(ティッカー:$SHOP)の2025年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $0.25 | $0.26 | × |
売上高 | $2.36B (YoY +27%) | $2.33B | 〇 |
業績ハイライト
売上・GMV・利益
指標 | 数値 | 前年同期比 |
---|---|---|
売上高 | 不明(テキスト中に明記なし) | +27% |
GMV(流通総額) | 748億ドル | +23% |
フリーキャッシュフローマージン | 15% | 変化なし(前年同期比で継続的に二桁維持) |
オフラインGMV | +23% | |
B2B GMV | +109% | 3桁成長継続 |
国際GMV | +31% | |
欧州GMV | +36% | 8四半期連続で30%以上成長 |
ショップペイGMV | 220億ドル超 | +57% |
ShopアプリのネイティブGMV | +94% | 前四半期(+84%)から加速 |
MRR(定常収益) | +21% | Plusプラン比率:34% |
経営陣コメントの要旨
- Harley Finkelstein(社長):
- Shopifyは不確実な環境においても俊敏に対応できるビジネスモデル。
- 過去39四半期中38のマーチャントコホートが市場をアウトパフォーム。
- 中小企業にとってShopifyは他にない成長と回復力を提供。
- 国際展開、クロスボーダー取引、B2B、AIの活用で持続的成長を推進。
- Jeff Hoffmeister(CFO):
- GMV成長は既存マーチャントの同店売上増、新規マーチャント獲得、欧州の強さ、オフライン事業の拡大が要因。
- 米国eコマース市場の2倍以上の成長を過去5四半期継続。
- 商業の多様性と地域分散により、関税等の不確実性の影響は限定的。
製品・機能アップデート
- クロスボーダー関連:
- managed markets機能を強化。
- 関税計算機能を全マーチャントに解放(コストは0.5%)。利用数は1月から3月で2倍に。
- 関税込み価格設定機能を5月に導入。
- tariffguide.aiをリリース(AIで関税率を国・商品説明から算出)。
- 決済と通貨対応:
- Shopify Paymentsの導入国を23→39カ国へ拡大(16カ国追加)。
- 欧州20カ国で多通貨ペイアウトに対応。
- AI活用:
- 社内AI文化を促進。Sidekickの利用者は2025年初から倍増。
- Sidekickはすべての対応言語で利用可能に。
- Vantage Discovery社を買収し、検索機能のAI化を強化。
- 新規マーチャント導入事例:
- 大手ブランド(VF Corp:Dickies, JanSport、Coach, Kate Spade など)がShopifyを採用。
- Grand Seiko、FAO Schwartz、Toys”R”Usなど多様な業界から導入。
- Follett Higher Education Group(1,000超の大学書店)も導入。
質疑応答ハイライト
質問:関税の影響とマーチャントの調達元
Q(Jefferies):マーチャントの仕入れ先や関税影響をどの程度可視化・反映しているか? A(Harley & Jeff):影響はマーチャントにより異なるが、全体としてGMVにはまだ目立った影響なし。米国顧客の50%以上は年収10万ドル以上で、価格弾力性も低く、影響を受けにくい。
質問:中国マーチャントの動向
Q(ATB):5月以降、中国マーチャントの動向に変化は? A(Jeff):4月・5月もGMVは堅調。詳細はまだ不透明だが、現時点で明確なネガティブ影響は見られない。
質問:新規マーチャント獲得の動向(SMBとエンタープライズ)
Q(Autonomous):不確実性の中でインフラ切替を避ける動きもあるのでは? A(Harley):むしろレガシープラットフォームの限界により、大企業の移行が加速。柔軟性とTCOの低さが評価されている。パイプラインは堅調。
質問:AI活用と費用への影響
Q(Deutsche Bank):AIによる効率化は経費にどう影響しているか? A(Harley & Jeff):AIは社内文化の中核。情報アクセスと生産性が飛躍的に向上。費用効率は維持しつつ、成長投資は継続。CACやLTVの変化に即応可能。
質問:検索エンジンとDTCトラフィックの変化
Q(MoffettNathanson):AI検索などにより、DTCトラフィックは変化しているか? A(Harley):AI検索は大きな機会。OpenAIやPerplexityとの連携も進めており、今後も消費者の新たな購買接点に対応していく。
質問:粗利益率のトレンド
Q(Morgan Stanley):粗利益率への影響要因(特にPayPal)と今後の見通しは? A(Jeff):Merchant Solutions(特にPayments)は低粗利だが成長中。他の高収益商品(Tax, Capital等)でバランスを図る。PayPalの影響は一時的。長期的には安定化へ。
質問:Shopify POSの差別化と販売戦略
Q(UBS):POSの競争優位性と販売チャネルは? A(Harley):複数拠点・大規模展開に対応可能な機能拡充。SIsとも連携。POS単体ではなく、オンラインと統合された「ユニファイドコマース」が最大の強み。
質問:AIエージェントとShop Payの将来
Q(Redburn Atlantic):AIエージェントによる自動購入がShop Payの役割を変える可能性は? A(Harley):むしろ機会と捉えている。新しいチャネルが増えることでShopifyの価値が増し、商品が発見されやすくなる。
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