SAP SE(ティッカー:$SAP)の2025年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | €1.44 | €1.60 | × |
売上高 | €9.01B (YoY +12.1%) | €9.28B | × |
業績ハイライト
売上・利益・マージンの概要
指標 | 数値(前年同期比) | 備考 |
---|---|---|
総売上高 | €9.0B(+11%) | |
クラウド売上高 | €4.96B(+26%) | ほぼ€5Bに到達 |
現在のクラウドバックログ | €18.2B(+29%) | 契約ベースで今後12か月以内に収益化見込み |
クラウドERPスイート売上高 | 前年比+33% | クラウド売上の85%を占める |
ソフトウェアライセンス売上高 | 前年比▲10% | 減少幅は想定より小さいが、季節要因に注意 |
営業利益(非IFRS) | €2.5B(+58%) | ガイダンス(+26〜30%)を大幅に超過 🟢 |
営業キャッシュフロー | €3.8B(+31%) | |
フリーキャッシュフロー | €3.6B(+36%) | |
一株当たり利益(非IFRS) | €1.44 | |
クラウド粗利率(非IFRS) | 75%(+2.6pt) | 高水準を維持 🟢 |
地域別業績
- APJ・EMEA地域で特にクラウド売上が堅調。
- アメリカ地域でも堅調。
- 顕著な成長を示した国:🇧🇷ブラジル、🇨🇱チリ、🇩🇪ドイツ、🇮🇳インド、🇮🇹イタリア、🇰🇷韓国、🇪🇸スペイン
- 特に強い:🇨🇦カナダ、🇨🇳中国、🇫🇷フランス、🇯🇵日本、🇸🇬シンガポール、🇺🇸米国
ガイダンスと見通し
- 2025年度通期ガイダンスを据え置き。
- マクロ経済不確実性(貿易摩擦、地政学リスク)は引き続き注視。
- Q1の好スタートにより「利益およびキャッシュフローのガイダンスに対するリスクヘッジが進んだ」とCFO。
質疑応答ハイライト
Q1. クラウド売上の鈍化要因と見通し(UBS)
Q(Michael Briest, UBS): 他社ではQ1後半の取引減速があったと聞くが、SAPは影響を受けたか?また、今後のクラウド売上ガイダンスの前提は維持可能か?
A(CEO Klein):
- 地政学的な不透明感の中でも、顧客はレジリエンス強化にSAPを選択。
- JouleやBusiness Data Cloudによる導入コスト削減の好評が契約成立を後押し。
- 4月もコンバージョン率に変調なし 🟢
A(CFO Asam):
- Q4の後半に集中したクラウド契約はQ1には一部しか反映されず、Q2で売上加速が期待。
- トランザクション系クラウド売上は若干減少傾向(マクロ影響大)🔴
Q2. クラウド売上鈍化の内訳(BNP Paribas)
Q(Ben Castillo): クラウド売上成長がQ4からやや鈍化したが、要因は?今後の回復時期は?
A(Asam):
- Q1鈍化の主因はQ4終盤に契約された案件の収益化がQ1では限定的だったこと。
- Q2では加速が見込まれる。前年Q2の比較ベースが容易な点も寄与。
Q3. 現在のクラウドバックログ動向(JPMorgan)
Q(Toby Ogg): クラウドバックログ29%成長と好調だが、想定以上?業種別に違いは?
A(Asam):
- Q4終盤契約のフル12か月分反映により、成長率は想定通り。
A(Klein):
- 自動車業界含めて業種別の鈍化は確認されていない。業種問わず変革ニーズは高い。
Q4. Business Data Cloudの意義と違い(Jefferies)
Q(Charlie Brennan): Business Data CloudとDatasphereの違いは?再ブランディングではないのか?
A(Klein):
- Datasphereは主に技術統合、BDCは意味的統合(セマンティクス)までを提供。
- SAPのデータモデル(例:顧客360度ビュー)を初めて外部公開、AIの質を飛躍的に高める基盤に 🟢
- Databricksとの連携により、他社にないユニークな立ち位置を確立。
Q5. €5M超の大型契約の持続性と為替前提(Goldman Sachs)
Q(Moawalla): 大型契約比率が増えているが、継続性は?また為替前提の€/$ 1.08の理由は?
A(Klein):
- 大型契約の評価は定量的ROIとCxOの関与を重視。実装フェーズに時間を要するが安定性高し。
A(Asam):
- €/$1.08は2024年平均レート。現状の$1.14はヘッドウィンド要因だが、キャッシュフロー面ではヘッジ済み。
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